どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【居飛車持久戦の必修手筋】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) November 24, 2024
相手が☗45歩と仕掛けたところ。これには☖同歩が自然な対応ですが、強く指すなら☖86歩と突き捨てるのが有力です。… pic.twitter.com/AWM1wJNdhC
対抗型において居飛車穴熊は、非常に有力な作戦です。ただ、これに組むと金銀は受けに使うことが多いので、歩や桂を巧みに使う技術が求められることになります。
そこで今回は、穴熊に組んだ際、有効になりやすい手筋をテーマにして、解説を進めたいと思います。
飛車先を軽くしておく
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗4五歩と指し、先攻したところです。
この局面は、[四間飛車 vs 居飛車穴熊]という構図ですね。ただ、こちらは端歩突き穴熊の完成に成功しており、かつ右桂の活用も間に合っています。つまり、囲いの堅さと攻め駒の効率でアドバンテージを得ているので、居飛車が作戦勝ちになっています。振り飛車はただ待っているだけでは勝ち目が無いと見て、無理を承知で動いてきた状況です。この動きをどう咎めるかが、こちらの命題ですね。
こちらとしては、素直に☖4五同歩と応じて不満が無ければ話は明快です。まずは、この変化を掘り下げてみましょう。
この場合、振り飛車は☗3三角成☖同桂☗7五歩☖同歩☗4五桂と、果敢に攻めてくることが予想されます。
ここからは、☖同桂☗同銀と進むのが妥当です。そこで居飛車は手が広い状況ですが、7四の桂頭のキズをケアすることが難しいので、少し嫌らしい局面を迎えています。堅さのアドバンテージが残っているので形勢は悪くありませんが、7三の桂が負担になると、自分だけ桂を活用している優位性が薄れてしまうことが気になります。
加えて、この局面はもう一つ、気懸りな要素があります。それは、8二の飛が攻めに使いにくくなっていることです。
居飛車は☖8六歩から8筋を突破することは出来ますが、こうして局面が激化すると☖8六歩は無視されるので、飛車を成り込むまでにかなりの手数を要してしまいます。そうなると、自分の攻めが間に合うかどうか不透明なので、それも嫌な要素と言えます。居飛車としては、もう少し条件の良い局面に持ち込みたいところですね。
そうした思惑があったので、冒頭の局面で筆者は、☗4五歩を無視する対応を採りました。具体的には、☖8六歩と突き捨てます。これが相手の無理攻めを咎める一着になります。
この段階で歩を突けば、さすがに相手は無視することが出来ません。よって、どちらかの駒で取ることになります。
素直な対応は、☗8六同歩ですね。ただ、この応酬が入ると、こちらは飛車先が軽くなっています。ゆえに、今度は安心して☖4五歩☗3三角成☖同桂と進めることが出来ます。
この局面は、次に☖8六飛と捌く手が強力なので、振り飛車は攻めに転じることが出来ません。しかし、ここで攻勢に出れないと、何のために自分から動いたのか、という話になってしまいます。上図は、居飛車が相手の仕掛けを完全に逆用した格好だと言えるでしょう。
振り飛車としては、☗8六同角と応じるほうが、4五の歩が取られにくい側面はあります。今度は角交換にならないので、☖4五歩には☗同桂で事が上手く進みますね。
それゆえ、居飛車は相手の角が7七のラインから逸れたことを咎めるプランが得策です。☖5五歩がその具体案で、これで☗8六同角と取ってきたことを逆手に取ることが出来ます。
振り飛車は☗5五同銀と取りたいところですが、☖4五歩☗5六歩☖2四角と進められると、3七の桂を跳ねる前に自陣を攻撃されるので上手くいきません。
しかし、この歩を取らず☗6七銀と引くのも、飛車と銀の効率が下がるので苦しいのは明白です。居飛車は、やはり☖2四角と覗いて、4筋を攻めやすい状況にしておくのが良いでしょう。
こうして見ると、居飛車は早めに☖8六歩を突き捨てたことにより、受け身に回ることなく相手の仕掛けを処理できたことが読み取れます。
基本的に、対抗型の将棋で居飛車は穴熊が完成すれば、相手よりも囲いの堅さで勝っていることが殆どです。ゆえに、大駒の捌き合いになれば居飛車の方が旗色が良くなることは言うまでもありません。
そうなると、必然的に「どのように大駒を捌くか」ということが鍵を握る要素になります。こうした突き捨ての歩を適切なタイミングで使うとそれが実行しやすくなるので、この手筋は必ず銘記しておきましょう。
本格的な戦いが起こる直前がベスト
なお、☖8六歩のような突き捨ては頻出する手筋ではありますが、あまりに早いタイミングで実行すると指し過ぎになりかねないので、使うタイミングは慎重に見極める必要があります。それについても、言及しておきます。
基準としては、「本格的な戦いが起こる直前」がベストです。
今回の題材で述べると、こうして相手が仕掛けた瞬間は、典型的な「本格的な戦いが起こる直前」と言えます。他には、自分が仕掛ける瞬間だったり、複数の駒が交換になる手前の局面も、そうだと言えるでしょう。そうしたギリギリの瞬間を狙って突き捨てを通しに行くと、指し過ぎや立ち遅れを防ぐことに繋がります。これはすこぶる汎用性の高いテクニックなので、実戦の際には意識してみると良いでしょう。
また、こうした居飛車穴熊に組んだときに有効になる手筋は、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
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