どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【令和急戦矢倉の有力な構想】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) August 18, 2025
相手は横歩を取って、作戦勝ちを目指しています。こうした場合は☖44角と上がるのが有力な対処法ですね。
以降は2筋に歩を打たずに銀桂を活用し、☖26歩と押さえます。最終図はこちらの方が駒の効率が良いので、歩損でも作戦勝ちになっています。… pic.twitter.com/6dshM0zGLe
先手矢倉に対して後手は様々な作戦がありますが、現代において最も有力視されているのは令和急戦矢倉です。ゆえに、居飛車党としては、この戦法を会得する価値は非常に高いと言えます。
そこで今回は、この戦法を指す上で知っておくと役に立つ構想をテーマに、解説を進めたいと思います。
2筋の歩を高い位置に打つ
今回は、上記ツイートの少し手前の局面から解説します。下図はこちらが☖3二金と指し、陣形を整備したところです。

令和急戦矢倉を採用すると、駒組みの初期段階はこうした形になることが多いですね。この作戦は角や銀を早期に3三の地点には配置しないので、相手の飛車先の歩交換は許容する形になります。
ただ、こうして歩交換の権利を与えると、☗2四歩から横歩を取ってくる筋が生じます。それに対する策がないと作戦負けに陥ってしまうので、横歩を取られたときの対策は、しっかり用意しておくことが大事です。

さて、こちらは一歩損になったので、それの代償を求める必要があります。ただ、現状では敵陣を攻める手段がないので、まずは陣形整備を行うことになります。
問題はどのような配置を作るかですが、結論から述べると、こうして横歩を取られた際には☖4四角と上がるのが適切な一着になります。

これは6四の歩を守ったという意味もありますが、この手の価値の本質は、それではありません。そもそも、6四の歩を守るだけなら☖6三銀でも事足りるところでした。しかし、☖6三銀よりも☖4四角を選ぶほうが、こちらは遥かに条件の良い局面が作れるのです。

もし、この手に代えて☖6三銀を指していると、☗2四飛と戻られる手が厄介です。これを指されると2筋を安定させるために、将来☖2三歩と打つことになってしまいます。しかし、それを強要されると歩損の代償が求めにくくなり、こちらは作戦負けが濃厚になります。ゆえに、横歩を取られた局面は☖6三銀と上がると損なのです。
しかし、上図なら☗2四飛を指されても☖2二銀という受けがあるので、こちらは持ち歩を温存して戦うことが出来ます。

この手が指せるようになったのは、もちろん直前に☖4四角と上がったからこそですね。こうすれば2三の地点が堅いので、こちらは当分、2筋に歩を打たずに駒組みを進められます。
また、このまま先手が☗2四飛型を維持していると、☖3三桂→☖2六歩→☖2三銀という要領で敵の飛車を詰ますことも出来ます。ゆえに、相手は早めに☗2八飛と引くことになりますが、こうして飛車を下に引かせれば、将来、☖2六歩と打って敵の飛車を押さえる手が楽しみになります。具体的には、下図のような要領ですね。

ここに歩が打てるのも、☖4四角型の恩恵です。相手はこの歩を排除することが難しいので、こちらはしばらくの間、飛車の効率に差をつけることが出来ます。こうなると無条件の歩損ではないので、こちらは十分に戦える将棋です。

また、☖4四角型は、常に☖7五歩☗同歩☖6五桂という攻めを見据えていることも自慢の一つ。相手がそれを嫌うなら、上図では☗4五歩☖5三角☗7九角と指すのが一案です。ただ、こちらは☖8一飛と引いておけば、不満の無い局面を作ることが出来ますね。

この飛車引きは、☖3四銀→☖5二玉→☖2一飛という転換を狙っています。それが実現すれば2筋の逆襲が見込めるので、後手が優位を得ることになります。ただ、相手はそれが分かっていても防ぐことが難しいですね。よって、上図は後手が作戦勝ちだと言えるでしょう。
こうした進行を見ると、こちらは☖4四角型に構えたことで、理想的な布陣が作れたことが読み取れます。

このように、令和急戦矢倉に対して相手が早めに横歩を取ってきた場合は、☖4四角型に組んで対抗するのが得策です。この配置を作ると☖2三歩と打つ受けを省略できたり、将来、飛車を2筋へ転換する余地が生じるので、攻め筋をぐんと増やすことに繋がります。これは非常に有力な構想なので、ぜひお試しください。
先手が飛車を引いてこなかった場合
上記で解説したように、先手は横歩を取った後、穏便に飛車を引いても満足のいく進行にならないことが分かりました。それを踏まえると、☗2四飛→☗2八飛と指さず、飛車を3四に置いたまま指すプランはどうでしょうか。
具体的には☖4四角と上がった局面で、☗6六銀と繰り出す指し方が挙げられます。

こちらは4四の角を追われると不本意なので、5筋の歩を突いて銀の進軍を妨害することが必須です。ただ、それを指す前に、一回☖3三金と上がっておきましょう。これで☗3六飛を強要させてから☖5四歩と突けば、満足のいく局面が作れます。

こちらは自ら歪な配置を作ったようですが、こうして[☖3三金☗3六飛]の交換を入れておくと、将来☖6三銀→☖2二飛という逆襲が楽しみになります。それが実現すると2筋に歩を打たせることが出来る上に、3六の飛が窮屈になるので、こちらは大きくポイントを稼げます。ただ、相手はそれを防ぐことが至難の業ではありますね。こうした理由があるので、上図はこちらが満足なのです。
このように、先手が横歩を取ってきた場合は、2筋に歩を打たずに済む形を作り、飛車の転換に期待するのが対処法の一つになります。こうした要領で対抗することを考えると、アドバンテージが取りやすくなるでしょう。
また、こうした令和急戦矢倉を指す上で知っておくと良い構想は、他にもあります。詳しくは、以下の記事で解説しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
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