どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【ひとり終盤の対処法】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) September 24, 2025
こちらは一方的に敵の侵入を許しており、いわゆる「ひとり終盤」という状況です。こうした際には、とにかく敵の攻め駒を排除しましょう。… pic.twitter.com/iujmONksts
将棋の終盤戦は、序中盤とは違い、彼我の玉の寄せを見据えた手を選ぶ必要が出てきます。そのため、終盤の入口に差し掛かると、これまでとは異なる感覚の指し手を求められることが多々あります。ただ、これは容易に身につくスキルではありません。
そこで今回は、そうした状況における考え方をテーマに、解説を進めたいと思います。
「ひとり終盤」のときは安全を重視する
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。下図は相手が☗5八玉と指し、玉型を整えたところです。

この局面は、こちらは金桂交換の駒得ですが、一方的に敵の侵入を許しています。それはつまり、自分だけ危険が迫っていることを意味します。いわゆる「ひとり終盤」と呼ばれる状況ですね。
こうした「ひとり終盤」に陥った際の対処法としては、主に二つの方法があります。一つは、攻め合いに転じて敵玉を危険にすること。もう一つは、受けに回って自玉の安全を図ることです。ただ、「ひとり終盤」の状態から攻め合うと、基本的には後攻のほうが攻めが遅いので、条件が悪いことが殆どです。したがって、後者の方針を選ぶほうが無難と言えるでしょう。

具体的にどう受けるかですが、平凡に指すなら☖3三金で馬を取ってしまう手が挙げられます。これで問題なければ、話は簡単です。
ただ、これを選ぶと☗3一飛成のときに何を指すのかという問題が生じます。

3三の金を取られるのは痛手なので、本音を言えばそれを守りたいところです。ただ、☖3二金打は☗4一銀で無効ですし、☖4二角は☗1一竜で安定感がありません。その局面は、次に☗4一銀☖6二玉☗7四桂と迫られる手が厄介です。
上図では金取りの処置が難しいので☖5四角で攻め合うのがベストですが、この進行は自玉が危ういので、もう少し安定感の高い順を選びたい思惑はあります。
こうした背景があるので、冒頭の局面で筆者は、3三の馬を取らずに安全を図りました。具体的には、☖1二角と指します。これが「ひとり終盤」から脱却する一着になります。

ここで相手が踏み込むなら☗3二馬☖同銀☗3一飛成ですが、それには☖2一金と打てば竜を捕獲できます。そこから☗4二金☖6二玉☗7四桂には☖同飛と取れば一気の寄せはないので、凌いでいます。
よって、上図では☗1一飛成と指すのが妥当ですが、これにも☖2一金と打つのが期待の一着ですね。

こうなると、竜が捕獲できたので、自玉が大いに安全な格好になりました。ここまで安全になると、もう「ひとり終盤」ではありませんね。
上図で気になるのは☗2一同竜☖同角☗1一馬で角を詰ましに来る順ですが、これには☖2八歩の反撃が厳しく、こちらが旗色の良い将棋になります。

ここで☗2一馬☖2九歩成の取り合いは、銀取りを掛けているこちらに分があります。その局面は、後の☖7八飛や☖8八飛が厳しいので、攻め合い勝ちが見込めます。
そうなると上図では☗2八同銀で受けに回るくらいですが、☖2四飛と回れば、相手は味の良い受けがありません。仮に☗3八金なら、☖7八飛☗6八桂☖7九飛成の追撃が厳しいですね。上図はこちらのほうが玉型が安全な状態で攻め合いになっているので、こちらが優勢と言えるでしょう。
こうして一連の進行を見ると、こちらは☖1二角と打って敵の竜を捕まえたことで、状況が好転したことが読み取れます。

基本的に将棋の終盤戦は、敵玉に向かって攻めることを考えるものです。ただ、不利な攻め合いを選ぶと、自ら負け筋に突っ込むことになりかねません。ゆえに、攻め合う条件が良くなるまでは、自玉の安全を確保する方針を採るほうが賢明です。特に「ひとり終盤」に陥った際にはそのケースが多いので、意識して頂くと判断力の精度が高まることでしょう。
最強の攻め駒の力を封じる
繰り返しになりますが、今回の題材では「ひとり終盤」の際には受けに回ることが話の肝でした。ゆえに筆者は☖1二角と指したのですが、この手を選んだ背景には、別の理由もあったのです。
それは、「最強の攻め駒の力を封じる」ということですね。

改めて、失敗例の局面を提示します。この局面も、厳密にはこちらの形勢が悪くはないのですが、3一の竜が活躍する展開になっていることが脅威です。こうした敵の最強の攻め駒が暴れる展開は、受け側にとって歓迎すべき状況とは言えません。ゆえに、この進行は選びたくないのです。

逆に、成功例のほうは敵の竜を完全に封じ込んでいますね。☖1二角→☖2一金という手順は過剰防衛のように映るかもしれませんが、敵の一番強い駒を無力化できるのであれば、戦力を投資する価値は大いにあります。こうした点も意識しておくと、競り合いの終盤を制することが増えてくるかと思います。
また、こうした終盤の入口で心掛けたことが良いことは、他にもあります。詳しくは、以下の記事で解説しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
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