どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【攻めが難しいときは争点を増やせ】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) July 19, 2023
こちらは銀を繰り出していますが、中央や右辺では手が作りにくいですね。
なので、☖14歩→☖15歩と指しました。これで強引に香を入手すれば、☖86歩や☖83香といった攻め筋が作れます。最終図はそれが楽しみなので、振り飛車良しですね。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/keoPkoAqi2
将棋を指していると、「敵陣を攻めたいのに、どう攻めればよいのか分からない」という場面に直面したことは、誰しもあることでしょう。今回は、そうした場面を打開する考え方について、解説したいと思います。
強くするか、数を増やすか
改めて、上記ツイートの冒頭の局面から振り返ってみましょう。図は相手が☗5八飛と指し、中央を強化したところです。
この局面は、振り飛車の方が指しやすい状況です。理由としては、攻めの銀の働きの差で勝っていることや、8筋に嫌味をつけていることが挙げられます。
ただし、ここで何も行動を起こさないと、居飛車にそれらの問題点を徐々に改善されてしまいます。したがって、振り飛車はその余裕を与えさせないプランが必要ですね。
ただ、現状は中央を攻めることは出来ませんし、☖8五桂と跳んでも効果的な攻めにはなりません。☖8五歩も☗7七角で後続が難しいですね。つまり、現局面は明確な攻め筋が見えない状況でもあるのです。
こうした具体的な攻めが難しい場面は、基本的には「戦力が足りていない」という問題を抱えていることが多いです。その問題をクリアするには、自分の駒を成ったり、駒の数を増やす必要がありますね。
そして、この局面で振り飛車は、すぐに成駒が作れる状況ではありません。したがって、取るべきアクションプランは駒の数を増やすということになります。もう少し踏み込むと、遊んでいる駒を攻め駒に変えることが求められています。
特に、上図では左辺の駒があまり使えていません。これらの駒が躍動すれば、攻め筋が見当たらない問題を解決することが期待できます。
具体的には、☖1四歩が面白いでしょう。
居飛車としては、6五の銀が目障りな駒です。ただ、今すぐに☗6六歩と突いても、☖同銀☗6七歩☖8五歩で角が捕まってしまいますね。よって、居飛車があの銀を追い払うには、下準備が必要です。
そうした背景があるので、本譜は☗7七角と指して来たのですが、こちらは☖1五歩☗同歩☖同香と仕掛けましょう。これで香や角を起動させることが、☖1四歩の狙いだったのです。
☗同香☖同角と進むと、振り飛車は快調に駒が捌けますね。居飛車は☗1六歩と受ける方が勝りますが、☖同香☗同香☖1五歩と進めて香を取り返しましょう。そこから☗6六歩で銀を追われても、素直に☖5四銀と引けば問題ありません。
なお、こうした場面では☗2四歩と突くのがよくある手筋ですが、それには☖1六歩☗2三歩成☖1五角で綺麗に駒が捌けます。この局面は居飛車の飛車が2筋にいないので、☗2四歩を突かれても怖くありません。
居飛車は5八の飛の働きが悪いので、☗1八飛と回って来るのも一案です。ただ、これには☖1六歩☗同飛☖8六歩が痛烈な攻めになりますね。
☗同銀には☖8五歩、☗同角には☖8三香で駒得することが出来ます。振り飛車は香を入手したことで、攻め駒を増やすことが出来ました。ゆえに、攻め筋が大いに分かりやすくなっていますね。もちろん、形勢が良いことは言わずもがなでしょう。
このように、攻めが難しいときは、
(1)成駒を作る
(2)攻め駒を増やす
このどちらかの行動を取ることが大事です。特に、遊び駒を活用することで(2)を実現できると、駒効率が飛躍的に上昇するので形勢の好転が期待できます。敵陣を攻める構想を考える際には、そうしたことを意識すると良いでしょう。
必要な駒を取りに行くことがミソ
また、もう一つ攻めが難しい状況を打破するコツの一つに、「必要な駒を取りに行く」という考え方もあります。
例えば冒頭の局面だと、振り飛車は香を持っていれば☖8三香の田楽刺しがありますね。このように、攻めの構想を組み立てる際には、「たらればの思考」が鍵を握ることが多いです。
もちろん、現状は香を持っていないので田楽刺しは絵にかいた餅ですが、そうした理想を描くことが、具体的な攻め筋の立案に繋がります。
そうした思考の流れがあったからこそ、筆者はここで☖1四歩が突けたという背景もありますね。
こうした「必要な駒を取りに行く」という考え方は、目的が明確なので今後の指し手が一気に分かりやすくなるメリットがあります。これを攻めが難しいときの対処法とミックスさせると、敵陣を攻める組み立てが作りやすいかと思います。
また、こうした理想を実現するテクニックは、他にも様々な種類があります。詳しくは、拙著「盤上のシナリオ」に記載しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです!
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