どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【後手超速の重要な指針】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) August 28, 2023
こちらは8筋から手を作るのも一案です。ただ、ここは☖33銀が賢明ですね。
こうすれば角交換にならないので、捌きを封じやすくなります。あとは7七の角を目標に攻めて行きましょう。この戦型は、その姿勢を貫くのが大事
な指針の一つですね。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/aN9tPadLM2
先手中飛車に対する後手超速は、有力な戦法です。ただし、この戦法は玉型が薄いので、適切な方針を取らないと、すぐにバランスを崩してしまう懸念があります。そこで、今回はこの戦法を指す上で大事になる考え方をテーマにして、解説を進めたいと思います。
歩交換には押さえ込み
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗8六同歩と指し、こちらの突き捨ての歩を取ったところです。
なお、話が少し前後しますが、この戦型は振り飛車が5筋の位を維持するパターンと、5筋の歩を交換するパターンがあります。そして、今回は後者のパターンですね。これは、軽快に大駒を捌くことが趣旨の一つです。したがって、居飛車はそれを妨害するために、大駒を押さえ込む方針で戦うのが良いでしょう。
さて、それでは具体的な手を考えたいと思います。まず、上図では☖8八歩と打って桂を取りに行く手が見えますね。部分的には、攻めが成功しています。
ただ、☖8八歩を指すと歩切れになるので、☗3四飛の王手が嫌味な一着。これには☖3三銀が妥当ですが、☗同角成☖同角☗7七桂と進むと、居飛車はまとめにくい状況に追い込まれます。
居飛車は角銀交換の駒得ではありますが、囲いの歩を削られていますし、何より3四の飛が不気味な存在です。次に☗1五歩から端を攻められる手も嫌味ですね。振り飛車の問題点は駒損していることくらいで、駒の効率や玉の堅さは申し分ありません。ゆえに、こうした展開は振り飛車が満足だと言えるでしょう。
こうした背景があるので、筆者は冒頭の局面から☖3三銀と上がりました。これが後手超速の趣旨に沿った一着です。
傍目には、自ら角道を止め、かつ☖8八歩の狙いも消しています。なので元気が無さそうな手に見えますが、この手は角交換にならないようにした意味があります。つまり、振り飛車の角を盤上に残すことで、それを目標物にする狙いがあるのですね。それに期待しているので、居飛車は自ら角道を閉ざしたのです。
さて、振り飛車は☗5九飛で態勢を立て直すのが自然ですが、居飛車は☖4四銀☗6六歩☖7五歩で、銀を押し上げつつ、相手の角を攻めて行きましょう。
ちなみに、振り飛車が☗6六歩と突いたのは、ここで☗6七銀と上がって角頭をケアする手を用意するためです。しかし、居飛車は気にせず方針を貫きましょう。すなわち、☖7六歩☗同銀☖7二飛で、7筋を攻め続けるのです。
ここで☗6七銀のような弱気な手を指すと、☖7六歩☗6八角☖8八歩が痛打。振り飛車は8九の桂が助かりませんね。つまり、振り飛車は7六に歩を打たれると被害が及ぶので、それを回避する必要があります。
そうなると、☖7二飛には☗6五歩で反発するのが一案です。しかし、そこで一転して☖5五銀右と中央にかわすのが好手順。振り飛車は7六の銀取りが残っているので☗7五歩は妥当ですが、☖5六歩で中央を押さえておきます。
ここまで進むと、居飛車は相手の大駒を押さえ込むことに成功したことがお分かり頂けるでしょう。あとは☖5二飛や☖4五銀などで、中央に圧力を加えて行く手が楽しみです。このように、銀を前線に繰り出し、相手の大駒を封じ込めることが後手超速の理想の一つですね。
この局面は、彼我の大駒の効率に差が着いているので、居飛車が優勢になっていると言えるでしょう。
このように、今回のような軽快な動きには、相手の大駒を捌かせない態度を取ることが重要な指針となります。ゆえに、こうして銀を上がり、角交換にならない配置を作るわけですね。些細な駒の損得ではなく、相手の大駒が働いているかどうか、ということに重きを置きましょう。後手超速を指す際には、そうした意識が重要になりますね。
中央に厚みを作る
繰り返しになりますが、後手超速は押さえ込みが理想の一つです。そして、この戦法にはもう一つ大事な指針があります。それは、「中央に厚みを作ること」ですね。
例えば、今回、失敗例として挙げた上図の局面は、中央がとてもスッキリした配置になっています。こうした状況になると、振り飛車の低い陣形が活きてきますね。たとえ駒得になったとしても、相手に捌かれガンガン攻められる展開は勝ちにくいものです。ゆえに、こうした状況は居飛車にとって嬉しくありません。
逆に、成功例であるこの局面は、中央に厚みを形成することが出来ています。駒の損得はありませんが、明らかに居飛車の方が戦いやすい将棋になっている印象を受けるでしょう。何より、自陣に対する脅威がありません。こうして厚みで圧迫する展開になると、振り飛車の低い陣形は、逆に仇となります。
このように、後手超速は「押さえ込み」「中央の厚み」がキーワードになりやすい戦型です。その方針に沿った展開を実現していれば、概ね居飛車の方に形勢が傾いているものです。裏を返せば、振り飛車はその二つを達成されないことを心掛けることが肝要ですね。
また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです!
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