どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【筋違い角で攻めるときの手筋】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) October 14, 2024
相手が☗86歩と突き、8筋の脅威を緩和したところ。この歩を取ると☗77銀で両取りが掛かってしまうので、工夫した攻め方が必要です。
具体的には、☖65桂と跳ねます。これで7七へ銀を引かせないようにすれば、次こそ☖86飛を決行することが出来ますね。… pic.twitter.com/N5hPP9nEZE
相掛かりという戦型は飛車先の歩が交換できているケースが殆どなので、他の相居飛車の将棋と比べると、思わぬ攻め筋が成立するケースが多々あります。ゆえに、そうしたイレギュラーな攻め筋を知っておくと、この戦型で有利に戦えることに繋がります。
そこで今回は、相掛かりで役に立つ攻め筋をテーマにして、解説を進めたいと思います。
筋違い角で攻略する
今回は、上記ツイートの少し手前の局面から振り返ってみましょう。図は相手が☗5七銀と指し、自陣を整備したところです。
この局面は、相掛かりのオープニングから、相手が中住まいに組んで迎えた経緯があります。現代の相掛かりにおいて、こうしたバランスを重視した構えはポピュラーな指し方の一つですね。
上図では穏やかに駒組みを進めても一局ですが、相手は5七に銀を据えたことから8筋方面が手薄になっています。それを咎めるのであれば、☖5四角と打つのが有力です。これは、シンプルに☖7六角→☖8七角成で8筋を突破することが狙いですね。
その攻め筋がスムーズに実現すると敵陣は崩壊するので、相手は☗6六銀☖7六角☗8六歩と応対してきました。
こうしてタダの場所に歩を突くのも、相掛かりで頻出する受けの手筋です。これは☖8七角成の突進を防ぎつつ、☖同飛には☗7七銀で両取りを掛ける狙いを秘めています。「大駒は近づけて受けよ」という格言通りの一着ですね。
冒頭の局面から筋違い角を放つと、この局面になるのはほぼ必然です。ゆえに、こちらはここで良い攻めを用意しておかないと、☖5四角は打てないということになりますね。
さて、こちらは次に☗7七金と立たれると、角を捕獲されてしまうので芳しくありません。角の逃げ場を作るなら☖4四歩ですが、これは玉頭の歩を突っ掛けているので、囲いが弱体化して不本意です。
そうなると指し手に困っているようですが、次の手を指すことで、盤面の景色が変わります。具体的には、☖6五桂と跳ねるのが攻めを繋げる一着になります。
自ら角を狭くするので、見た目は違和感を覚えるかもしれません。しかし、こうして7七の地点に金駒を進めないようにすれば、7六の角が安定するので攻めが続く格好になるのです。
上図は次に☖8六飛という確実な狙いがあるので、先手は何らかの策を見出す必要があります。
案として、☗7七桂で桂交換を挑む手が挙げられます。これは☖8六飛なら、☗6五桂☖同歩☗7七銀で両取りを掛ける狙いですね。
ただ、こちらはその順を素直に受けれて問題ありません。というのも、☗7七銀と引かれたときに☖6六桂という痛打があるからです。
相手は7七の銀を動かすと両取りを解除することになるので、この桂打ちには玉を逃げるよりありません。ただ、下段に移動すると☖8九飛成があり、6八は金を取る手が王手になってしまいます。
したがって、上図では☗5七玉と逃げるよりないでのすが、そこでじっと☖8一飛と逃げてくのが冷静な一着。飛車を簡単に渡さないことが、この攻めにおいて大事な指針です。
上図で相手は7六の角を取ることが出来ますが、☗7六銀☖7八桂成という進行だと、8筋を支えきれないので収拾がつきません。
よって、☗6六歩と桂を取るのが最善の受けになりますが、☖8七角成と突進すれば、これも8筋が受けにくいですね。そこから☗8九飛と抵抗されても、☖8八歩☗同金☖7七馬で技が掛かります。上図は8筋を突破する目途が立っているので、こちらの攻めが成功したと言えるでしょう。
こうして一連の進行を見ると、こちらは☖6五桂と跳ねて角を攻撃されにくい配置を作ったことで、攻めが繋がったことが読み取れます。
このように、筋違い角を放ったあとに☗8六歩の手筋で対処された場合は、7六の角を安定させることが攻めを頓挫させないコツとなります。また、桂を跳ねる手が成立するのであれば、概ねこれを指すほうが良いでしょう。なぜなら、この桂跳ねは角を安定させつつ攻め駒を前進させるので、一石二鳥の一着になっているからです。見た目は不安定ですが、相手が歩切れであれば意外にも捕獲されないということを覚えて頂ければ幸いです。
飛車先が突破できれば、それで良い
なお、☖6五桂の局面は、他の受け方も考えられます。例えば、8六の歩に紐を付ける☗6八角も候補手の一つです。この場合の攻め方も掘り下げておきましょう。
繰り返しになりますが、相手が歩切れの状態であれば、[☖7六角・☖6五桂型]の配置は、意外に安定しています。ゆえに、ここは急ぐ必要はないのですが、手っ取り早く敵陣を攻め潰す順があるなら、それに越したことはないですね。そして、結論から述べると、その手段は存在するのです。
手始めに、☖9五歩☗同歩☖9八歩と攻めます。こうして歩を渡すと☗7七歩で角が詰むのですが、そこで☖6七角成と突撃する手が眼目の一着になります。
これを☗同玉なら☖9九歩成で香を取ります。一時的には角香交換の駒損ですが、8九の桂は回収できますし、敵玉も不安定なので、この損は十二分に取り返せます。
相手は玉の安全度を重視するなら☗6七同金と応じることになりますが、この場合は8筋がガラ空きになるので、☖8六飛から竜を作る手を優先するのが賢明です。飛車を成ってしまえば、桂香の回収が見込めるので、駒損している弊害はそれほど祟りません。
始めのほうでも述べましたが、この☖5四角と打つ攻め方は、8筋(飛車先)を突破することが目的です。そのためには、多少の駒損は気にせず、とにかく竜を作ることを第一に考えましょう。そうした趣意は、☖6六桂と打った変化からも読み取ることが出来ます。また、これを踏まえると、角の打ち込みに強い布陣を作っておくことも、この攻め筋を成功させる上では大事な要素と言えますね。
また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです。
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