どうも、あらきっぺです。
少し時間が経ってしまいましたが、先日に金沢大学将棋部様の國井大彰氏と交流戦をする機会に恵まれました。
この度櫻井将棋塾と金沢大学様(@esora24)の交流戦を行うこととなりました。現在の金沢大学の主将は教室の卒業生で今でも帰省の度に研究会に参加してくれています。
— 櫻井将棋塾 (@kyotosyogi) October 11, 2024
櫻井将棋塾からは講師陣が出場致します。後日金沢大学主将様の観戦記もございますので熱戦を楽しみにしています!
今回は、こちらの対局の模様を、簡単に振り返ってみたいと思います。
好奇心が裏目に出る
今回のお相手である國井大彰氏は、令和6年度の学生名人であり、プロ棋戦の出場経験もある方です。國井氏の指されている将棋を拝見した限り、「あまり定跡形にはならないんだろうな」という予想がありました。
蓋を開けてみると、やはり力戦形の将棋に誘導されることとなりました。
ただ、力戦形になったとはいえ、筆者も将棋人生の中で相当な数の対局をこなしているので、こういった形の駒組みをされた経験は何度かあります。基本的に、こうして5筋の位を早期に取ってくる場合は、雁木に組んで反発を狙うのが有効な指し方というイメージはありました。具体的には、下図のような構想です。
これは駒組みの一例ですが、こういう要領で動いていけば、相手の位取りを逆用しながら先攻できるので、雁木側が面白い将棋になります。上図から☗5四同歩には、☖同銀☗5五歩☖6五銀左で快調に攻めが続きますね。
ただ、冒頭の局面をしばらく眺めているうちに、「☖3三銀→☖4四銀と繰り出す将棋にしてみたら、どういう感じになるのかなぁ….?」という好奇心が湧き出てしまい、本譜はその構想を選ぶことにしました。具体的に、どうやって悪くなるのかが見えなかったことも、その選択を後押しした理由の一つです。
ただ、結論から述べると、やはり雁木に組む順のほうが適切で、本譜の選択は賢明ではありませんでした。こうした好奇心による思いつきは検討で調べることであって、対局で試すものではなかったですね……笑
大局観と決断力の悪さ
こちらが銀を4四に繰り出した後は、じっくりした将棋になり、下図の組み上がりになりました。
相手目線からすると、銀を4四に居座られると中央の位が安定しないので、それを☗4六歩→☗4五歩で追い払うのは妥当です。ただ、ここの位を取ると5六の銀が前進できなくなるので、相手はどうやって打開してくるのかな、という疑問が筆者の中にはありました。
そうした背景があったので、本譜はここから待機策を選んだのですが、その姿勢が本局の敗因となりました。ここは☖5一飛から、中央の厚みを解体しにいくプランのほうが良かったですね。
☖5一飛に対しては、☗7五歩☖5四歩☗同歩☖5五歩☗同銀左☖6五桂が、進行の一例です。
実を言うと、対局中はこれで打開することも考慮していたのですが、☗同銀☖同銀☗4六桂の反撃が気になり、仕掛けを見送った経緯があります。しかし、この攻め合いは玉型で勝るこちらの旗色がよく、歓迎すべき進行でした。
対局中、この辺りで「仕掛けるか待機策に徹するか」という選択は相当悩んでおり時間を割いたのですが、結果的には形勢を損ねた上に持ち時間も浪費するという形になって、かなりまずい状況に陥ることになりました。端的に述べれば、大局観と決断力が悪く、自分の弱点が露骨に出てしまいましたね。
先述したように、こちらは待機策を採ったのですが、角を4六に配置されたあとに☗7七桂と跳ばれた時点で、事態の重さに気付くことになりました。平凡に☗6五桂と跳ばれて打開されることをウッカリしており、その仕掛けがあるならば、こちらのプランは破綻しています。特に、角の効率に差があることが大きいですね。本格的な戦いが起こる前に差がついてしまい、以降は何事もなく終わってしまいました。「何事もなく終わった」というところに、國井氏の実力の高さが窺えますね。
まとめ
全体的には、こちらの選んだ構想や方針が悪く、いろいろと歯車が嚙み合わない将棋になってしまいました。加えて、攻めるべき部分で自重するなど、消極的な姿勢も目立っており、反省点の多い内容でありました。自分の課題や弱点が可視化されたという意味では、よい学びがあり、それの改善に向けて、今後も邁進したいものです。
また、今回の交流戦を快諾してくださった金沢大学将棋部の皆様には、この場をお借りして感謝申し上げます。普段では対局できない方と手合わせ出来て、貴重な体験となりました。誠にありがとうございました。
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