どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【敵の攻めを防ぐときの考え方】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) March 28, 2025
相手は角道をこじ開けて、攻めの威力を高めようとしています。裏を返せば、こちらはそれを捌かせないことが急所ですね。… pic.twitter.com/unHRhla5Ii
将棋の中盤戦は茫洋なところがあり、かつ候補手がたくさん目移りする場面も多いので、何が正解なのか見当がつきにくい状況に直面することは珍しくありません。そして、そうした場面は往々にしてミスが出やすいものです。
そこで今回は、中盤戦で適切な手を選ぶための考え方をテーマにして、解説を進めたいと思います。
敵の目的を防止する
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖6五歩と指し、争点を増やしたところです。

この☖6五歩は、3三の角を効果的に使いたい思惑があります。つまり、この手に代えて単に☖5五角を指すと☗2四飛と走られてしまうところでしたが、☖6五歩☗同歩の利かしを入れておけば、角がスムーズに捌けるので都合がよいというわけです。
それを踏まえると、こちらは6五の歩を取ってはいけないことが読み取れます。問題は何を指すかですが、結論から述べると、上図では☗5六金と上がるのが最適解となります。

先述したように、相手は角を活用することが主な目的であり、☖6五歩はそれを実現するための下準備と言えます。したがって、こちらとしてはそれを成立させない状況を作ることが急務です。
そのためには、5五の歩に紐を付けることになりますね。ゆえに、この☗5六金が最適解になるのです。
なお、これは囲いの金が離れるので、薄い印象を受けるかもしれません。けれども、ここに金を配置すれば中央が手厚くなるので、見た目よりも安定感が高い配置なのです。

さて、相手は5五の歩を削らないと角が使えないので、その地点に利きを増やす必要があります。そうなると、☖6四銀が最も自然ですね。☗4五桂の両取りを先受けする意味でも、これを指すのは妥当でしょう。
ただ、こちらは気にせず☗4五桂と活用します。これには☖4四角と逃げるのが並の対応ですが、そこで☗4六角が味の良い一着。ここでも一貫して、5五の歩を支えるのが急所ですね。

これも先述した☗5六金と同様、敵の角を捌かせないことが主眼です。ここまで進んでみると、「☗5六金型が安定感の高い配置」という意味が実感しやすくなっているのではないでしょうか。
後手は5五の地点に利きを増やすなら、☖5二飛が挙げられます。ただ、これには堂々と☗2四飛を決行して構いません。☖5五銀と進軍されても☗同金☖同角☗5三歩で堰き止めることが出来るので、相手の攻めは空転しています。

5筋から攻めることが出来ないのであれば、☖9五香で違う場所を攻める手も考えられます。この場合は、☗9六歩☖同香☗同銀☖同香で手番を握ってから☗6五歩と進めましょう。これで中央の厚みを主張にすれば、優位を拡大できます。

上図では☖7三銀引と逃げるくらいですが、自然に☗6四香から削っておけば問題ありません。その局面は、5・6筋の厚みや大駒の働き、囲いの安全度に差がついているので、先手が大いに優勢です。何といっても、敵の大駒を二枚とも封じ込めているのが心強いですね。
こうして一連の進行を見ると、こちらは☗5六金と上がったことで、相手の攻めを完封できたことが読み取れます。

将棋の中盤は急所が見えにくい状況になることが多々ありますが、基本的に相手は、何らかの目的を果たすために指し手を紡いでいることは確実です。それを踏まると、敵の目的を防止することを徹底すれば、必然的に相手の指し手を無効化できるので、形勢の好転につながります。こうした点を意識して候補手を探すと、適切な手を発見しやすくなるのではないかと思います。
駒が前に出しやすい状況を作る
繰り返しになりますが、今回の題材では敵の目的を防止することが話の肝でした。ゆえに筆者は☗5六金と指したのですが、この手を選んだ背景には、もう一つ別の理由もあったのです。
それは、「自軍の駒が前に出しやすい状況を作る」ということですね。

例えば、冒頭の局面では☖5五角を防ぐために、☗5八飛と回る手も全くないわけではありません。ただ、これを指しても具体的な狙いが乏しいですし、☗2四飛と走る余地も消えます。これらの懸念材料があることから、☗5八飛がベストとは言えません。

逆に、☗5六金という手は次に☗4五桂という狙いを作っています。そして、それが指せれば☗4六角や☗2四飛という手も指せるようになりますね。そして、これらは全て自軍の駒を前進させる手であることに注目していただきたいです。
将棋の中盤戦の目的は複数ありますが、その中の一つに「敵陣への侵入」は価値の高いミッションです。なぜなら、敵陣に侵入できれば成駒が作れますし、それが寄せの手掛かりにもなるからです。
そして、「敵陣への侵入」を果たすためには、当然ながら自軍の駒を前進させないといけません。ゆえに、☗5六金のような駒を前に出しやすい状況を作る手は、すこぶる大きな意味を持ちます。こうした点も意識しておくと、中盤の判断がよりクリアになってくるかと思います。
また、こうした中盤の難所で意識しておくと役立つことは、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
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