どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【一間飛車の攻略法】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) August 17, 2025
相手は端から飛車を活用する一間飛車を採用しています。この戦法には、☗38銀型に組むのが急所です。
以降は☗27銀と上がって、3五の歩を目標にします。最終図のようになれば、相手は動く手段がなく徐々に指す手に困る将棋になるので、居飛車が作戦勝ちですね。… pic.twitter.com/5zsxTyyyJp
対抗型において一間飛車は珍しい作戦ですが、稀に指される戦法でもあります。こうした滅多にお目に掛かれない作戦は、慣れていないことが多いので、どう対処するのか戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、この戦法を撃退する上で知っておくと役に立つ構想をテーマに、解説を進めたいと思います。
銀の力で圧迫する
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。下図は相手が☖9四飛と指し、飛車を浮いたところです。

こうした局面は、一間飛車を採用されると出現しやすい状況です。相手は奇異な場所に飛車を配置していますが、これがこの戦法のトレードマークですね。
ここから相手は、2四の飛を追った後に☖3五歩→☖3四飛から升田式石田流の要領で駒組みを行います。そうすれば通常の升田式石田流よりも9筋の位が取れているので、後手はデフォルトよりも得をします。それが一間飛車という戦法の趣旨になりますね。
ゆえに、先手はそうした状況にならないよう、この辺りから工夫する必要があります。

ただ、そうは言っても相手の☖3五歩を妨害するのは、そう簡単なことではありません。例えば☗3六歩と突くのは☖7四飛の揺さぶりが面倒です。歩取りを防ぐだけなら☗7七金で良いですが、それには☖3五歩で決戦を挑まれると、こちらは角が眠っているので旗色の悪い将棋になります。こうした背景があるので、☖3五歩を妨害するのは見た目ほど簡単なことではありません。
しかし、ここからあることを行えば、こちらは一間飛車の理想を瓦解させることが出来ます。具体的には☗3八銀と上がりましょう。一間飛車にはこれが有効ですね。

普通、対抗型の居飛車は右銀を4八に上がるとしたものです。ゆえに、ここに銀を上がるのは不思議な印象を受けるかもしれません。ここに銀を配置する理由はもう少し進むと明らかになるので、ひとまず解説を進めます。なお、ここで☖7四飛には☗2六飛で歩取りが受かるので、特に支障はありません。
上図で後手は☖2三歩から飛車を追って、☖3五歩と突くのが妥当です。対して、こちらは以下のような形に組んでおきましょう。

ご覧のように、銀を2七に上がっていますね。そう、これを指したかったので、先手は☗3八銀型に組むのが得策なのです。こうすれば次に☗2六銀から3五の歩を目標にできるので、相手の駒組みを大いに牽制できます。
ひとまず後手は、玉を美濃囲いに組まなければいけません。ゆえに上図では☖6二玉が自然ですが、こちらは☗2六銀でさっそく3五の歩を狙いましょう。こちらは囲いを固めるよりも、相手の態勢が万全になる前にプレッシャーを掛けておくほうが賢明です。

後手は無条件で☗3五銀を許すわけにはいきません。そうなると、上図では歩を守るために☖2四飛か☖3四飛のどちらかを指すことになります。まずは、☖2四飛を見ていきましょう。
これには☗2五銀と出ることが出来ますが、先述したようにこちらは3五の歩を目標にしたいので、銀を安易に2五へ出しても得になりません。よって、この場合は☗2六銀型を維持して、左辺の駒を活用するのが良いでしょう。
具体的には、☗7七銀→☗6六銀→☗7七桂と銀桂を前線に使うのが好着想ですね。

以降は、8筋の歩を伸ばして敵の囲いにプレッシャーを掛けるのが一案です。後手は攻めの形を作りたいですが、2二の銀を4四に出すと☗2五銀で飛車が即死するので、あの銀を前線に出す形がありません。しかし、そうなると攻撃形が作れないので、徐々に指し手に困ることになります。こちらは銀の圧力で敵の飛車を圧迫すれば、自ずと優位が築けるでしょう。よって、上図は先手の作戦勝ちです。
また、☗2六銀と上がった局面で☖3四飛の場合は、シンプルに☗5六角と打ってしまうのが分かりやすいですね。

これで敵の飛車を強制的に移動させれば、3五の歩が確実に取れます。上図では☖2四飛が妥当ですが、☗2五歩→☗3五銀で一歩得を主張すれば良いでしょう。以降は、やはり左辺の銀桂を前線に出すのが有力です。これも相手は有効な攻めの形が作れないので、先手の作戦勝ちが見込める将棋ですね。
こうして一連の進行を見ると、こちらは銀をスルスルと繰り出したことで、相手の理想形を阻めたことが読み取れます。

このように、一間飛車に対しては、2筋から銀を繰り出して早期に3五の歩を目標にするのが得策です。こうすれば升田式石田流のような将棋にならないので、相手は理想形が作れず苦心することになります。これはシンプルながら非常に強力な対策さので、ぜひお試しください。
3九の銀を早期に動かさない
上記で述べたように、一間飛車には棒銀がすこぶる優秀な対策になります。そして、この構想は☗3八銀型に組まないと採用できません。
それを踏まえると、先手は最序盤において、早期に3九の銀を動かさないことが大事であることも見えてきます。

なお、後手が一間飛車を志向する際には、概ね上図のようなオープニングになります。この局面で☗4八銀は普通の一着ですが、これを指すと☗3八銀型に組めなくなるので、相手の一間飛車を誘発する恐れがあります。ゆえに、上図では☗6八玉や☗7八金と指すほうが、相手の駒組みの選択肢を狭めており、先手としてはそのほうがクレバーだと言えるでしょう。この辺りは知らないとスルーしてしまいがちなところなので、しっかり押さえておきたいですね。
また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです。
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