どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【桂ポンを受けるときの対処法】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) September 26, 2025
相手が軽快に仕掛けたところ。ただ、こちらも受けの構えが整っているので、強く応戦することが可能です。… pic.twitter.com/ykXVIGmfCm
角換わりの将棋では、「桂ポン」と呼ばれる速攻がありますね。これは単調な攻めではあるのですが、状況によっては普通に成立します。また、たとえ無理攻めだったとしても、受け側は適切な対処法を知らないと一気に形勢を損ねてしまいます。ゆえに、居飛車党としては押さえておきたい分野ですね。
そこで今回は、この攻め筋の受け方をテーマにして、解説を進めたいと思います。
安易な妥協は選ばない
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。下図は相手が☗4五桂と指し、先攻したところです。

こうした仕掛けは、角換わりの将棋では頻出しますね。全く同じ局面かどうかはさておき、この仕掛けを指されたプレイヤーは、多く存在するのではないでしょうか。
さて、こうした桂ポン系の作戦に対して、受け側は複数の対応があります。ただ、基本的には、次の図の展開にはしたくありません。具体的には、☖4四銀と上がって局面を収めてしまう対応です。

こうして4四に銀を上がれば、相手は2筋の歩を交換するのが関の山です。そして、これを選べば一気に潰される心配はありません。
ただ、上図は次に☗3四角から1・2筋を攻められるので、完全に脅威を払拭したわけではありません。一応、ここでは☖2二金と寄れば息の長い将棋になりますが、こちらは自ら壁金の悪形になるので、嬉しい進行でないことは明白です。
このように、桂ポンの仕掛けに対して☖4四銀と上がってしまうと、すぐには壊滅しないものの、すこしずつ損を重ねる将棋になってしまいます。要するに、これは「妥協」なので、好んで選ぶ展開ではないのですね。
こうした背景があるので、冒頭の局面では、もっと強い受けが必要です。具体的には、☖2二銀と引くのが最も突っ張った姿勢になります。

これは守備駒のポジションを下げるので、一時的には守備力を落としているきらいがあります。ただ、こうすれば☖4四歩という催促を残せるので、局面が落ち着いたときに桂を取り切る楽しみがあります。なお、代えて☖3四銀だと☗5六角→☗5三桂成という攻め筋を与えるので、引っ込むほうが堅実です。
先手は足が止まると桂損になるので、動くよりありません。例として☗2四歩☖同歩☗同飛が一案ですが、これには☖2三銀と上がるのが大事な一着になります。

この手に代えて☖2三歩もありますが、それは☗3四飛と寄られる手が厄介です。飛車を四段目に居座られると、安心して☖4四歩と突きにくい側面があります。これで飛車を確実に撤退させて局面を落ち着かせましょう。すなわち、☗2五飛☖2四歩☗3五飛☖3四歩☗3六飛☖4四歩のような進行が、受け側の理想手順の一つです。
上図は敵の攻めが空転しており、手を作られる心配がないので、こちらの受けが成功しています。

ちなみに、☖2二銀と引いたところでは、☗1五歩で端に争点を広げる攻め方もあります。以下、☖同歩☗2四歩☖同歩☗1五香☖同香☗1二角が一例です。これは自陣に敵の駒を打ち込まれるので嫌な展開ですが、自然に☖3三桂と逃げておけば、十分に対処可能です。

ここで☗2四飛は、☖2三歩と打てば収まります。この進行の先手は3四に拠点が作りにくいので、やや攻めが細いですね。
先手が拠点を作ることにこだわるなら、上図から☗3三桂成☖同銀☗3四歩と進めることになります。ただ、この場合は☖1七香成と成ってしまうのが臨機応変な一着。これで相手の攻めを凌げます。

こちらは銀を取られますが、この後に☖2五香と打てば飛車の捕獲が期待できるので、一時的な駒損はそこまで気になりません。むしろ、☖2二銀と引いて☗2四飛と走られるほうが、敵の主力が活躍するので恐れないといけない展開です。
また、こちらは将来、自玉を右辺に逃げる楽しみが大きいことも見逃せない強みです。上図はそれらの要因から、こちらが面白い将棋ですね。
こうして一連の手順を見ると、こちらは☖2二銀と引いたことで、敵の攻めをいなせたことが読み取れます。

桂ポンの仕掛けは相当な脅威ですが、受け側は銀を引いて対処するのが基本です。代えて☖4四銀と上がるのは妥協であり、相手の言い分を通しています。銀を引くと猛攻を誘発しますが、その猛攻を凌いで良さを求めるほうが、リターンの大きい将棋になるので得策です。もちろん例外はありますが、この前提に基づいて受けを考えると、良い判断が行えるようになるかと思います。
敵の桂の排除を目標にする
なお、こうした桂ポン系の仕掛けを喫した際には、受け側は「ある指針」に則っておくと、そこまで道を踏み外さない性質があります。
その指針とは、「駒損にならない形で4五の桂の排除する」ことですね。

これは成功例の変化ですが、この☖2三銀は、☖4四歩と突くことを念頭においています。決して銀冠を作りたいから銀を上がっている訳ではありません。
そして、なぜ☖4四歩を突きたいのかというと、4五の桂を盤上から消したいからです。あの桂を消せば自陣の脅威が柔らくので、安全度が上がりますね。

他には、この☖3三桂も同様の趣意です。これは☖4四歩と突く手が間に合わないので、手っ取り早く桂交換を挑むことで4五の桂を排除しています。あの桂を消すと☗3三歩と打たれる攻め筋が消えることが、こちらにとっては嬉しいですね。
当然の話ですが、桂ポンは4五の桂がキーパーソンなので、受け側はこれを目標に受けに回れば、大きく急所を外すことはありません。これは多少の形の違いに関わらず共通する性質なので、受けに回る際には意識しておくと良いでしょう。
また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです。
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