ヒネリ飛車を妨害する駒組み

どうも、あらきっぺです。

今回の題材は、こちら。

【ヒネリ飛車の対処法】

相手が☗36飛で揺さぶりを掛けたところ。これには☖33金が普通ですが、あえて☖63銀で歩を取らせるのも有力です。

☗34飛には☖74歩と突きましょう。その後はじっくり駒組みを進めれば、相手は７七の桂が負担になるので、こちらの作戦勝ちですね。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/uFmExT8IQP

— あらきっぺ (@burstlinker0828) July 22, 2023

ヒネリ飛車は、持ち歩を手にした状態で石田流の好形を作ることが出来るので、指されると厄介な相手の一つです。なので、それを相手にした際には、そもそもヒネリ飛車に組ませないという考え方も一理あるでしょう。今回は、それをテーマにして解説を進めたいと思います。

飛車の転換を阻止せよ

改めて、上記ツイートの冒頭の局面から振り返ってみましょう。図は相手が☗３六飛と指し、ヒネリ飛車を指す準備を整えたところです。

これは、次に３四の歩を取るぞと言いつつ、☗７五歩を突けるようにした意味があります。ヒネリ飛車は７筋に飛車を振らないといけませんが、敵の飛車が８六にいると、それが指せません。ゆえに、その場合は自身の飛車に紐をつけておかないといけないわけですね。

こちらは自然に指すなら、☖３三金と歩を守ることになります。ただ、その進行は先手も安心して☗７五歩が突けるので、相手の言い分を通している嫌いもありますね。なので、可能であればもう少し強気に応戦してみたいところでしょう。

その具体案が、☖６三銀☗３四飛☖７四歩という順になります。

これは一歩損になるのですが、その代償にヒネリ飛車を封じたことが自慢です。加えて、こうして７筋の歩を突く格好になれば、将来☖７五歩から相手の桂頭を攻める含みも生まれますね。こちらは、それらに期待しているので、一歩損でも構わないと踏んでいるのです。

相手は桂頭をケアするなら、☗３六飛と引くのが妥当でしょう。対して、こちらも☖８二飛と引き、陣形整備を進めます。具体的には、以下の形に組むのが良いですね。

ご覧のように、早期に☖４四角と上がるのが急所です。ここに角を配置すれば相手の飛車の可動域を狭めることが出来ますし、自玉が２二まで移動できるようにもなります。見た目はぼんやりしていますが、これは非常に価値が高い一着ですね。

先手は☗３九玉で玉型を整備するのが自然ですが、こちらも☖４二銀で陣形を強化しておきましょう。

さて、こうした局面を迎えると、こちらの方が明らかに指し手が分かりやすい状況になります。相手は飛車の横利きを止めると☖７五歩の桂頭攻めが飛んできますし、攻めの形を作ることも難しい格好です。

対して、こちらは☖１四歩→☖５四銀で３六の飛車を圧迫するのが楽しみですね。他には、☖３一玉→☖２二玉や☖３三銀などで、囲いを充実させるのも堅実な指し方でしょう。この局面は、こちらの方が価値の高い手が多く残されているので、後手が大いに作戦勝ちだと考えられます。

このように、３四の歩を取らせて☖７四歩と突く構想は、手軽にヒネリ飛車を妨害することが出来ます。持久戦になると相当に勝ちやすい将棋になるので、ヒネリ飛車に悩んでいる方は、ぜひお試しください。

ヒネリ飛車側の対策

ヒネリ飛車側としては、先述したように歩得に満足して漫然と駒組みを進めると、はっきり作戦負けになります。そもそも、☖７四歩と突かれた時点でヒネリ飛車に組むことは妨害されているので、当初の方針に固執するのは状況の変化に対応できていないとも言えます。よって、別のプランに活路を求める必要がありますね。

代案としては、☖７四歩の瞬間に☗６五桂で暴れていく手が挙げられます。

先手は次に角を交換して☗９五角で王手飛車を掛ける狙いがあります。したがって、すぐにこの桂が取られる心配はありません。こちらとしては、王手飛車の筋と☗２二角成を防ぐことが最優先事項ですね。

手っ取り早く対処するなら、☖８八飛成☗同銀☖６五歩と進めてしまうのが一案です。こうすれば致命傷を回避しつつ、桂得の戦果を収めることが出来ます。次は☖６六歩や☖２七桂で反撃するのが楽しみですね。

他には、☖８八角成☗同銀☖５二玉という対応も考えられます。

これは、飛車を渡さないことに重きを置いたプランです。ここで☗７七角には☖７六飛と寄れば、技が掛かる心配はありません。

他には☗２二歩も気になる攻めですが、自然に☖３三桂☗２一歩成☖４二銀とかわしておきましょう。

こちらは無条件でと金を作られたようですが、他力を利用して［☖３三桂→☖４二銀］と活用できたことは小さくない利点です。このあとは、☖２五角や☖４五角☗３五飛☖６七角成の筋で反撃するのが楽しみですね。

このように、こちらは☗６五桂で強襲されても、正しく対応すれば形勢を悪くすることなく、渡り合うことが可能です。ヒネリ飛車側にとっては、こちらの変化の方が勝ることは確かですが、一歩を取らせて☖７四歩と突く構想を、完全に咎めるまでには至らない印象ですね。

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