どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【相居飛車のちょっとした豆知識】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) August 17, 2023
こちらは飛車先の歩が交換できますが、それを行うと☖23銀→☖24歩で銀冠に発展されるのが気懸かりです。
なので、あえて歩交換せず、淡々と駒組みを進めましょう。最終図は、相手の2二の銀が使いにくく、こちらが作戦勝ちですね。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/drG6NM5xmy
相居飛車の将棋では、後手側が研究勝負を避けるために、あえて定跡を外して力戦型に誘導してくるケースがあります。その際には、定跡形との違いを踏まえて駒組みを進めることが大事になります。今回は、そうしたことをテーマに解説を進めましょう。
定跡形と比較する
改めて、上記ツイートの局面を振り返ってみましょう。図は相手が☖5二金と指し、陣形の整備を進めたところです。
この局面は角換わり風ではありますが、後手の☖3三桂型が通常型とは異なる部分ですね。その違いが、どんな影響を及ぼすのかを考えることが大事です。
ひとまず、こちらは2筋の歩交換が行えます。角換わりの定跡形において、飛車先の歩がスムーズに交換できることは、まずありません。ゆえに、それが行えることは先手のアドバンテージと言えます。
なので、ここで☗2四歩と突いてみましょう。対する後手は、銀冠に発展してくることが予想されます。
ここからは、互いに腰掛け銀に組むのが自然でしょう。そうなると通常の角換わりよりも一歩を手にしている先手の条件が良さそうですが、組み上がってみると、これが意外に簡単ではないのです。
例えば、こうした局面になったとき、先手は仕掛けの手段が難しい印象を受けるのではないでしょうか?
通常の角換わりであれば、後手が4筋の歩を突くと☗4五歩☖同歩☗同銀という要領で打開することが出来ます。しかし、この場合は成立しないことは言うまでもありません。これは☖3三桂型の恩恵が光っていますね。
☖3三桂型の弱点としては桂頭が狙われやすいことですが、上図の後手は銀冠に組めたことで、それをリカバリーすることが出来ています。上図は一局の将棋ですが、後手としては☖3三桂型に構えた工夫が活きており、不満の無い組み上がりだと言えるでしょう。
先手としては、☖3三桂型の欠点が祟る展開を目指したいところです。確かに、歩交換は自然ではあるのですが、先述したように後手に銀冠に組まれると、そうした展開に持ち込むことが難しくなるので面白くありません。☖3三桂型が咎められないのであれば、通常の角換わりよりも桂が活用できている分、後手は囲いが手厚くなるメリットを得られるのです。
というわけで、筆者は冒頭の局面から、あえて飛車先の歩を交換せず、淡々と駒組みを進めることにしました。
交換できる権利を使わないのは妙なようですが、そもそも通常の角換わりも飛車先の歩は交換できないので、それに拘る必要はありません。加えて、この歩交換はいつでも実行できるので、それなら最も良いタイミングで権利を行使した方が良いという考えもあります。
後手はこのままだと、桂頭のキズが気になりますね。それをケアするには☖4三金右と指すのが一案です。ただ、ここに金を上がらせると、陣形が偏るので後手は駒組みが不自由になります。先手としては、こうして桂頭が弱い欠点を突く方がクレバーですね。
その後も、やはり2筋の歩は交換せず、淡々と駒組みを進めます。先手陣は角換わり腰掛け銀でよく見かける配置ですが、後手の方は、通常の定跡形と比べると、自陣が不安定な格好に見えるのではないでしょうか? 銀冠に組んでいる変化と比較すると、桂が二枚とも負担になりそうですね。
ここで後手は☖3一玉と引くのが自然ですが、やはり先手は2筋の歩を交換せず、☗6六歩で陣形整備を進めましょう。
この後は、2筋の歩を交換して☗7五歩で桂頭を攻める手が楽しみです。後手は早期に☖4三金右を強いられたことで、駒組みのバランスが崩れていることが分かります。この局面は、通常の角換わりよりも後手の囲いが弱いので、先手が作戦勝ちだと言えるでしょう。
このように、力戦型の将棋では、定跡形とどんな違いがあるのか? ということを見抜くことが重要です。それを行えば、定跡形の進行よりも得できる変化が見つけやすくなるので、今後の方針が打ち立てやすくなります。そうなれば、力戦型になっても迷うことなく指し手を紡ぐことが出来ますね。これは汎用性の高い考え方なので、ぜひ実践してみてください。
相手の理想形は、なるべく妨害する
また、こうした定跡を外れた将棋の対処法として、相手の理想形は、なるべく妨害することは大事な指針になります。
今回の場合だと、後手の銀冠が理想形の一つです。銀冠は囲いの桂が前線に活用できるので上部が手厚く、端攻めに強いメリットもあります。なので、相居飛車の囲いの中では、最強レベルといっても過言ではありません。要するに、受けの理想形なのですね。
先手目線からすると、相手の理想形を簡単に許す変化は、得策とは言えません。そうした背景もあったので、筆者はあえて歩を交換しなかった意味もあります。
将棋は、相手の理想形さえ許さなければ、そう簡単には作戦負けになりません。さらに欲を言えば、相手の理想形は妨害し、自分の理想形は作る。そういったことを意識して駒組みを進めれば、力戦型の将棋も怖くありません。そして、そのためには定跡形の知識をたくさんインプットしておくことが重要になりますね。
また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです!
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