どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【四間飛車の有力な構想】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) November 12, 2024
相手は銀冠を目指しており、持久戦を志向しています。こうした将棋はこちらも玉を固めるのが自然ですが、あえて☖62玉型を維持して☖63銀と上がるのも面白い指し方です。… pic.twitter.com/4Q5b3OisYN
四間飛車を指すと居飛車側の対策はたくさんありますが、持久戦の際には銀冠に組んでくるケースが考えられます。今回は、その際に有力になる振り飛車の構想をテーマにして、解説したい思います。
安直に玉を引かない
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗8七銀と指し、銀冠の組み替えを表明したところです。
この局面は、こちらが端の位を取ることに成功しています。こちらとしては、この位が活きる展開になれば形勢が良くなりますし、逆にここに手数を費やしたことが祟る展開は、避けなければいけません。あの位を生かすか殺すかで優劣が分かれる将棋と言えるでしょう。
さて、端の位を活かすには、玉を深く囲って広さを主張するのが一案です。例えば、☖7一玉→☖6三金→☖8二玉と進め、高美濃囲いに構えるのは自然に見えますね。
ところが、結論から述べると、こうした指し方は端の位が祟る展開になります。具体的には、☗9六歩と反発されると振り飛車は苦境に陥ることになります。
上図からは☖同歩☗同銀と進みますが、そうなるとこちらは端の位が奪回されていますし、こちらの方が9筋が薄いので、旗色の悪い戦いを強いられることになります。これは高美濃に囲ったことが露骨に逆用されていますね。居飛車はこの仕掛けを見据えていたので、銀冠を選んでいたのです。
こうした背景があるので、冒頭の局面から振り飛車は、平凡に玉を囲う姿勢では面白くありません。ここは相手が銀冠に組んできたことを逆手に取る構想が必要なのです。
それを行うべく、上図で筆者は☖6三銀と指しました。これが端の位を活かしたり、相手が銀冠に組んできたことを逆用する駒組みになります。
こちらに銀を上がると、振り飛車は銀冠に組むことが出来なくなります。ゆえに奇妙な指し方に見えるのですが、これは8筋を攻めることを念頭に置いている意味があります。同時に、振り飛車の玉は8筋方面には向かわず、6二を安住の地にして戦うことになります。
以降は、☖7二金→☖4一飛→☖4三銀という要領で陣形整備を行います。ここまで進むと、振り飛車の狙いが見えてきました。
こうして囲いを雁木系にしたり、下段飛車に構えておけば、☖8一飛と転換する含みが生まれます。そこに飛車が回れれば、☖8五歩と攻める手の迫力が増しますね。この手に期待しているので、振り飛車は☖6二玉型のまま駒組みを進めていたのです。
居飛車としては、飛車を転換される前に動きを見せたいところです。策の一つに☗5九角が挙げられます。これは☖8一飛なら☗1五角とぶつけてコビン攻めを妨害する意図があります。
この場合は飛車を回っている余裕がないので、振り飛車は直ちに☖6五歩と動くのが良いでしょう。
次に☖5四銀左と上がれば、振り飛車は飛車の縦利きが通ってくるので、☖6六歩の取り込みの威力が上昇します。同時に、6筋方面が手厚くなることも見逃せません。
居飛車はそれを指される前に☗1五角とぶつける手もありますが、☖同角☗同歩☖6六歩☗同銀☖8五歩☗同歩☖8六歩と反撃すれば、振り飛車は優位を掴むことが出来ます。
これを☗同銀だと☖6四角が飛銀両取りになります。したがって☗9八銀と辛抱するのは致し方ないですが、振り飛車は☖8五桂と攻めるのが一案です。ここに桂を跳べれば端の位と連動してくるので、攻めに困る心配はありません。上図は先に相手の囲いを傷めることに成功したことが大きく、振り飛車有利と言えるでしょう。
こうした進行を見ると、玉を8二に囲わず、6二に留めたまま戦う構想の優秀性がよく分かりますね。
このように、居飛車の銀冠に対しては、☖6二玉型を維持して飛車を8筋に転換する含みを作る構想が有力です。この構想は一方的に相手の玉頭を攻撃できることが大きく、早い段階で玉の安全度に差をつける将棋になりやすいところがあります。8筋を争点に出来るので、銀冠の組み替えを露骨に逆用できることも魅力ですね。これは非常に破壊力が高い駒組みなので、ぜひお試しください。
いきなり動く手も有力
なお、今回は[☖6三銀→☖7二金→☖4一飛→☖4三銀]とかなり力を溜めてから動きましたが、振り飛車はいきなり☖8五歩と突っ掛ける手も有力です。
なお、これも☖6二玉型だから有効になる指し方と言えます。
これを☗同歩だと、☖同桂→☖6五歩で角のコビン攻めに期待します。居飛車は囲いの金銀が離れた瞬間に動かれているので、これは望ましい進行とは言えません。
よって、上図では☗7八金と引き締まるほうが無難ですが、これには☖8六歩☗同角☖6三銀と進めておきましょう。
このあとは、やはり☖7二金→☖4一飛と進めて飛車の転換を狙います。今度は8筋の歩が切れているので、☖8一飛と回る手がより有効になりやすい印象ですね。
繰り返しになりますが、玉を6二で止めておけば8筋から戦端を開きやすくなるので、振り飛車は攻め筋の幅が非常に広くなります。これを踏まえると、振り飛車は持久戦の将棋になった際、相手が左美濃を選んできたら、なるべく☖7一玉と引く手を後回しにしたほうが得策だと言えるでしょう。こうした豆知識を一つでも多く知っていると、序盤を有利に導くことに繋がると思います。
また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです。
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