どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【寄せの準備の整え方】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) November 27, 2024
こちらは敵陣に成桂を作っていますが、これと持ち駒の金だけでは戦力が足りません。ゆえに、それを増やす必要があります。… pic.twitter.com/KqSqYxEvYS
将棋は終盤戦に入ると、基本的には敵玉の寄せに向かう段階に入ります。しかし、このとき寄せの準備が整っていないと、相手の囲いを攻めても上手くいきません。ただ、具体的に何を持って寄せの準備が整っているのか? ということを判断するのは、意外に難しい技術と言えます。
そこで今回は、寄せに向かうときの考え方をテーマにして、解説を進めたいと思います。
大駒の増援が最優先事項
改めて、上記ツイートの始めの場面を振り返ってみましょう。下図は相手が☖2七飛成と指し、竜を作ったところです。
この局面は、こちらの玉型が堅く、かつ[金桂⇄飛]の交換で駒得にもなっています。ゆえに形勢ははっきり優勢です。このアドバンテージを活かして、どのように寄せを決めるかという段階ですね。
ただ、こちらには一つだけ懸念事項があります。それは攻め駒の数が少ないこと。したがって、それを改善することがファーストミッションと言えるでしょう。
攻め駒を増やすには複数の手法がありますが、中でも垂れ歩は非常にコスパがよい方法です。上図から☗4四歩☖同歩☗4三歩と進めるのは、確かに有力な手段と言えます。
後手はと金攻めを防ぐ手段はないので、☖4九飛で開き直ってくることでしょう。以下、☗4二歩成☖6一玉と進むのは妥当です。
さて、この局面を迎えたとき、どういった印象を受けたでしょうか。こちらは攻め駒を増やすことが出来ましたが、敵玉を一気に仕留めることは難しいですね。そうなると、角取りを受ける必要が出てきます。
ただ、ここで☗3五角だと☖3七竜で状況が悪化しますし、☗4七歩は☖1九と→☖2九竜と進められると先に自玉に詰めろが掛かってしまいます。ゆえに、上図は見た目以上に面倒な状況だと言えます。
この進行が冴えない理由として、攻めの威力が低いことが挙げられます。確かにと金攻めは効率の良い手法ですが、上図に関しては小駒だけの攻めになっているので、どうしても威力が高くならない側面があります。それが面倒な状況を招いてしまう一番の要因なのです。
こうした背景があるので、冒頭の局面で筆者は、別のアプローチで攻め駒を増やすことにしました。具体的には、☗3五角と指します。これが最も敵玉に対して脅威を与える一着になります。
ここに角を配置すれば、相手の守備の要である6二の金を睨むことが出来ます。こうして大駒を寄せに参加させれば、戦力が大いに増強されるので、必然的に攻めの威力も格段に上がります。
上図で後手は3五の角の利きを堰き止めたいところですが、持ち駒が大駒しかない状況では、そうした手段がありません。ゆえに本譜は☖3七竜で桂を取ってきましたが、これには☗4三成桂がピッタリ。角を活用したことで、寄せに向かえる状況になったことが分かります。
☖同玉には☗6二角成で金が取れますね。これは次に4四へ馬が引けますし、馬の利きが3五や2六にも届いているので、相手は上部脱出が望めない状況です。
ゆえに☖6一玉と引くのはやむを得ませんが、こちらは☗6二角成☖同玉☗5三金☖7二玉☗6二金打と畳み掛ければ問題ないでしょう。
ここまで進むと、もう難しい部分はありません。相手は玉を逃げるしかありませんが、こちらは☗6三金寄→☗7二金寄→☗7三金寄とひたすら二枚の金を敵玉に向かって接近させれば OK です。相手は金駒が一つも無いので、全く受けが利かない状況ですね。
こうして一連の手順を見ると、☗3五角と大駒を活用させた手が、一気の寄せに繋がったことが読み取れます。
このように、敵玉の寄せに向かう際には、自軍の戦力をきちんと増やしておくことが大事です。そして、それを増やす際には大駒の増援を最優先にしましょう。当然ながら、大駒は小駒よりも強い駒なので、それが寄せに参加するか否かは、寄せの威力に大きな影響を与えます。使えていない大駒があるならば、それを早急に改善する意識が大事です。
敵の守備駒の数にも注目する
ところで、将棋には「四枚の攻めは切れない」という格言があります。これは寄せに向かう際にも大いに役立つ指針であり、攻め駒の数を四枚揃えておけば、攻めが切れる心配はほぼありません。
ところが、今回の題材ではよくよく見ると、自軍の攻め駒が三枚しかない状態で敵玉の寄せに向かっており、そしてその姿勢で成功しています。これについても補足しておきましょう。
こちらが三枚の攻めでも成功した要因は、相手の守備駒の数に秘密があります。
今回の題材の敵玉は、枠内の部分が「囲い」と言える部分です。ご覧のように、この囲いは金銀二枚で構成されていますね。こうした守備駒が二枚の囲いが相手だと、実は攻め駒を四枚揃える必要がありません。
そもそも、なぜ「四枚の攻めは切れない」のかと言うと、将棋の囲いは概ね金銀三枚で構成されているからです。三枚の守備駒に対し三枚で攻め掛かっても、あまり大きな戦力差はつきません。そうなると、攻めあぐねることは目に見えています。だからこそ、攻め駒を四枚揃える必要があるのですね。
そして、この理屈を踏まえると、相手の囲いの守備駒が二枚であれば、三枚の攻めで事足りるということになります。ゆえに、☗3五角の次には、直ちに☗4三成桂と踏み込むことが出来るのです。
要するに、寄せの準備は相手の守備駒の数によって、必要な工程(確保するべき攻め駒の数)が変わる性質があります。こうしたことも意識しておくと、寄せに向かう際に行うべきことの判断が、より正確になるのではないかと思います。
また、寄せに向かうときに意識すべきことは、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
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