どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【角交換振り飛車の攻略法】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) December 1, 2024
相手が☖22飛と回ってきたところ。この形の角交換振り飛車には、☗33角成→☗65角が成立します。… pic.twitter.com/k27KPYert1
角交換振り飛車は、角道を止める振り飛車とはかなり性質が異なります。ゆえに、対策を知らないと戸惑いを覚える方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、角交換振り飛車に対して有力な作戦を解説したいと思います。
速攻で撃破する
今回は、上記ツイートの少し手前の局面から振り返ってみましょう。下図は後手が☖2二飛と回って、戦法を決定させたところです。
ご覧のように、相手は角道を開けたまま向飛車に振っています。まだ角交換は行っていませんが、☖4四歩を指さずに飛車を振ったことから、角交換振り飛車を志向しているのは明らかですね。
これに対し、居飛車は大人しく駒組みを進めても一局ではあります。ただ、このオープニングの角交換振り飛車には、速攻で良さを求めるのが最適です。具体的には、☗3三角成☖同桂☗6五角で馬を作りにいくのが良いでしょう。
こうすれば4三か8三に角が成れるので、こちらは確実に戦果を上げることが出来ます。また、ここで☖7四角と合わされても☗4三角成が桂取りになるので、これも心配ありません。相手は3三の桂が浮いていることが祟っていますね。
ただ、この速攻を決行すると、居飛車は一つ気にしなければならない反撃があります。それは、☖4五桂と跳ねてくる手。これには☗4八銀が妥当ですが、こうして飛車の横利きを止めると、☖5五角を打たれた際、8八に銀が上がれないので、9九の香取りが受けにくい側面があります。
そうなると居飛車は困ったようですが、☖5五角には☗9八香と逃げるのが眼目の一手。これで居飛車は局面を優位に導くことが出来ます。
これは9八の地点で香を取らせることで、相手の馬の働きを悪化させる意図があります。百聞は一見に如かず、ひとまず、ここから数手ほど局面を進めてみましょう。
振り飛車は、もちろん☖9九角成と指しますが、こちらは☗7八銀☖9八馬☗4三角成と進めておきます。
居飛車は香損になっていますが、この局面をよくよく見ると、4五の桂は確実に回収が見込めます。ゆえに、実質的には損得は無しと言えます。そうなると、形勢の鍵は玉型や駒の効率が握ることになりますね。そして、上図はそれらの要素が居飛車に分がある状況なのです。
後手は馬の働きが悪いので、☖8八馬と活用するのが自然です。対して、先手は☗4六歩で桂を捕獲しましょう。以下、☖4二銀☗3四馬が進行の一例ですが、こうなると居飛車の優位性が徐々に顕在化することになります。
このまま☗4五歩で桂が取れれば、居飛車は二歩得していることが大きい上に、将来、4筋の歩を伸ばして攻めることも出来ます。よって、ここでは3七か5七の歩を取ることになりますが、そうなると居飛車は他力を利用して自陣の駒が活用できるので、相手よりも駒組みが早く進みます。それが非常に大きいですね。
加えて、上図は飛車の働きにも差があります。先手は2筋の歩を伸ばしているので、そこから飛車を使いやすい格好です。対して、後手の飛車はそうでないことは火を見るよりも明らか。あの飛車を世に出すなら3筋や4筋に移動させることになりますが、それを指すと2筋の守りがお留守になるのが痛いですね。こうした背景があるので、上図は居飛車が有利と言えます。
ただ、ここに至るまでの手順を振り返ると、振り飛車は概ね自然な指し手の連続でした。そうした態度で形勢が芳しくないのであれば、元の局面が悪かったということになります。すなわち、☗6五角の速攻が成立していたことが読み取れます。
このように、[☖3三桂・☖2二飛型]の角交換振り飛車には、☗6五角から速攻で良さを求めるのが有力な作戦になります。この変化は乱戦にはなりますが、途中の☗9八香で相手の馬の働きを悪くできることが大きく、居飛車は駒の効率で大きくリードを奪うことが出来ます。見た目以上に居飛車が勝ちやすい将棋になるので、ぜひお試しください。
飛車を遊び駒にしない
先述したように、この変化の振り飛車は、局面が落ち着いたとき、2二の飛が使いにくくなるのが一番の問題と言えます。したがって、そうした状況を回避する策が必要と言えます。
案の一つに、9九に馬を作った後、☖4二飛と回る手が考えられます。これの対処についても触れておきましょう。
これは8三の歩を取らせることで、将来、飛車を8筋から使う含みを見せています。後手はこちらの歩を取らせるほうが、被害が少ない指し方と言えます。
居飛車は先程と同じように、馬を作って4五の桂の回収を進めるのが絶対です。すなわち、☗8三角成☖9八馬☗5六馬と進めます。後手はのんびりできないので、☖8五香から攻めてくることでしょう。
8七の地点は数的不利が確定しているので、ここは開け渡すよりありません。ゆえに☗4五馬は必然です。後手は当然、☖8七香成☗同銀☖同馬と進めてきますね。
その局面は、次に☖8二飛と回られると非常に厄介です。先手は、それを牽制する手が必要ですね。その方法は複数ありますが、☗3九銀と引いて飛車の利きを増やすのが最も率の良い指し方になります。
奇異な一手に見えますが、こうすれば☖8二飛には☗8八香というカウンターが発動できます。☖同馬には☗同飛☖同飛成☗3三角で王手竜取りが掛かりますね。ゆえに、こちらの8筋は意外に安全なのです。
このあとは、☗8四歩や☗2四歩などの攻めが楽しみです。上図は銀桂交換の駒損ですが、これも駒の効率で大きくリードしているので、居飛車が面白い将棋です。こちらは飛車が縦横に使えることや、9九の香が捌けていることが大きいですね。
この速攻策の居飛車は、とにかく駒の効率の差を主張することが肝要です。特に、飛車の働きの優位性を主張することが大事で、これの差を逆転される展開は避けなければいけません。☗3九銀は奇妙な一着に思えますが、その観点を踏まえると、非常にロジカルな一着であることが分かります。こうしたことを意識しておくと、この作戦を指しこなす上で役に立つかと思います。
また、こうした角交換振り飛車を撃破する有力な手段は、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
0件のコメント