どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【攻める条件を良くするテクニック】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) December 23, 2024
敵陣には8八に駒を打つ隙があります。ただ、いきなり☖88角は☗77銀で上手くいくかどうか不透明なところがあり、確信が持てません。… pic.twitter.com/M2juRLqYvi
将棋を指していると、「攻めたいのに適切な手段が見当たらない……」という場面を迎えることもありますね。そうした場面では、そもそも敵陣が攻めにくい状況に陥っていることも少なくありません。
そこで今回は、どんなことを意識すれば分かりやすい攻め筋が作れるのか? ということをテーマにして、解説したいと思います。
自分の大駒を安定させておく
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。下図は相手が☗2八飛と指し、飛車取りを防いだところです。

この局面は、相居飛車の力戦形です。こちらは2二に角を打ち込まれる隙はありますが、自陣は概ね安定しており、攻勢に出ることができる状況です。ゆえに、上手く手を作りたいところですね。
敵陣を攻めるのであれば、8八の隙を突くのが自然です。ただ、☖8八歩は☗7七桂と逃げられると、意外に厳しい攻めは見当たりません。
そうなると、☖8八角と打つ手が候補に上がります。ただ、これを指すと☗7七銀で大駒を取りに来られる手が気になりますね。

ここからは、☖同飛成☗同桂☖9九角成☗2二角という進行が予想されます。こちらは[銀香⇄飛]の二枚替えで駒得になりましたが、1一の香は確実に取られるので、あまりそれを主張にできる状況ではありません。それゆえ、上図はやや攻め損なった感があり、好んで選びたい進行とは言えない側面があります。
そうした背景があったので、冒頭の局面で筆者は、少し力を溜めることにしました。具体的には、☖7四飛と引きます。これが攻めやすい状況を作る一着ですね。

自ら飛車を撤退して手番を渡すので、傍目には大人しい指し方に感じるかもしれません。しかし、こうして主戦力である飛車を安定させると、こちらは攻める条件が格段に良くなるのです。
具体的には、☗7七銀の受けを未然に防止していることが大きいですね。

つまり、先程は☖8八角を打っても☗7七銀があるので攻めが成功するかどうか不透明だったのですが、上図では安心して角を打ち込めるので、間違いなく攻めが成功します。例えば☗2二角☖8八角☗1一角成☖9九角成と互いに香を取り合うと、次の☖8八歩が厳しいので、こちらの旗色が良い攻め合いになりますね。敵玉に近い場所に馬を作っていることが大きいです。

したがって、上図で相手は8八の地点の隙を消す必要があります。そうなると☗7九玉が一案ですが、これには☖9五歩☗同歩☖9七歩☗同香☖9八歩と進め、9筋に垂れ歩を設置するのが筋の良い攻め方になります。

相手はと金攻めを受け入れるわけにはいきません。ただ、☗8八玉では玉が戦場に近づくので、非常に危うい受け方です。こちらは☖9三桂で増援すれば、攻めが繋がるでしょう。
他には☗6六角も一案ですが、これは☖9九歩成☗同角☖9六歩☗同香☖7六飛と進めれば、こちらは自分だけ香が取れる状況になるので、はっきり優勢になります。相手は角を手放したので、2二に打つことが出来ませんね。

なお、☖7四飛と引いた局面では、☗7七銀と上がって8八のキズを消す手も考えられます。ただ、これも☖9五歩☗同歩☖8六歩で手を作りに行けば、こちらは戦果を上げることが出来ます。やはり、☖9五歩の突き捨てが急所ですね。

☗同歩には☖9八歩☗同香☖8七角があります。また、☗同銀には☖8八角で良いですね。いずれも9筋の香が確実に取れるので、こちらは万々歳の進行です。
上図では歩を取らずに☗7八金のほうが粘り強い受けですが、☖9八歩☗同香☖9七歩☗同香☖9八角と進めれば、桂取りと☖8七歩成が同時に狙えるので、これも技が掛かります。ゆえに、この局面はこちらの攻めがヒットしていると言えるでしょう。
複数の変化を見ましたが、いずれもこちらは飛車を7四に引いたことで、安心して攻めに専念できる状況に持ち込めたことが読み取れます。

このように、攻めやすい状況を作るには、自分の大駒を安定させることがコツの一つです。攻めの主軸である駒が狙われにくい状況になれば、受け側は敵の攻めの威力を下げることに苦心するので、攻めが成功しやすいという訳なのです。これは非常に汎用性が高いテクニックなので、ぜひ意識してみてください。
「大駒は近づけて受けよ」なのだから……
ところで、将棋の格言の中には、「大駒は近づけて受けよ」という格言がありますね。これは、受けるときには敵の大駒が自軍の近い場所にいるほうが、金銀を使って弾きやすいので都合が良いということを示唆しています。
そして、この格言を踏まえると、今回の題材のような☖7四飛と引く手の価値は、とても高いことが見えてきます。

もう、説明は蛇足という感もありますが、攻め側にとって自軍の大駒は、なるべく敵陣から離れた場所に据えておくのが基本です。竜や馬なら死角が無いので近いほうが好都合なケースは多々ありますが、飛角はそうではないので、接近戦を好んで挑む理由はほぼありません。ゆえに、それらの駒をいつまでも敵陣の近くに配置させるのは、賢明な態度とは言えないのです。
そうした性質があるので、この☖7四飛は大いに意義のある手なのですね。一回休みのように見えるかもしれませんが、こうした「価値あるパス」をしっかり指せるようになると、指す将棋の質が大いに変わってくるかと思います。
また、こうした攻め筋を作る際に意識すると良いことは、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
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