どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【乱戦でも基本に忠実に指せ】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) January 4, 2025
お互いに馬を作り合っており、典型的な乱戦になっています。こうした将棋は選ぶべき手が分かりにくいものですが、やはり基本に忠実に指すことが大切です。… pic.twitter.com/R0EcNDevLq
基本的に将棋は、序盤は駒組みを、終盤は寄せを行うので、それらの領域で方針に迷うことはあまり多くないかと思います。けれども、中盤に関しては漠然とした局面に直面しやすく、方針の定め方が難しいことが多々ありますね。
そこで今回は、そういったシチュエーションを乗り切る方法をテーマにして、解説を進めたいと思います。
大駒の働きを第一に考える
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗１八香と指し、こちらの歩を取ったところです。
この局面は、お互いに囲いが完成していない状況で馬を作り合っており、まさに大乱戦になっています。こうした将棋は定跡などで学んだ知識が活かしにくいので、何を指針にして指せば良いのか分かりにくいかも知れません。
ただ、こうした乱戦でも、基本原則は定跡形の将棋と何ら変わりません。その点を意識すると、取るべきプランが見えてくるかと思います。
さて、将棋の定跡はいろいろなものがありますが、基本的にはどの定跡も、導入部分では大駒の働きを高める手を指すことが殆どです。特に、居飛車系の定跡はそれが顕著ですね。
それを踏まえると、冒頭の局面では飛車を活用させることが急務であることが見えてきます。確かに、現状、この駒は満足に働いているとは言えないので、これの働きを改善すると大いに費用対効果が高そうです。
そうした考えから、上図で筆者は☖５二飛と指しました。これが局面の急所を捉えた一着になります。
見た目は派手なので基本に忠実とは思いにくいですが、こうして働きの悪い大駒を要所に運ぶのは、悪手にならないとしたものです。その上、この場合は相手の最強の駒との交換を迫っているので、なおさら効果が高い手と言えます。将棋を指す上で、こうした手は絶対に逃してはいけません。
上図で相手は馬を逃げると☖５七飛成で自陣が崩壊するので、☗同馬と応じるよりありません。こちらは馬の取り方が複数ありますが、☖同金右が一番自陣の安定感が高いですね。
その局面で相手は、１七の銀取りが残っています。ゆえに☗１六歩と受けるのは自然ですが、こちらは手番を得たので一気に畳み掛けましょう。具体的には、☖４七歩と叩くのが痛烈な一撃となります。
これを☗同玉だと、☖７八馬☗同金☖６九角が王手金取りです。また、☗３九玉と引くのも☖７八馬☗同金☖５九飛で快調に攻めが続きます。
相手は自玉を４八に留めるなら☗４七同金になりますが、これには☖２七角と打てば、やはり敵陣は収拾困難な状況となります。
これは☖４九馬の詰めろを掛けつつ、香取りになっています。相手はこれらの狙いを同時に防ぐことが出来ないので、手段に窮していますね。よって、上図はこちらが勝勢と言っても良いレベルです。
こうして一連の進行を見ると、☖５二飛とぶつけてからは、一気に局面が分かりやすくなった印象を受けるのではないでしょうか。これが大駒を活用させた力なのです。
将棋は今回の事例のように、ときに見たことも無いような乱戦になってしまうこともあります。しかし、どんな状況においても、働きの弱い大駒を活用させることは、計り知れない価値を秘めています。採るべき方針が分からなくなってしまった場合は、まず自軍の大駒の効率に意識を向けると、良いプランを見つけることに繋がるかと思います。
相手の遊び駒が多い状態はチャンス
ところで、今回の題材ではメインテーマではなかったので、あえて触れてはいなかったのですが、冒頭の局面では、もう一つ注目しておきたい部分がありました。
それは、敵陣に遊び駒がたくさんあったことですね。
具体的には、相手の赤枠で囲った部分です。この局面は、１～６筋が主な戦場になっており、７・８筋に居る駒はあまり機能していません。
特に、８八の銀の働きが弱いことが大きいですね。こちらとしては、先述したように激しい流れに持ち込んでしまえば、あの銀を使わせない展開が期待できます。逆に、ここで悠長な態度を取ってしまうと、あの銀に立て直されてしまうので、ヨリが戻りかねません。
要するに、相手に遊び駒が多い場合は、アクセルを踏んで一気に決着をつけに行くような方針を選ぶほうが良いのです。そうしたことも意識すると、中盤戦の精度が高くなるかと思います。
また、こうした中盤で方針に迷ったときに役に立つ考え方は、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
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