雁木を指す上で覚えておきたい必修手筋②

どうも、あらきっぺです。

今回の題材は、こちら。

【地下鉄飛車の攻めを受ける手筋】

相手が自陣に角を打ったところ。これは次に☗65歩と突いて飛車を動かし、☗95歩の攻めを狙っています。… pic.twitter.com/2rahuuOEa7

— あらきっぺ (@burstlinker0828) April 2, 2025

雁木は先後に関わらず採用できるので、使い勝手のよい戦法です。ただし、この戦法は駒組みが守備的なので先攻されるケースが多く、敵の仕掛けの対応を知っていないと、すぐに形勢を損ねてしまう性質があります。

そこで今回は、雁木を指す上で覚えておきたい必修手筋をテーマにして、解説を進めたいと思います。

飛車の横利きを上手く使う

今回は、上記ツイートの少し手前の局面から解説します。図は相手が☗９九飛と指し、９筋から攻めようとしているところです。

こうした局面は、相雁木の将棋において頻出しやすい形の一つですね。似たような局面を経験された方は、少なくないのではないでしょうか。

さて、このまま無抵抗に９筋を突破されるとまずいので、こちらは何らかの対処が必要です。９五の地点の数的不利を解消するなら☖８四角ですが、自分だけ早期に角を手放すのは妥協であり、選びたい手段ではありません。

したがって、ここは持ち角を使わない受けを講じるほうがスマートです。具体的には、８筋の歩を交換して☖８四飛と引きましょう。

こうすれば、☗９五歩☖同歩☗同香と仕掛けられても☖９四歩で受かります。地下鉄飛車の打開策は、端のどこかに利きを増やせば防げることが多く、９五の地点へ利きを増やすことに拘る必要はありません。

相手としては、８四の飛が端攻めを妨害しているので、この駒を動かす策が必要です。例えば☗５七角と打ち、それに狙いを定めるのは一案です。

これは次に、☗９五歩☖同歩☗同香☖９四歩☗６五歩という打開を狙っています。それをスムーズに実現されると、やはり端の対処が難しくなります。ただ、☗６五歩の突き出しそのものを防ぐことは難しいので、端を安定させるのは現実的ではないように感じるかもしれません。

ところが、ここから☖８五桂☗同桂☖同飛で桂交換を行うと、思いの外、ピッタリ受けが成功する形になるのです。

相手が角を手放した瞬間に桂交換を行うのが柔軟な態度です。もし角を持たれていると☗７三角の打ち込みを心配しなければなりませんが、上図ではそれが無いので、桂跳ねを咎められる可能性がありません。これで飛車を８五へ移動させれば９五の地点の数的不利を解消できるので、敵の仕掛けを牽制できます。

ここで相手が端攻めに拘るのであれば、☗９五歩☖同歩☗７七桂と進め、力づくで８五の飛を移動させることになります。けれども、これには大人しく☖８三飛と引いておけば、特に問題ありません。

ここで☗９五香には、☖９四歩☗同香☖９三歩で受け止めることが可能です。９三の地点が補強されているので、相手の二段ロケットが火を吹くことはありません。

上図で相手が９筋を確実に破るなら、☗６五歩と突っ掛けることになります。しかし、ここの歩を突かせれば☖６五同歩で位が取れるので、こちらは反撃の準備が整います。以下、☗９五香には☖９八歩☗同飛☖６六桂のカウンターが炸裂します。この変化は後の☖８九角が痛烈なので、相手は支えきれません。

こうした変化を見ると、こちらは上手く飛車の位置を微調整することで、地下鉄飛車の打開策をいなしたことが読み取れます。

こうした相雁木の将棋において、地下鉄飛車を使って打開するのは常套手段の一つです。この場合、受け側は飛車の横利きを使って対処することを考えましょう。こうして軽く受ける姿勢を取るほうが、駒の効率が良かったり反撃しやすい恩恵が得られるので、状況を好転させることに繋がります。

自玉の位置に注目する

なお、こうした飛車の横利きを使って地下鉄飛車の攻めを受けるには、ある部分に注目することが大事です。

具体的には、「自玉の位置」ですね。

例えば、もし冒頭の局面でこちらの玉が６二に居たとします。そして、こうした配置だと自玉が９筋（戦場）に近いので、先述した受け方を行う条件が悪く、芳しくない情勢になりがちです。

したがって、相手が地下鉄飛車の挙動を見せてきたら、自玉をそれと反対方向へ移動させて待機しましょう。そうして自玉を安定させれば、飛車の横利きを使って受けるプランが採用しやすくなります。そうしたことを意識して、陣形整備を行うことが大事ですね。

また、こうした雁木を指す上で覚えておきたい必修手筋は、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。