どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【横から攻めるときの必修手筋】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) April 10, 2025
こちらは手番を握っているので、攻めに転じたいところです。ただ、現状は竜の横利きが止まっているので、それを改善したいですね。… pic.twitter.com/gR6BnQdxPb
将棋は中盤以降、敵陣をどう攻めるかは大きなテーマの一つです。ただ、ときには「攻めの方法がどうしても分からない…」という場面に遭遇することもあるでしょう。
そこで今回は、敵陣を攻める際に心掛けておくと良いことをテーマにして、解説を進めたいと思います。
横から攻めるときは一段金を動かす
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖4六角成と指し、馬を作ったところです。

この局面は、こちらは駒得の上、飛車が成り込めており、手番も握っているので大いに優勢です。この優位性をどう広げるかが、こちらの命題ですね。
ここは攻守どちらを選んでも悪くないですが、現状でも自陣はそれなりに安全なので、直線的に攻め合って勝てれば話は明快です。着実に攻めるなら、☗2三歩でと金を作る手が挙げられます。以下、☖5七桂不成☗6八金☖4九桂成☗2二歩成が進行の一例です。

これはこれで先手が悪くないのですが、読者の皆様はどういった印象を受けたでしょうか。「ちょっと、攻めが遅いような……」と思われた方は、よい感性をしています。そう、この攻め方は渋滞感が強い嫌いがあるのです。

上図では次に☗3一とで銀を取っても、敵の本丸には影響がありません。また、☗3一とのときに☖5二金左と逃げられても、と金が邪魔をして竜の活用がスムーズに出来ない問題もあります。これらの要素が、こちらの攻めの渋滞感の正体です。こうした不安要素がある以上、この進行はベストとは言えません。
そうした背景があるので、冒頭の局面で筆者は☗4二歩と指しました。これで4一の金にアタックするのが最速の攻めになります。

これは金取りであり、相手はこの歩を取ることが出来ません。取ると、3・4筋の金銀のどちらかが浮き駒になってしまうからです。
そうなると、開き直って☖5七桂不成と攻め合って来るのは一案です。ただ、☗6八金☖4九桂成☗4一歩成と進めておけば、先程の変化とは雲泥の違いが出ていますね。

先程の変化は、4九の金を取られた直後に☗2二歩成と指していました。しかし、上図では既に敵の金を入手しているので、外堀をほぼ破壊しています。加えて、次に☗5一と☖同金☗3一竜と手番を取りながら銀を入手することも出来るので、攻めの速度も段違いですね。
こうした変化を見ると、4一の金を優先的に攻撃した恩恵が分かります。

後手としては、直線的に攻め合うと簡単に負け筋に入ってしまいます。そうなると、何らかの受けが必要になってきます。粘るなら、☖3二銀☗1一竜☖4二金が自然ですね。
ただ、こうして竜の横利きが直通すれば、☗6六飛が快心の一撃になります。

これは馬取りと同時に、☗6三飛成☖同玉☗6一竜という寄せを狙っています。☖2一歩の底歩を打たれる前に殺到してしまえば、相手は3・4筋の外堀が機能しなくなるので、スムーズに仕留めることが出来ます。この変化も、先手の攻めが決まっていますね。
こうして複数の変化を見ると、こちらは☗4二歩と叩いたことで、敵の外堀を上手く崩せた(掻い潜れた)ことが読み取れます。

将棋において、飛や竜の利きを使って敵陣を横から攻めるのは、出現頻度が高いシチュエーションの一つです。そうした場面では、上図のように敵の一段金を移動させる手が急所になることが多々あります。一段金の守備力を削げば飛や竜の横利きが遮断される心配が激減するので、自ずと攻めの威力が高まります。これは汎用性の高い法則なので、意識しておくと良いでしょう。
格言を「反転」させて応用する
ところで、将棋には格言と呼ばれるものがありますね。「終盤は駒の損得よりスピード」「玉は包むように寄せよ」といったものが代表例です。
こうした格言は汎用性の高い性質を凝縮した言葉なので、指す手に迷った際には役に立つ指針と言えます。そして、この格言というものは、解釈の幅を広げれば、さらに上手く活用することが可能です。

今回の題材で話をすると、この☗4二歩という手は、「一段金に飛車捨てあり」という格言を拡大解釈しています。こちらは飛車を二枚有していますが、敵陣の配置が一段金なので、少し相性が悪い状況です。ただ、一段金が相手でなければ、二枚飛車が火を吹くことは言うまでもありません。☗6六飛と打った変化は、それが具体化した局面だと言えるでしょう。
このように、格言は意味を反転させても理屈が成り立つすることが多く、こうした思考が拡大解釈の手法の一つです。こうした視点を持って格言の意味を咀嚼すると、棋力向上に繋がるのではないかと思います。
また、こうした敵陣を攻める際に心掛けたことが良いことは、他にもあります。詳しくは、以下の記事で解説しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
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