どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【侵入してきた駒は追い払え】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) May 30, 2025
こちらは2七に馬を作られており、これを放置していると☖38銀など嫌らしい手が残ってしまいます。ゆえに、これを追い払うのが先決です。… pic.twitter.com/vkOIx8oDCf
基本的に将棋は、序盤は駒組みを、終盤は寄せを行うので、それらの領域で方針に迷うことはあまり多くないかと思います。けれども、中盤に関しては漠然とした局面に直面しやすく、方針の定め方が難しいことが多々ありますね。
そこで今回は、そういったシチュエーションを乗り切る方法をテーマにして、解説を進めたいと思います。
侵入してきた駒は追い払う
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖2七角成と指し、馬を作ったところです。

この局面は、こちらが三歩得している上に、玉型の安定感も勝っているので先手が優勢です。しかしながら、たとえ優勢な状況だったとしても、緩んだ手を指したり方針を誤ってしまうと、途端に優位性が小さくなるのが将棋の怖いところ。ゆえに、こうした場面でも価値の高い手を指さないと、相手を突き放すことは出来ません。その手段を見つけ出すことが、こちらの命題ですね。

さて、この局面で相手は、次に☖6五銀が狙いの一つです。この飛車を追えば☖8六飛と走る含みが生じます。よって、それを丁寧に防ぐために☗7七桂は一案です。遊び駒を活用しているので、一石二鳥とも言えますね。
ただ、この手を優先すると、☖3八銀と打たれる手が気になります。

先手は金銀交換を甘受すると自玉の危険度が上がります。かと言って、☗4八金と逃げるのは☖2九銀不成で駒損になりますね。先手はこれを打たせる手も全くないわけではありませんが、できれば危ない橋は渡りたくないので、避けたほうが賢明でしょう。
上図の変化から読み取れるように、冒頭の局面でこちらは、2七の馬が脅威と言えます。したがって、その問題をクリアすることが先決です。ゆえに、筆者は☗2八歩と指しました。これが最も優位を拡大できる一着ですね。

これはタダのようですが、☖同馬だと☗2六飛が馬金両取りになるので、相手はこの歩が取れません。なお、2七の馬を追い払うなら☗3八銀や☗1六角でも実行できますが、歩で済むならそれが最もリソースが少ないので、それに越したことはありません。
上図で相手は馬を逃がすしかないので☖4五馬は妥当ですが、それから☗7七桂と跳ねましょう。

今度は相手の馬を撤退させたので、☖3八銀と打たれる心配がなく、自陣は安泰です。また、この手は次に☗8五歩→☗8六飛から8筋を逆襲する狙いも秘めています。
後手がそれを防ぐなら☖4四馬☗8五歩☖5三馬と進めることになりますが、こちらは攻めに専念できる格好なので、果敢に行きましょう。具体的には、☗7四歩☖同歩☗8四歩が筋の良い攻め方です。

これを☖同飛だと☗9五角の王手飛車があります。また、放置していると☗8三銀や☗8三角で成駒が作れます。後手が辛抱するなら☖7二銀ですが、☗8三銀☖同銀☗同歩成☖同飛☗8四歩でゴリ押しすれば、やはり8三に駒を打ち込む形になるので攻めが続きますね。一方的に敵陣を攻撃できる情勢なので、上図は先手が優位を維持することに成功していると言えるでしょう。
こうして一連の進行を見ると、こちらは☗2八歩で敵の馬を追い払ったことで、安心して攻めに専念できるようになった(方針が分かりやすくなった)ことが読み取れます。

中盤の目的の一つは、自軍の駒を敵陣に侵入させ、その駒を寄せの足掛かりにすることです。これは裏を返せば、自陣に敵の駒が侵入してきたら、早急に追い払う必要があることを意味します。こうした点を意識すると、中盤で適切な方針を見つけ出すことが出来るでしょう。
攻める前に傷を消す
繰り返しになりますが、今回の題材では侵入してきた攻め駒を追い払うことが話の肝でした。ゆえに筆者は☗2八歩と指したのですが、この手を選んだ背景には、別の理由もあったのです。
それは、「攻める前に傷を消す」ということですね。

先述したように、中盤の目的の一つは「敵陣への侵入」であり、そのためには攻めることが必須です。しかし、自陣に憂いがある状態で攻勢に出ると、相手のカウンターを食らいかねません。ゆえに、攻める前にはきちんと傷を消す工程が必要になります。だからこそ、☗2八歩は価値の高い一着なのですね。
なお、この理屈は汎用性が高く、幅広い場面で役に立つ考え方です。例として、今回の題材とは全く異なる戦型を挙げておきましょう。
【攻める前に傷を消す】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) April 24, 2022
攻めるなら☖67飛成ですが、現状は☗34桂が気になります。
なので、☖34歩と打ちました。☗同銀なら☖33歩と固めてから☖67飛成でOK。これは安心感がありますね。
攻める前に自陣の傷を消すことを心掛けると、崩れにくい将棋が指せるようになります。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/hyFubYcawI
将棋の中盤は、こうして丁寧に自陣の安定感を高める手を指せるかどうかで、優劣が変わることが多々あります。基本的には敵陣を攻めることを考えるのが大事ですが、自陣を省みることもきちんと意識すると良いでしょう。
また、こうした中盤で方針に迷ったときに役に立つ考え方は、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
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