どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【威力の高い攻めを放つコツ】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) October 3, 2025
こちらは右辺を攻めやすい配置になっており、戦果を上げたいところです。攻め方は複数ありますが、ここは2三に銀を捨てるのがスマートですね。… pic.twitter.com/KPMaMLkZ9Z
将棋は中終盤に入ると、多かれ少なかれ敵陣を攻めることを考えなければなりません。そして、その際にはなるべく威力の高い攻めを繰り出したいものですね。ただ、具体的にどんなことを心掛ければ威力の高い攻めが放てるのかということには、意外に意識が薄い部分なのではないでしょうか?
そこで今回は、厳しい攻めを繰り出す考え方をテーマにして、解説を進めたいと思います。
主軸の駒が狙われないようにする
改めて、上記ツイートの始めの場面を振り返ってみましょう。下図は相手が☖1九角成と指し、香を取ったところです。

こちらは香損ではありますが、攻め駒は存分に活用できており、かつ自玉も安定しています。ゆえに、ここで厳しい攻めを放って戦果を上げてしまえば、駒損は然したる問題ではなくなります。その具体案を模索することが、こちらの命題ですね。

上図では、3二の金を移動させれば飛車が成り込めます。そうなると、☗2二歩と叩くのは一案ではあります。確かに、これで形勢が悪いわけではありません。
ただ、この攻め方だと☖1八馬で飛車を狙われる手が少し厄介です。

☗5六飛だと☖5四香で手番を失いますし、☗3九飛だと☖3六香☗3七歩☖2八馬で、飛車を隠居させられてしまいます。こうなると、「3二の金を動かして飛車を成る」という組み立てが崩れているので、こちらは望ましい進行とは言えません。この変化は、攻めの主軸である3六の飛を攻撃されていることが痛いですね。
こうした背景があるので、冒頭の局面では、3六の飛が狙われにくい攻め方を選ぶほうが賢明です。具体的には☗2三銀不成と捨てます。これが最も威力の高い攻めですね。

これを☖同金だと☗3一飛成で攻めが続きます。こちらは一時的には銀香損ですが、右辺の桂香を回収すれば四枚の攻めになりますし、竜を作る価値がべらぼうに高いので問題ありません。
また、今度は☖1八馬と引かれても、☗3二銀不成☖3六馬☗4三銀成と踏み込めます。これは飛車を失っても敵の金駒を二枚剥がしているので、そのまま寄せ切れます。この踏み込みがあるので、相手は3六の飛を狙う余裕がありません。

後手としては、金を取らさず、かつ飛車の成り込みを許さない順が最も粘れます。そうなると上図では☖3三金がベストですが、これには☗2二角で3三の地点に利きを増やすのが好着想。これも趣旨としては、先程の☗2三銀不成と同様です。

後手としては、やはり☖1八馬で飛車を狙う手が最も指したい手です。しかし、現状では☗3三角成☖同桂☗同飛成で突破されてしまうので、馬を引くことが出来ません。また、☖5五馬と引くのは☗1一角成で香を取られたとき、2三の銀が取れないので指す手に窮しています。
そうなると、上図では☖3四歩と受けるのが妥当ですが、こちらは☗1一角成☖2三金☗2一馬と自然に桂香を回収すれば、攻めが続く格好となります。

こちらは銀を失いましたが、次に☗4三馬と☗8五香という複数の狙いが残っています。相手は手番を取るなら☖3二銀打ですが、☗3一馬と寄っておけば、☗8五香と☗6五桂という複数の狙いが持続するので、収拾がつきません。上図はこちらの攻めが切れない上、一方的に攻撃できる状況なので、はっきり優勢ですね。
こうして一連の進行を見ると、こちらは3六の飛を狙わせない攻め方を選ぶことで、順調に攻撃が続いたことが読み取れます。

このように、威力の高い攻めを放つ際には、攻めの主軸になっている駒を狙わせないことが大事です。そのためには、その駒が狙われたとき、敵陣を突破できる状況にしておくことがコツとなります。特に、飛車が攻めの主軸になっている場合は、この方針に即した順を選ぶと良いでしょう。
進めた攻め駒をきちんと使う
繰り返しになりますが、今回の題材では攻めの主軸になっている駒を狙わせないことが話の肝でした。ゆえに筆者は☗2三銀不成と指したのですが、この手を選んだ背景には、別の理由もあったのです。
それは「進めた攻め駒をきちんと使う」ということですね。

改めて、冒頭の局面を提示します。こちらは2四に銀がいますが、この駒は3九の地点から繰り出して進めた駒です。つまり、かなりの手数を費やして活用した駒と言えます。
こうした「手数を投資した攻め駒」を盤上に残したままにすると、その投資が無駄になりかねません。失敗例の変化が面白くないのは、そうした意味があります。
裏を返せば、こうした駒をきちんと活用すれば、投資に見合ったリターンが得られるので、威力の高い攻めを放つことに繋がります。こうした点も意識しておくと、本筋の指し方が出来るようになるかと思います。
また、こうした威力の高い攻めを放つための考え方は、他にもあります。詳しくは、以下の記事で解説しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
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