どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【威力の高い攻めを放つ方法】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) October 16, 2025
こちらは非常に綺麗な布陣に組めており、局面は優勢です。ただ、敵陣を攻める手段が少ないので、それが欲しいところです。… pic.twitter.com/HBckypx6ie
将棋は中終盤に入ると、多かれ少なかれ敵陣を攻めることを考えなければなりません。そして、その際にはなるべく威力の高い攻めを繰り出したいものですね。ただ、具体的にどんなことを心掛ければ威力の高い攻めが放てるのかということは、意外に意識が薄い部分ではないでしょうか？
そこで今回は、厳しい攻めを繰り出す考え方をテーマにして、解説を進めたいと思います。
歩の絡む攻めが出来るようにする
改めて、上記ツイートの始めの場面を振り返ってみましょう。下図は相手が☗６七金と指し、７七の地点を補強したところです。
この局面は駒の損得はないですが、玉型と駒の効率においては著しい差がついています。ゆえに、具体的な攻め筋さえ見出せれば、一気に優位性が広がる状況です。その具体案を模索することが、こちらの命題ですね。
プランは複数ありますが、結論から述べると、ここは☖６二角と引くのが最も本筋と言えます。
この手は自ら角を引っ込めるので、あまりピンと来ない方もいらっしゃるかと思います。ただ、こうすればこちらは４筋の歩が伸ばせるようになります。それが非常に大きいですね。
なぜ４筋の歩を伸ばす手の価値が高いかというと、
①敵玉付近の筋の歩を伸ばせるから
②３三の桂が前進しやすくなるから
この二点の要素があるからです。
相手は手番が回ってきましたが、現状ではこちらを攻撃する手段がないので、手待ちを行うのが関の山です。マイナスに作用しない手待ちとしては、☗８六歩が一案です。
ただ、こちらは気にせず☖４四歩☗８五歩☖４五歩と伸ばしましょう。こうして歩がぶつかると、争点が増えるので攻めの威力が上がります。
相手は有効手が少ないので☗同歩と応じるくらいですが、シンプルに☖同桂と取りましょう。そこで☗４六銀右には☖２六歩☗同歩☖同角と進めれば、☖５九角成を狙いつつ１・２筋を攻めやすくなるので手が続きます。
相手がこの進行を嫌うなら☖４五同桂に☗４八銀と引くことになりますが、これには☖１六歩と合わせるのが好着想。こうして歩を使って攻めることが基本です。
これも相手は☗同歩と取るのが妥当ですが、☖４六歩☗同銀☖１六飛☗１七歩☖３六飛と捌きます。この王手銀取りを防ぐには☗４七玉くらいですが、☖４六飛☗同玉☖３五角と飛び出せば、敵陣を崩すことが出来ますね。
ここで☗４七玉には、☖４六歩（もしくは☖４六銀）から圧し潰していけば良いでしょう。また、☗３六玉の場合は、☖５六歩と突き捨てるのが痛烈です。☗同歩なら飛車が取れるようになりますし、☗同金なら☖７七香成～☖４四桂で王手金取りが掛かりますね。よって、上図はこちらの攻めが爽快に決まっています。
こうして一連の進行を見ると、こちらは４筋の歩を伸ばした着想が、敵陣を崩すことに繋がったことが読み取れます。
このように、威力の高い攻めを放つ際には、歩が絡む攻めを出来るようにすることが大事です。特に、上図のように敵玉付近の筋の歩を伸ばせるようにすると、厳しい攻めが発動しやすくなります。これはどんな戦型にも当てはまる法則なので、意識して頂ければ幸いです。
「権利」を安直に手放さない
ところで、今回の題材ではメインテーマではなかったので多くは言及しなかったのですが、威力の高い攻めを放つ際には、「権利を安直に手放さない」こともポイントの高い行動です。
改めて、冒頭の局面を提示します。上図では☖７七香成☗同歩☖７五桂のように金を狙う攻めもあり、こちらも悪くはありません。ただ、この攻め方は「権利」をあっさり手放していることがネックではあります。
つまり、こちらにとって☖７七香成という手は、自分の好きなタイミングで指せます。こうした好きなタイミングで指せる手が「権利」であり、これを有しているのは見た目以上に大きなアドバンテージがあります。
もし、早期に☖７七香成を指していると、相手の持ち駒に香が加わることになります。そうなると相手も受けの手段が増えるので、守備力を高めてしまう恐れが出てきます。
こちらとしては、そうして敵に塩を送る理由は全くありません。ゆえに、「権利」は安直に手放さないほうが得策なのです。こうした点も意識しておくと、攻めを行う際、条件のよい手順を見つけることに繋がるかと思います。
また、こうした威力の高い攻めを放つための考え方は、他にもあります。詳しくは、以下の記事で解説しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
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