櫻井将棋塾の特別講師である、あらきっぺこと、荒木隆です。本日から、ブログ記事の更新を担当いたします。不定期ではありますが、よろしくお願いいたします。
さて、私の Twitter をフォローしてくださっている方々はご存じかと思いますが、毎日 #今日の将棋ウォーズという更新を行っております。そして、ここではその内容の拡大版をお送りしたいと思います。
それでは、さっそく本題に入りましょう。
振り飛車は他力を利用せよ
今回の題材は、こちらです。
【振り飛車は他力を利用せよ】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) February 20, 2023
こちらは銀を前進したいですが、現状では無理なので一工夫が必要です。
まずは☗76飛と浮きます。次に☗77桂が指せれば銀が進めます。☖65歩には、その瞬間に☗46角が用意の一着。これで飛取りと☗55銀を見せれば、駒損せずに銀が進めましたね。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/1rpbXVXPQa
このツイートで大事な部分は、表題に書いた「他力を利用せよ」という部分です。この要素にフォーカスして、解説を進めたいと思います。
まず、冒頭の局面の状況ですが、こちらは自分だけ角を持っており、飛の働きも大いに勝っています。ゆえに、先手の模様が良い局面であることが分かりますね。その模様の良さを、どう具体的な良さに結びつけるかがこちらの課題と言えるでしょう。
さて、ここで先手は囲いを発展するなら▲2八玉から美濃囲いを目指すことになります。一見、自然な指し方に見えますが、△7四歩▲3八銀△8四歩と進むと、先手は俄かに嫌な局面を迎えてしまいます。
こうなると8筋の逆襲が受からないので、先手は忙しい状況になってしまいますね。
つまり、冒頭の局面で先手は、ただ待っている訳にはいかないことが分かります。
そうなると攻めの手を考えることになりますね。ただ、現状は▲7五銀と出ることは出来ませんし、▲7一角と放り込んでも△9二飛で二の矢がありません。すぐに攻めるのも性急な場面なのです。
このように、将棋には「攻める必要があるが、自力では攻めが成功しない」という状況が存在します。そして、そういった場面の打開策の一つが、他力の利用になります。
具体的には、▲7六飛がその一手ですね。
これは、次に▲7七桂と跳ねる手を見せています。この桂が跳べれば、次に▲7五銀が出れますね。また、△8四歩▲同歩△同飛に▲8五歩で受けることも可能です。石田流の構えが作れれば、攻防両方の面で都合が良くなることが読み取れます。
相手はそれを許せないので、本譜は△6五歩と反発してきました。しかし、その瞬間に▲4六角が用意の一手。△6五歩と動いてくれたことで、隙が生じたことを突いています。
▲8二角成△同金▲7一飛成が実現すれば、後手陣は崩壊します。よって、本譜は△9二飛と辛抱してきましたが、▲5五銀△3五角▲6四銀でスムーズに銀が前進でき、先手は優位を拡大することが出来ました。
こうなると、攻めの銀を捌くことに成功しているので、冒頭の局面と比べると、先手は得した状況を作れたと言えるでしょう。
他力を利用するコツは?
このように、自力での攻めが上手くいかない場合は、他力を利用することを考えてみましょう。他力を利用するには、「組めると嬉しい理想形を目指す」ことが方法の一つです。今回の事例で言えば、▲7六飛~▲7七桂で石田流を目指した構想が、それに当たります。
相手からすると、理想形を作られるとポイントを稼がれるので、それは易々と許したくありません。なので、それを阻止するために何らかのアクションを起こすはずです。その動きを咎めることが他力を利用するということですね。特に、振り飛車の将棋はそうしたテクニックが求められることが多いので、意識してみると良いでしょう。
0件のコメント