相手の攻めを切らすテクニック

どうも、あらきっぺです。

今回の題材は、こちら。

【入玉を見せて攻めを切らす】

こちらは攻め合いでは分が悪いので、どう受けるかという場面。

まずは☗76玉→☗85玉と上がり、入玉する姿勢を見せます。これで☖83銀を打たせれば、相手の攻めは細くなりますね。あとは☗73歩成で催促すれば、受け切りが望める状況でしょう。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/cUpc97lC2X

— あらきっぺ (@burstlinker0828) April 3, 2023

将棋は攻め切って勝つパターンもあれば、上記ツイートのように受けによって大勢にケリを着けるパターンもあります。今回は、相手の攻めを切らすことをテーマに解説を進めましょう。

相手の攻めを切らす方法は、主に二つ

改めて、上記ツイートの始めの場面を振り返ってみましょう。ご覧のように、彼我の玉型には計り知れない差が着いています。こうした状況では、攻め合いで勝つのはほぼ不可能であることは言うまでもありません。

ただ、相手の攻め駒は三枚しかない（７五の角、持ち駒の金銀）ので、攻めを切らしやすい状況であることが分かります。よって、先手の採るべき方針は「受け」ということになりますね。

問題は、どういった種類の受けを選ぶのか？　ということです。

ちなみに、筆者はここで☗７六玉と指しました。傍目には、玉が孤立するので危険な指し方に見えるかも知れません。けれども、結論から述べると、これが一番安全な勝ち方なのです。

ところで、相手の攻めを切らす方法は、大きく分けると二つに分類されます。すなわち、

（１）相手の攻め駒が自陣に近づけないようにする
（２）相手の攻め駒そのものを減らす

この二つ。

そして、（２）をもう少し細分化すると、

（ａ）相手の攻め駒を取る
（ｂ）相手の攻め駒の働きを悪くする
（ｃ）相手の持ち駒を無駄遣いさせる

こうした方法が考えられます。これを踏まえた上で、改めて冒頭の局面を見てみましょう。

まず、（１）と（２）のどちらを選ぶかですが、現局面は既に相手の攻め駒と自玉の位置が近いので、「相手の攻め駒が自陣に近づけないようにする」という方法は現実的ではなさそうです。ゆえに、ここは（２）の「相手の攻め駒そのものを減らす」という方法を採ることになります。

攻め駒を減らすためには、（ａ）相手の攻め駒を取るが一番の理想。しかし、現局面では何も取れそうにないですね。なので、他の方法に訴えることになります。

特に、現局面は相手の持ち駒が充実しているので、（ｃ）「相手の持ち駒を無駄遣いさせる」を狙ってみたいですね。では、どうすれば相手に持ち駒を使わざるを得ない状況に持ち込むことが出来るでしょうか？

その答えが、始めに述べた☗７六玉なのです。

ここで☖８四銀と打たれたら、☗７八桂で守備駒を増やします。これで腹金を打たれないようにすれば、次に☗８五歩から攻めを催促できますね。後手は打った銀が負担になっており、攻めを繋げることが出来ません。

ゆえに、本譜は☖５三角と引いてきましたが、さらにぐいっと☗８五玉と仁王立ちするのが力強い受けになります。

次に☗８四玉や☗７三歩成が指せれば、入玉が確定します。そうなると、先手は不敗の態勢ですね。後手としては、何としても入玉を阻止することが勝利への絶対条件です。

したがって、ここで☖８三銀と打つのは致し方ないのですが、先手は構わず☗７三歩成で催促するのが良いですね。

後手は先手玉を追い返さないと勝ち目がありません。そうなると☖８四金と打つくらいですが、先手は悠々と☗７六玉とかわしておきましょう。以下、☖７五金にも☗６七玉で問題ありません。

ここまで来ると、後手の攻めが明らかに切れてしまったことがお分かり頂けるでしょう。後手は持ち駒を二枚とも投資しましたが、どうも空を切っている印象は否めません。こうなると先手は怖いところが無いので、分かりやすい局面に持ち込むことが出来ました。あとは、ゆっくり後手玉の寄せに向かえば難なく勝ち切れる形勢でしょう。

入玉の姿勢は、攻めを切らす武器として使える

このように、先手は入玉の姿勢を見せることで、「相手の持ち駒を無駄遣いさせる」という状況を作ることが出来ました。冒頭の場面と最終図を比較すると、後手は効率の悪い場所に持ち駒を打たされていることがよく分かります。

基本的に、入玉は実現されると敵玉を詰ませられないので、阻止するのが絶対です。そして、入玉を阻止するには、敵玉に進軍されないよう足止め要因の駒を配置しなければいけません。今回の事例で言うと、☖８三銀や☖８四金のような手ですね。そうした駒は、持ち駒を使うのが一般的な方法です。

つまり、受け側目線としては、入玉をチラつかせると相手の持ち駒を投資させることが出来るのですね。そうして無駄使いさせて自陣に玉を帰還させれば、相手を切れ筋に追い込みやすいのです。受け切りを目指すときは、こうした姿勢も視野に入れると良いでしょう。

また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。よろしければ、こちらもご覧いただけますと幸いです！

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