どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【陣形に適した戦い方を選ぶ】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) May 11, 2023
平凡な手は☗35飛ですが、☖28角を打たれると手が作れないので困ります。
なので、☗74飛と切りました。強引ですが、飛車の打ち込みに強いメリットを活かしています。最終図は、次に☗84歩や☗77桂から二枚桂を中央に跳ねる攻めが楽しみですね。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/T8MQD2Towv
このツイートで大事な部分は、表題に記した一文です。すなわち、「陣形に適した戦い方を選ぶ」という部分ですね。
将棋の中盤戦は分岐点が多いので難しいものですが、上記の方針に則ればミスを大幅に減らすことができます。今回は、これをテーマに解説を進めましょう。
自身の強みを活かすことが大事
今回は、上記ツイートの局面の少し手前の段階から解説を進めたいと思います。
相居飛車の乱戦ですね。現局面は相手が飛車を追ったところです。飛車の逃げ場を考える前に、まずこの局面の状況を把握してみましょう。
こちらは、自分だけ角を手放していることが目を引きますね。ただ、玉型は相手よりも整っていますし、駒の働きも申し分ありません。逆に、相手はそれらが不十分であると言えます。
このことから察するに、上図の局面で後手は、陣形整備を進めたいことが分かります。そうすることで、玉型や駒の働きが不十分である問題をクリアできるからです。
そうなると、先手の取るべき方針は「急戦志向」ということになりますね。なので、ここで☗2九飛と引く態度は感心しません。☗3四飛で横歩を取る方が面白いでしょう。
これは次に☗2二角成☖同金☗3一飛成という強襲を狙っています。後手は形良く受けるなら☖3三銀ですが、そこに銀を上がると☗4五桂の当たりが強くなることがネック。先手としては、攻め筋が増えるので嫌な受けではないですね。
問題は、☖3三歩と受けられた場合です。
常識的な対応は☗3五飛でしょう。けれども、それには☖2八角と打たれたときに困ります。その局面の先手は駒損を回避することができませんし、有効な攻めを繰り出すことも難しいですね。
なので、本譜は☗7四飛☖同歩☗5五角と進めました。乱暴なようですが、これが最適な手段になります。
傍目にはメチャクチャな指し方に見えますが、ご覧の通り、先手陣は飛車の打ち込みには極めて強い布陣です。ゆえに、こうして飛車をぶった切ってでも攻めを続けるのは、理に適っています。
加えて、当初の方針である「急戦志向」にも沿っていることが分かりますね。なので、これが最適なプランになるのです。
ここで☖8二歩や☖8二銀のような受けなら、☗7五歩と突っ掛けて争点を増やします。後手陣は右辺が壁型なので、左辺で手が作れれば非常に厳しい攻めになりますね。
本譜は☖8二角と受けられましたが、これには☗6六角と引いた後、☗7七桂や☗8四歩と指しておけば先手の攻めは徐々に手厚くなっていきます。
次は露骨に☗8三金と打つ手が厳しいですね。また、他には☗4五桂→☗6五桂という要領で中央を狙う手も視野に入っています。後手はこれらの攻め筋を全て防ぐことは難しいので、上図は先手の攻めが成功していると言えるでしょう。先手は飛金交換の駒損ですが、それが全く祟らない展開になっていることが読み取れますね。
今回の事例では、自陣は飛車の打ち込みに強いので、それを失ってでも攻める姿勢が急所でした。このように、自陣の強みを活かした戦い方を選べば、優位を掴むことが期待できます。そうしたことを意識すると、方針の難しい中盤戦でもミスを減らすことができるでしょう。
局面の「設定」を掴む
繰り返しになりますが、今回は自陣の強みを活かすために「飛車を切ってでも攻める」ことが話の肝でした。
ただ、そもそもの話として、急戦志向で敵陣を攻めないといけないという着想に至ることが大事です。
つまり、冒頭の局面で
「形が良いから☗2九飛と引くか~」
「横歩を取ったら、何か飛車が狭いな~」
「まぁ、とりあえず普通の手を指しておくか~」
といったあやふやな思考では、急戦志向で戦うという本質を掴むことができません。
逆に、お互いがどういった状況になると理想なのか、ということを意識すれば、自身がどういった方針で戦うべきなのかという「設定」が見えてきます。それを掴んでから具体的なプランを組み立てる方が、より良い方針を選べることが多いですね。
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