どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【角換わり棒銀を受ける裏技】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) June 28, 2023
角換わり棒銀の定跡形です。ここは☖44銀がオーソドックスな指し方ですが、☖22金という受け方も一考の余地があります。
☗11香成には☖13桂と逃げましょう。最終図は相手から有効な攻めが無いので、駒得しているこちらが指しやすい将棋です。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/YYu2qGM7ta
角換わりという戦型において棒銀は少数派の作戦ですが、これを指されるとある程度は受けに回らないといけません。ゆえに、自陣を潰されない対応策を持つことは必須と言えます。今回は、その具体的な方法を解説していきましょう。
1二の地点を強化する
改めて、上記ツイートを始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗1八歩と指し、端のキズをケアしたところ。この局面は、角換わり棒銀の定跡形ですね。
こちらは銀香交換の駒得ではありますが、1筋が素通しになっています。よって、そこから相手に侵入されて傷口が広がるような進行になると、不利になりますね。
さて、この局面を迎えたとき、定跡書には☖4四銀と上がる手が載っているかと思います。これは☗1二香成に☖3三桂と逃げる手を用意した意味がありますね。
ただ、☖4四銀を指すと2筋の守りが少し手薄になります。なので、☗2四歩☖同歩☗1二角という攻め筋が生じる弊害はあります。
ここからは、☖3三桂☗2四飛という進行が一例です。こちらは駒の効率がよいので形勢が悪い訳ではありませんが、この変化は相手に竜を作られやすいことがネックです。ゆえに、相手の攻めを完全に受け止める展開にはなりにくいですね。
そうした背景があるので、筆者は冒頭の局面から☖4四銀ではない手を選びました。具体的には、☖2二金と寄ります。これが今回の主眼となる一着ですね。
見た目は歪な配置ですが、これは1二の地点を強化しています。こうして☗1二香成や☗1二角の筋に備えれば、相手から厳しい攻めは無いと踏んでいます。
なお、金を寄っても1一の地点はカバーできていないので、☗1一香成とは指されてしまいます。ただ、これには☖1三桂とかわしておけば大丈夫ですね。
これも奇異な見た目ですが、前もって先手に☗1八歩を強要させているので、この桂が歩で取られる心配はありません。歩で取られる可能性がゼロであるならば、この桂は安定していると言えます。
☖2二金→☖1三桂という順は筋が悪いようですが、これらは1筋の香を活躍させないようにした意味があります。あの香が攻めに機能しなければ先手の攻め駒は[飛・角・香]の三枚なので、切れ筋に追い込むことが出来ますね。
ここから後手は、☖4二玉→☖5二金→☖6四銀→☖7三桂→☖8一飛と進めるのが一つの理想です。こうして下段飛車の構えを作れば、1一の成香を召し取れるので優位が拡大します。
ちなみに、こうして下段飛車から成香を取るビジョンは複数あります。つまり、☖4二玉→☖5二金→☖7二飛→☖7一飛や、☖4二玉→☖5二飛→☖5一飛といった順です。いずれにせよ、先手はこの構想がある以上、悠長な態度を取ることは出来ません。
先手が急いで攻めるのであれば、ここで☗1五香と打つことになります。次は☗2一成香が狙いの一つですね。
しかし、☗1五香にはポイっと☖2五桂と捨てるのが軽やかな返し技。こうすれば相手の攻めに空を切らせることが出来ます。
☗同飛には☖2四銀から飛車を追えば、1五の香が回収できます。先手は☗1二香成と指して香を逃がしておく手もありますが、それには☖同金☗同成香☖2四香が絶好のカウンターですね。
次は☖3七桂不成が痛烈です。しかし、それを防ぐと☖1二飛で成香がタダで取れます。先手はこれらの狙いを同時に防ぐことが出来ないので、痺れていますね。よって、上図は後手が優勢です。
このように、☖2二金→☖1三桂という受け方は、相手の攻め筋を簡単に封じることが出来ます。見た目以上に自陣は安定しているので、大崩れするリスクも低い印象ですね。
見た目ではなく、セオリーを重視せよ
相居飛車の将棋において、左側の金は3二(先手なら7八)に配置するのが自然です。なので、今回のように自ら☖2二金と寄るのは、強い違和感を覚えた方もいらっしゃったことでしょう。
けれども、「自陣の守りが手薄な場所に、金気を増員して守る」という方法は、至って自然でありセオリー通りの指し方と言えます。この☖2二金という受け方が成立している背景には、その要素が大きいと考えられます。
将棋は、見た目の美しさを重視することも大事ではありますが、セオリーに則った趣意であれば、見た目が悪くても十分に成立することは少なくありません。また、裏を返せば、見栄えは綺麗でもセオリーに反していれば、その手は悪手である可能性が高いという意味もあります。人間はどうしても見た目で判断することに慣れてしまっているのですが、それに囚われない意識を持ちたいものですね。
また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです!
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