攻めを繋ぐとき、100％ 心掛けた方がよいこと

どうも、あらきっぺです。

今回の題材は、こちら。

【攻めを細くしないテクニック】

こちらは金取りを防ぐ必要があります。ぱっと見は☗58歩ですが、それを指すと５筋に歩が使えないことがネック。

なので、☗58金上と指しました。これなら☗54歩が打てるので攻めが続きます。最終図は馬取りと☗31角が厳しく、先手優勢ですね。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/RQmFEulMff

— あらきっぺ (@burstlinker0828) August 1, 2023

将棋は攻勢に出る展開になると、気分がよいですね。ただ、知らず知らずのうちに自分の攻めが細くなってしまい、上手く攻めを繋げることが出来なかったという経験がある方は多いのではないでしょうか？　今回は、そうした状況を防ぐための考え方を解説したいと思います。

歩を受けに使わない

改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が△４八角と指し、こちらの金を狙ってきたところです。

具体的な手を考える前に、まず現局面の状況を整理しておきましょう。

先手は自陣に角を打ち込まれていますが、囲いに多大な脅威が及んでいる訳ではありません。また、持ち駒も豊富にあり、敵陣を攻める準備は十分に整っています。

こうした要素を踏まえると、現局面は自玉は安泰なので、攻めが繋がれば勝てる局面だということが読み取れます。その具体策を、どう立案するかが先手のテーマですね。

さて、ひとまず先手は、この金取りを対処しなければいけません。堅実に受けるのであれば、☗５八歩が挙げられます。これは囲いの形が乱れることなく、金取りを防げることが自慢ですね。

ただ、そこから☖３九角成と指されると、どう攻めを繋げるのかという課題が残る嫌いはあります。

ここで☗４三角と打ち込んでも、平然と☖２九馬で桂を取られてしっくりきません。５筋に歩が使えれば☗５四歩と打てるところですが、直前に☗５八歩と打ってしまったので、それを指すことが出来ませんね。

この変化の先手は、５八に歩を打ったことで自身の攻めが細くなったことが問題です。先述したように、こちらは「攻めが繋がれば勝ち」という設定です。そうした状況で、自ら攻め筋を少なくする選択は感心しません。ゆえに、自然に見える☗５八歩の受けは、実を言うと得策ではないのです。

こうした背景があるので、筆者は冒頭の局面から☗５八金上と指しました。

左美濃は、６九の金が要となる守備駒です。なので、常識的にはこの駒を自玉から離れさせるのは好手になりません。しかしながら、先手は「攻めが繋がれば勝ち」という設定なので、ここは守備力よりも攻撃力を下げないことが最優先事項です。ゆえに、この受け方が適切な対処になるのです。

後手は☖３九角成で角を逃がすよりありませんが、☗５四歩の叩きが期待の一着。まずは、これで飛車の効率を向上させましょう。

これには☖同銀と応じるよりないですが、☗６四飛☖５三銀☗６九飛と進めます。こうなると、手番を取りながら飛車の利きが敵陣に直射する局面を作れたので、先手は攻める条件をよくすることに成功しました。

後手は馬を取らせるわけにはいかないので、☖３八馬も妥当な選択でしょう。対して、先手は手番を活かして☗３一角☖５二飛☗５三角成☖同飛☗４四銀と畳み掛けます。ここまで来ると、先手の攻めが明快に繋がった格好となりました。

後手は☖５二飛とかわすくらいですが、シンプルに☗５三歩☖８二飛☗５二銀で剥がして行けば寄り筋です。５筋に歩が使える恩恵が、最後まで光っていることが分かりますね。

このように、攻めを繋ぐ際には、安直に歩を受けに使わないことが肝要です。確かに☗５八歩を打てば囲いの堅さは担保されますが、自陣に歩を打つと攻めが細くなり、攻撃力が下がる弊害があります。こうしたことを考慮すると、適切に攻守のバランスを取る技術が磨かれていくことでしょう。

将棋は自陣に歩があると攻めが細くなる

繰り返しになりますが、今回の題材では安直に☗５八歩を打たず、☗５八金上で突っ張ることが話の肝でした。こうした受け方はイレギュラーなので、ハイレベルな技術だと感じられたかもしれません。ただ、原理としては難しいわけではありません。話を分かりやすくするために、簡単例を示します。

例えば、上図で２七の歩がいなければ☗２四歩、３七の歩がいなければ☗３四歩から銀を進ませる攻め筋がありますね。しかし、こうして歩が盤上にある形では、有効な攻め筋が見当たりません。

持ち歩が使えるということは、「合わせの歩」で攻め駒を前進させたり、「叩きの歩」で敵陣を乱したり、「垂れ歩」で戦力を増やすことが出来ることを意味します。つまり、自陣に歩を打つとこうした手段が使えなくなるので、攻めが細くなるのですね。だから攻めを繋ぐときには、歩を受けに使わずに戦うことが大事なのです。

裏を返せば、相手の攻めを切らしに行く場合は、敵陣に歩を打たせるような手を指すことがコツの一つになります。こうしたことを意識すると、攻めるときや受けるときに良い判断が出来るようになるでしょう。

また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです！

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