どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【絶対に損にならない一手】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) September 22, 2023
望洋とした局面なので指す手が難しいですが、ここでは間違いなく損にならない手があります。それは☗67歩ですね。
これで角道を遮断すれば、自陣の耐久力が上がります。こうした相手の大駒の利きを堰き止める手は、損にならないですね。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/nb1CtKc7fB
将棋を指していると、何をすればよいのかサッパリ分からない場面がありますね。特に、中盤戦でそうしたシチュエーションを迎えた経験がある方は、少なくないでしょう。そこで今回は、そうした状況で有効になりやすい考え方をテーマに、解説を進めたいと思います。
将来の致命傷を未然に防ぐ
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖2一飛と指し、形を整えたところです。
この局面は、こちらだけ角を手持ちにしている点が大きく、居飛車が面白い情勢です。しかし、こちらは具体的な狙いが無く、何を目標に指せば良いのかが見えにくい局面でもあります。冒頭に述べたように、将棋はこうした場面が難しいですね。
中盤戦では成し遂げたい事柄が複数ありますが、その中の一つに「終盤戦に向けた準備」があります。例えば、寄せの準備を進めるため、敵の囲いに嫌味をつけておくのは一理あるでしょう。それを踏まえると、ここは☗6四歩と打ち、拠点を設置しておく手が考えられます。
ただし、これを指すと☖5三金と活用してくる手が少し気になるところではあります。
これは6三の地点を強化することで、拠点の脅威を和らげる意図があります。また、将来的に6四の歩を取ってしまう狙いもありますね。このあと後手は、☖2二飛→☖6二飛や、☖7一金→☖6一飛の活用が楽しみです。それらが間に合ってしまうと、先手は☗6四歩が逆用されてしまうので嫌な展開ですね。
なお、先手が6四の歩を取られないようにするなら、☗6五金や☗5五銀を指すことになります。ただ、前者は☖5六歩が、後者は☖5五同銀☗同金☖6七銀という攻めがあります。どちらも自分から動いたことで、相手に攻めの手段を与えていることが分かります。
上記の変化を見ると、こちらは☗6四歩を指したことで、自分から忙しい状況を招いている印象を受けるのではないでしょうか。確かに☗6四歩は攻めっ気の強い手ではあるのですが、確実に得になる手ではないので、リスクを抱えている側面もあるのです。
こうした背景があるので、筆者は別の方向性の手を選びました。具体的には☗6七歩と打ち、囲いを補強するのが賢明ですね。
見た目はパッとしない手に感じられるかもしれません。しかし、これを指しておけば☖7八角成と切られる強襲が消えるので、玉の安全度が飛躍的に上がる恩恵があります。こうした将来の強襲を未然に防いでおく手は、「終盤戦の準備」にもなりますし、「確実に得になる手」でもありますね。
さて、相手も現状では有効な攻め筋が無いので、☖5二金寄で囲いを固めておくくらいでしょう。対して、こちらは☗1五歩で角を目標にします。先程とは違い、この局面は☖7八角成の強襲が消えたので角を攻撃しやすい状況になっています。これも☗6七歩を打ったベネフィットですね。
ここで☖3四角なら☗3六歩で、引き続き角を狙えば良いでしょう。
また、後手は☖2四歩☗同歩☖2五歩と動く手もあります。ただ、これには☗1六飛☖2四飛☗1四歩☖同歩☗同飛と進めるのが明るいですね。これも角を目標に攻める展開に持ち込めていることが読み取れます。
☖同飛☗同香と進むと、相手は角が負担になっていますね。
他には☖6七角成と突っ込む手もありますが、☗2四飛☖6六馬☗7七金☖6五馬☗1一香成で問題ありません。駒得が大きいので、これも居飛車が優勢です。こうして強気に飛車交換を挑めるのは、☗6七歩で玉型を補強しておいたからこそですね。
このように、一回☗6七歩を打っておくだけで、こちらは安定感のある布陣を手に入れられたことが分かります。中盤戦の茫洋とした場面では、自陣をお手入れして、致命傷を避ける工夫を講じるのは有効な手段の一つです。そうしたことを意識すれば、負けにくい形を作ることが出来るので終盤戦が楽に戦えますね。
相手の大駒の利きは歩でブロックする
ちなみに、自陣にお手入れするなら、冒頭の局面では☗6七金引という手もあります。離れている金を自玉に引き寄せるので、これも見た目は自然ですね。
しかし、このお手入れだと、不安要素が二つあるのです。
一つ目は、いつでも☖6六歩と叩かれる手が残っていることです。この叩きの歩が残っている以上、金を引く手は常に無効化される懸念を抱えています。
二つ目は、相手の角に切られる恐れがあることです。今すぐには大丈夫ですが、[☖6七角成☗同金]という応酬は、こちらの玉型が著しく薄くなるので、かなりの脅威と言えます。なので、実は☗6七金引と指しても、あまり玉の安全度は上がっていない意味があります。
特に、後者の理由が重要です。将棋は序中盤の間は駒得の評価軸が高いので、こうした角を切られる筋は、さほど恐れる必要はありません。しかし、終盤になると玉の安全度の評価軸が一気に上がるので、こうした強襲は相当に警戒する必要があります。
同時に、終盤に入ると、いち早く寄せに向かうことも求められるので、自陣をお手入れする余裕がない背景もあります。ゆえに、中盤の段階でそういう手を予め指しておきたいのですね。
だからこそ、冒頭の局面では☗6七歩が有効なのです。歩でブロックしてしまえば、角を切られる強襲を心配する必要はありません。この考え方は非常に汎用性が高いので、他の場面でもぜひ、応用して頂ければと思います。
また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです。
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1件のコメント
武田和浩 · 2023年10月4日 5:25 AM
渋い手ですね🎵
自陣に手を入れるのは、意外にできそうでできないですね😃