どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【対四間飛車で有力な駒組み】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) November 9, 2023
相手は振りミレや耀龍四間を含みにしています。この場合は穴熊を目指すより、☖74歩→☖64銀で急戦を採用する方が面白いですね。
後はシンプルに☖75歩で動きましょう。最終図は振り飛車の
囲いが薄いので、居飛車は条件の良い戦いになりました。#今日の将棋ウォーズ pic.twitter.com/6wlztxnBjh
昨今の四間飛車は、玉を囲う際、美濃囲いではなくミレニアムや金無双に組むケースも散見されます。そうした新しい戦術に、「どう対処すればよいのか分からない……」という悩みを持っている方はいらっしゃることでしょう。そこで今回は、それらの作戦に有力な構想を解説したい思います。
穴熊と急戦を使い分ける
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗3六歩と指し、陣形整備を進めたところです。
上図の振り飛車は、3・4筋の歩を優先的に突いていることが目を引きます。☗4六歩と☗3六歩の二手に代えて、☗2八玉と☗3八銀を優先する方がポピュラーではありますね。ただ、そうして早々に囲いを美濃に決めてしまうと、振り飛車はミレニアムや耀龍四間という作戦が採用できません。振り飛車はそれらの余地を残したいので、こうして☗4六歩と☗3六歩を優先している訳ですね。
さて、居飛車の布陣は早めに☖3三角を上がっていることから、持久戦を志向していることは明らかです。したがって、ここから穴熊を目指すのは自然ですね。ただし、そうすると振り飛車はミレニアムか耀龍四間を採用し、穴熊を攻略してくることが予想されます。それで居飛車が苦しくなるわけではありませんが、相手の土俵で戦っている感は否めず、作戦的に面白くない節があります。
そうした背景があるので、居飛車としては、振り飛車が早めに指している☗4六歩と☗3六歩の二手を咎める展開に持ち込む方が、戦いやすい将棋になります。具体的には、冒頭の局面から☖7四歩→☖6四銀で急戦策を採るのがクレバーですね。
☖3三角型の配置で急戦策に出るのは、違和感を覚える指し方かもしれません。けれども、急戦調の将棋になれば、振り飛車の早い☗4六歩と☗3六歩の二手は確実に祟ります。ゆえに、急戦で倒しに行くのはとても理に適った選択なのです。
振り飛車は☗2八銀で囲いを強化するのが自然ですが、居飛車は構わず☖7五歩で仕掛けましょう。これには☗7八飛が普通の対応ですが、☖7六歩☗同銀☖7二飛で足を止めずに攻め続けていきます。
7筋の攻防だけ見ると、よくある定跡形と全く同じですね。しかし、玉型に関しては雲壌月鼈の違いがあります。
もし、振り飛車の囲いが引き締まった美濃囲いであれば、☗6五歩から大駒を捌いて何の不都合もないでしょう。しかし、上図の振り飛車は側面からの攻撃に強いとは言えないので、捌き合う展開になると脆さが露呈します。つまり、上図から☗6五歩☖7七角成☗同飛☖5五銀☗6七銀……のような進行は選べないというわけですね。
しかし、☗6五歩が突けないとなると、振り飛車は何を指してもしっくりと来る受けがありません。居飛車はデフォルト(定跡形)の将棋よりも大いに条件がよい形で仕掛けを決行できているので、上図はリードを奪っていると言えるでしょう。
このように、振り飛車がミレニアムや耀龍四間の挙動を見せた場合は、持久戦ではなく速攻を狙ってみましょう。原則として、振り飛車の美濃囲いの構築が遅れている駒組みには、こうして急戦で潰しに行く方が勝ちやすい将棋に持ち込めます。これは非常に汎用性が高い構想なので、様々な場面で応用して頂けたらと思います。
振り飛車の改善策
振りミレや耀龍四間は有力な作戦ですが、こうして急戦で潰されてしまっては元も子もありません。という訳で、振り飛車としては、もう少し慎重な駒組みが求められます。例えば、☗3六歩や☗4六歩ではなく、☗5六歩を優先するのは一案ですね。
この配置なら、急戦を決行されても☗2八玉→☗3八銀で美濃囲いを作れば問題ありません。☗3六歩を後回しにしたことで、囲いのコビンが開かないことが大きいですね。その配置なら、急戦の耐性がすこぶる高まります。
上図で居飛車が☖3三角と上がってきた場合は、☗4六歩と突いて様子を見ておきましょう。
ここで☖7四歩には、やはり☗2八玉☖6四銀☗3八銀で美濃囲いに組みます。これなら急戦で一潰しにされる心配はありません。
このように、急戦の余地が残っている状態では、なるべく☗3六歩を突かない方が賢明です。ここの歩を突くと美濃囲いに組んでも囲いが薄いので、急戦を受ける条件がよくありません。☗3六歩を突く場合は、居飛車が持久戦を確定させてからにした方が無難でしょう。
なお、☗5六歩を優先すると☗5六銀型に組めなくなるので、振り飛車は持久戦の際に選択肢が狭まる弊害はあります。とはいえ、先述したように振り飛車は、急戦で一潰しにされる展開が最悪のパターンです。振りミレや耀龍四間を指す際には、そうしたことに留意するのが大切ですね。
また、こうした対抗型特有の知識や概念は、拙著「現代振り飛車の絶望、そして希望」にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです。
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1件のコメント
武田和浩 · 2023年11月16日 9:39 AM
対抗形での急戦と持久戦の、基本的な考え方がわかりました🎵