どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【堅さを崩すテクニック】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) December 6, 2023
どのように攻めを繋ぐかという場面。ここは、☗35歩が急所の一着ですね。
☖同歩なら、もちろん☗34歩です。☖18馬の催促にも構わず☗34歩と取り込みましょう。後手は☖同銀が妥当ですが、☗同銀→☗43銀と進めれば、相手の囲いは崩壊していますね。… pic.twitter.com/U6M00mAG4m
将棋で敵玉を寄せる際には、まず相手の囲いを崩すことが必要です。ただ、相手の囲いが見慣れない配置だったり、金銀が密着していたりすると、攻略の糸口が見えにくいケースもあるでしょう。そこで今回は、どんなことを意識すれば堅さを崩すことが出来るのか? ということをテーマにして、解説したいと思います。
金銀を分離させる
改めて、上記ツイートの始めの場面を振り返ってみましょう。下図は相手が☖3三同金右と指し、こちらの成桂を取ったところです。
この局面は、大駒の働きと玉の安全度に差が着いていること、並びにこちらが一方的に攻勢に出ている状況なので、先手が大いに優勢ですね。ただし、ここで攻めが緩むと☖1八馬で催促されたり、☖4二歩で角の働きを削がれる受けが厄介です。なので、こちらは足を止めずに攻め続ける必要がありますね。
とはいえ、上図の後手の囲いはまだ金銀が三枚残っていますし、飛車の横利きも通っているので耐久力はなかなかに高い構えです。どうやって攻略するのが最適でしょうか?
こうした堅陣を崩す際に意識して頂きたいのは、「どの部分が堅さを保つ核なのか」ということを把握することです。
一般的に、囲いの金銀は紐がつくように配置されています。特に、二つの駒が互いに紐を付け合っている配置は、連結力が強いので堅い部分になりますね。上図の枠で示している金が二枚並ぶ配置は、堅い配置の典型でしょう。
攻め側としては、こうした部分を優先的に崩すことが、堅い囲いを攻略する鍵となります。
では、どうすればこの堅い部分を崩すことが出来るでしょうか? 案の一つに、連結を引き離す手法が挙げられます。例えば、3三の金が3四の地点に上擦ってくれれば、二枚金の連結が離れるので相手の囲いは弱体化しますね。
そうした背景があったので、筆者は上図から☗3五歩と打ちました。これが急所を突く一撃になります。
3三の金を上擦らせるには、[☗3四歩☖同金]という応酬が一案です。しかし、現状は3四に後手の歩がありますね。ゆえに、この歩を上擦らせることが堅陣を打ち崩すことに繋がるのです。
これを☖同歩だと、もちろん☗3四歩と打ちます。それでは一手の価値が無いので、本譜は☖1八馬で催促してきました。こちらは、☗3四歩☖同銀☗同銀☖同金と進めましょう。こうなると、連結していた二枚金を分離することが出来ましたね。それはつまり、確実に寄せが進んでいる証拠です。
ただし、ここで攻めが緩むと、相手に☖4三銀などで囲いを再生されてしまいます。ゆえに、大人しく飛車を逃げるのは物足りません。
ここでも先程と同様、堅さを崩すコツを意識してみましょう。こちらは[☗3四歩☖同金]の手順に持ち込むことで、囲いを弱体化することに成功しました。そして、なぜこれで敵の囲いが弱体化しているのかと言うと、「要の守備駒である金が自玉から離れた位置に移動したから」です。この理屈を応用してみましょう。
具体的には、☗4三銀と打つのが爽快な一撃になります。
最も玉に近い場所にいる守備駒を離れさせるのが急所です。☖同金には☗2三飛成で竜が作れますね。こうなると☖1八馬と引いた手が無効化されているので、非常に都合が良いでしょう。
後手が馬を引いた手の顔を立てるなら、ここで☖2七馬と指すことになります。しかし、☗3二銀成☖同飛☗4三銀で自然に剥がして行けば、こちらの攻めは止まりません。攻めが止まらなければ、玉型が大差なので、どちらが勝つかは火を見るよりも明らか。上図は、先手の寄せが奇麗に決まりました。
このように、堅い囲いを崩すには、まずどの部分が堅さを保っている部分なのかを見極めましょう。判別方法としては、金気が互いに連結している部分に注目するのがコツです。
そして、その部分を把握すれば、その金銀の連結を分離することが大事です。分離させてしまえば大いに守備力が落ちるので、それだけ技が掛かりやすくなります。堅さを崩す際には、これらのことを意識すると良いでしょう。
分離しながら金を取れ!
ちなみに、冒頭の局面では☗3五歩以外の寄せ方もあります。なお、☗3五歩は3三の金を分離させて堅さを崩す趣旨でした。
これから解説する手段は、手っ取り早く金を剥がすことで堅さを崩すことが趣旨になります。具体的には、☗3三角成☖同金☗4四銀打という手順です。
これには☖同銀が妥当ですが、☗同銀☖同金☗2三飛成と進めれば、寄せ切ることが出来るでしょう。強引な手順ではありますが、これも立派な攻め方です。
上記の順は、まず[☗3三角成☖同金]の応酬で、3二の金を上擦らせています。そして、[☗4四銀打☖同銀☗同銀☖同金]という応酬で、さらにあの金を上部に誘っていますね。こうして要の金をどんどん分離させれば、寄せがあっという間に進むものです。
特に、始めの[☗3三角成☖同金]は、大いに堅さを崩す手順と言えます。こうした金を剥がしながら要の金を分離させる手は、寄せにおいてまず悪手になりません。こうした手を積極的に狙うことも、スマートに寄せを進めるコツの一つですね。
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1件のコメント
武田和浩 · 2023年12月13日 10:55 AM
最近やっと、合わせの歩と、守りの金を剥がすことの大きさがわかるようになりました🎵それに合致する内容だったのでガッテン!です!💫