どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【メリケン向飛車の攻略法】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) December 23, 2023
この作戦には、☗46歩を優先しておくのがポイント。そして、相手が仕掛けて来る前に☗36歩→☗47銀で動いてしまいましょう。… pic.twitter.com/46XwDF4GRo
メリケン向飛車は、プロ棋界ではお目にかかれない戦法です。ただ、そうした背景から、具体的な対策を知らない方も多いのではないでしょうか? そこで今回は、この戦法の対処法をテーマにして、解説を進めたいと思います。
☗4六歩型に組むのが急所
今回は、上記ツイートの少し手前の局面から振り返ってみましょう。図は相手が☖2二飛と指し、向飛車を表明したところです。
なお、説明が遅れてしまいましたが、メリケン向飛車とは、☖3五歩型に構えた状態で向飛車に組む指し方のことを意味します。こうすることで攻め筋を増やし、素早く主導権を握ることがこの戦法の狙いになります。
さて、ここから居飛車は平凡に指すなら、☗5六歩が一案ですね。ただ、こうすると振り飛車は☖3二金☗5七銀☖2四歩☗同歩☖同飛で足早に動いてくるのです。
飛車交換になると、打ち込みの隙が多い居飛車が不利。よって、ここで☗2五歩と受けるのはやむを得ません。対して振り飛車は、☖3四飛と寄って石田流に構えるか、☖2二飛→☖3四銀で2五の歩を狙うかという選択になります。どちらを選ぶかは好みが分かれますが、いずれも振り飛車は先攻しやすい将棋になる印象ですね。
この局面は、居飛車が不利というわけではありません。ただ、こうした展開は☖3五歩型が活きやすく、相手に言い分を通されている感があります。居飛車は☗3六歩が突けないと反撃する手段が乏しく、それが面白くない状況を招いているのです。
こういった背景があるので、冒頭の局面から☗5六歩と突くのは得策ではありません。代案として、☗4六歩をお薦めします。これがメリケン向飛車を攻略する第一歩ですね。
先程、筆者は「居飛車は☗3六歩が突けないと反撃する手段が乏しい」と述べました。この☗4六歩は、3筋の歩を突くための準備なのです。
振り飛車は飛車交換を行いたいので☖3二金で陣形を整備しますが、そこで☗3六歩☖同歩☗4七銀と動くのが居飛車の狙っていた仕掛け。これで優位を掴むことが出来ます。
ここで☖2四歩には、☗3六銀で差し支えありません。これは飛車交換になりませんし、銀がスムーズに前進できるので万々歳ですね。
しかし☖2四歩が指せないとなると、振り飛車は攻撃手段が何一つありません。☖4五歩で暴れようとしても、☗同歩で無効です。
有効な攻めが無い以上、上図の振り飛車は☖6二玉で玉型を整備するのが関の山。ただ、一手の整備では囲いを作ることは出来ません。居飛車は追及の手を緩めることなく、果敢に攻めればよいでしょう。すなわち、☗3六銀☖7二玉☗3八飛と進めるのが賢明です。
こうなると、3筋を攻める態勢がしっかり整いました。あとは☗3五銀→☗3四歩を狙えば OK です。☖3四歩にも☗3五歩で問題ありませんね。振り飛車は玉型が薄い状態で受け身に回らされているので、完全に作戦が破綻しています。ゆえに、上図は居飛車が圧倒的に作戦勝ちだと言えるでしょう。
このように、メリケン向飛車には☗4六歩を優先し、☗3六歩☖同歩☗4七銀の仕掛けを狙うのが明快な攻略法になります。早い☖3五歩を真っ向から反発するのが急所ですね。その指針に基づいて指せば、この戦法は怖くないでしょう。
攻撃重視の振り飛車は、速攻に弱い
上記で述べたように、メリケン向飛車には☗4六歩型に組み、速攻に打って出るのが有効です。ところで、なぜ、こうした速攻志向の指し方が、メリケン向飛車には突き刺さっているのでしょうか?
その理由は、この戦法が攻撃志向の作戦だからです。
冒頭の局面を、改めてご覧頂きましょう。居飛車は囲いを整えていますが、振り飛車は全く囲いを構築する手を指していないですね。特に、☖3五歩と突いた手が非常に攻撃志向の強い手です。仮に、これが☖6二玉や☖7二銀に代わっていれば、それは攻守のバランスが取れた指し方と言えるでしょう。
つまり、上図の振り飛車は攻守のバランスを攻め側に全振りしているのです。攻撃に特化した駒組みということは、[防御はガラ空き=守備力が無い]ということです。だから速攻が突き刺さるのですね。
特に、今回のような早期に五段目に歩を伸ばすタイプの振り飛車は、速攻が刺さりやすい傾向があります。例えばゴキゲン中飛車も攻めに重きを置いた戦法ですが、これも超速が非常に有効ですよね。
このように、相手が攻めっ気の強い振り飛車を採用してきた場合、居飛車はガードを固めるのではなく、果敢に速攻した方が得策なのです。この理屈は対抗型全般に言えることなので、振り飛車を相手にした際には、意識しておくと良いでしょう。
また、こうした対抗型特有の知識や概念は、拙著「現代振り飛車の絶望、そして希望」にもふんだんに記載しております。こちらもご覧頂けますと幸いです。
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1件のコメント
武田和浩 · 2023年12月29日 10:42 AM
相手の指す手の逆用は効率のいい指し方ですね🎵
向かい飛車もそういう発想の指し方だと思うのですが❗️メリケン向かい飛車、名前は知ってましたが、スッキリ理解ができました🎵