どうも、あらきっぺです。

今回の題材は、こちら。

序中盤は快調に攻めていたのに、終盤で正しい判断が出来ず、逆転負けを喫してしまった……という悔しい経験がある方は、誰しもあることでしょう。そこで今回は、どんなことを意識すれば逆転されにくい状況を作れるのか? ということをテーマにして、解説を行いたいと思います。

負けにくい形を作る

改めて、上記ツイートの始めの場面を振り返ってみましょう。下図は相手が☖2九飛と指し、こちらの玉に迫ってきたところです。

逆転負け 防ぐ方法

この局面は、駒の損得と玉型に差が着いています。損得に関しては、[金銀⇄角]の二枚替え。また、玉型に関しては、相手の玉は一人ぼっち。対するこちらは、まだ自玉周辺に多くの金気があります。ゆえに、こちらが優勢であると判断できます。

相手としては、少しでもその差を縮めなければいけません。ゆえに、こうして☖2九飛と指し、こちらの玉を脅かしに来たわけですね。

逆転負け 防ぐ方法

さて、終盤戦で優勢になると、直線的な攻め合いで勝ちに行くのが基本です。速度で勝っていれば受ける必要はありませんし、果敢に踏み込む方が相手に粘る余地を与えさせないメリットもあります。

それを踏まえると、上図では☗7一飛と打つ手が一案です。合駒すると☗7四歩が厳しいので、☖6二玉が妥当ですね。以下、☗7五飛成と成り返っておきます。

△63桂から△59角で後手良し

この手は、次に☗6四竜で迫る狙いがあります。確かに、この順で勝ちに行くのもあるでしょう。

ただ、上図は☖5九角の反撃を残しているのが気懸りです。例えば☖6三桂と打たれると、先手は竜の逃げ場が悩ましいですね。①☗7四竜には☖7三歩。②☗6四竜には☖7三金。これで玉を安全な状態にされてから☖5九角を打たれると、玉型の差が逆転されてしまうので、先手は雲行きが怪しくなってしまいます。

上記の変化から読み取れるように、先手にとって☖5九角と打たれる攻め筋は、致命傷になり得る一撃です。したがって、それを残したまま戦うのは、極めてリスキーな選択になります。裏を返せば、こうした決定打を与えさせないことが、逆転負けを防ぐために必要なことだと言えるでしょう。

逆転負け 防ぐ方法

こうした背景があるので、冒頭の局面では☖5九角の筋を受けるのが賢明です。ただ、☗5九金のような受けでは、手番が取れないのがネックですね。

なので、筆者は☗3九歩と打ちました。これが最も効率よく☖5九角を防ぐ一着になります。

逆転負け 防ぐ方法

後手は、このままでは飛車が攻めに使えません。よって☖同飛成と取るのは絶対ですが、こうして飛車を呼び寄せれば、☗4九金打で手番を取ることが出来ます。

後手は飛車を逃げずに攻める手段は無いので、☗4九金打に☖1九竜はやむを得ません。こちらは自玉が安泰になったので、☗7一飛☖8二玉☗2一飛成で攻めに転じましょう。

逆転負け 防ぐ方法

この局面は、相変わらず[金銀⇄角]の二枚替えですし、玉型の差も縮められていません。ゆえに、こちらは逆転を許していないことが分かりますね。

後手としては、4筋の防壁を破壊しないと先手玉を寄せることが出来ません、ゆえに☖3七金と攻めるのが一案ですが、ここも手堅く☗5九桂と受けておきましょう。とにかく先手は、☖5九角の筋を喫しないことが大事ですね。

逆転負け 防ぐ方法

①☖4八金には☗同金。②☖4七金には☗同桂。いずれも、先手は敵の竜の横利きをブロックしているので、安全を確保しています。こうして自玉を不死身にすれば、一撃必殺の技(この場合は☖5九角)を喫しないので、逆転の余地をかき消すことに繋がります。

逆転負け 防ぐ方法

このように、終盤で逆転負けを防ぐためには、「負けにくい形を作る」ことが肝要です。負けにくい形とは、自玉が安泰で攻めに専念できる状況を意味します。この状況が選べる場合は、積極的に作りに行く方が良いでしょう。攻め急ぎから致命傷を喫するパターンを避けることが大事ですね。

「負けにくい無い形」が作れる条件は?

繰り返しになりますが、今回の題材では「負けにくい形を作る」ことが重要な部分でした。ゆえに手駒の金を自陣に投資する手が有効になったのですが、こうした選択を採ると、一つ注意すべき点があります。

それは、攻めが切れ筋になるリスクがあることですね。

当然の理屈ですが、持ち駒を受けに使うと攻め駒が一枚減るので、その分、攻めが細くなります。いくら負けにくい形を作ることが大事だからと言って、肝心の攻めが切れてしまっては元も子もありません。なので、上図の☗4九金打のような手を指す際には、それに留意する必要があります。

逆転負け 防ぐ方法

では、なぜ今回の題材では手駒の金を使えたのかと言うと、戦力を調達できる余地が残っていたからです。具体的には、枠で囲った部分に資源が残っていますね。これらの駒が飛車で回収できる状況なので、☗3九歩→☗4九金打の受けが成立したのです。

つまり、将棋は長期戦になっても戦力が確保できる状況なら、「負けの無い形」を作りやすくなるのです。これを作る際には、この要素も意識しておきたいものですね。

また、こうした終盤特有のノウハウは、拙著「終盤戦のストラテジー」にもふんだんに記載しております。よろしければ、こちらもご覧いただけますと幸いです。

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1件のコメント

武田和浩 · 2024年1月10日 8:33 AM

相手のねらい筋を基本の手筋で未然に防いでおく!💡やっぱり至極りっぱな手だと思います!💫

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