筋違い角を打たれたとき、有効になる対応策

どうも、あらきっぺです。

今回の題材は、こちら。

【筋違い角には天王山に角を打て】

相手が筋違い角から７筋を攻めて来た場面。これを相手にすると８六の銀を捌かせるので、☖55角と反撃するのが良いですね。

☗74歩には☖66角で歩を取り、再び角を天王山に戻します。最終図は次の☖36歩が痛烈なので、こちらが有利です。… pic.twitter.com/tB7txHrbRP

— あらきっぺ (@burstlinker0828) February 3, 2024

将棋は序盤で角を持ち合う将棋になると、ときに相手が筋違い角を放って良さを求めてくるケースがあります。筋違い角を打たれると、角が正調の場所にいる将棋とは様相が異なるので、普段とは異なる対応が求められます。今回は、そういったことをテーマにして、解説を進めたいと思います。

基本的には、攻め合いを選ぶ

改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗７五歩と指し、７筋を攻めて来たところです。

この将棋は相手が早い段階で筋違い角を打ち、それを５六に据えて攻め筋を作っています。筋違い角を打つときは当然ながら何らかの目的があり、それは概ね、①敵陣を攻めるため。②歩得するため。このどちらかに区分されます。また、これらは両立しているケースも多く、上図はそれに該当すると言えるでしょう。

さて、上記に説明した①と②が両立している場合ですが、この際には敵の攻めを完全に受け止めることを模索するのは得策ではありません。なぜなら、こちらは元より歩損（駒損）というビハインドを負っているので、局面を落ち着かせる方針を選ぶと、それが祟る懸念があるからです。むしろ戦いを激化させ、歩損の影響が少なくなる展開を目指す方が賢明と言えます。

その観点から、筆者は☗７五歩を無視して☖５五角と指しました。これで攻勢を取るのが良いですね。

傍目には、７筋の歩を簡単に取り込ませるので不思議な手に感じるかもしれません。しかし、ここに角を据えておくと、☖３六歩と打って美濃囲いを攻略する攻め筋が作れます。こちらは、それに期待しているのですね。

相手は７筋の歩を突っ掛けた以上、☗７四歩と取り込むのが自然ですが、☖６六角☗７七銀☖５五角で歩を回収しておきましょう。

次は☖７六歩と打つ狙いがあります。相手はそれを喫すると銀損になるので☗６八飛で受けるのが妥当ですが、こちらは有力な手段が多いですね。狙い筋である☖３六歩を決行しても良いですし、☖６五歩で丁寧に銀の進軍を阻んでおくのもあります。

上図の局面は、相手の筋違い角よりも、天王山に居座るこちらの角の方が大いに力を発している印象を受けるでしょう。角の働きが大差なので、上図はこちらが優勢となりました。

このように、筋違い角相手には、安易に受けに回らず、強気に攻め合って良さを求めに行くのが得策です。特に、中央に角を打って攻めを組み立てるのは有効になりやすいので、幅広い場面で応用して頂ければと思います。

最強のポジションが安置になる

繰り返しになりますが、今回の題材では☖５五角が急所の一着でした。両取りでもないのに角をポンと中央に置くだけで高い効果があるのは珍しいですが、これには複数の理由があります。

真っ先に挙げられるのは、自分の方が良いポジションに角を配置していることですね。

唐突で恐縮ですが、上図の数字は、一体、何を意味しているでしょう？　これは、角の利きの数を示した図になります。「盤上の対象の地点に角が一枚だけ存在している」と仮定した場合、それの利きの数はこのようになります。

この図で注目して頂きたいのは、中央に近づくほど数字が大きくなっていることです。つまり、角という駒は、基本的には中央が最強のポジションで、そこから遠のくほど性能が落ちる駒だということが読み取れます。

それを踏まえると、上図の☖５五角が有効になる理由が、より見えてきますね。構造的に、こちらの角の方が絶対に強くなるので、相手は効率の良さで太刀打ちできなくなってしまうのです。

加えて、この配置になると、相手は５五の角を追い払うことが難しくなります。普通は５五に角を打っても相手の歩に狙われてしまうものですが、相手の角の前に自分の角を設置すれば、その心配がないので安置になります。

同時に、先に角を手放してくれているので、「合わせの角」で消されないことも安置になっている理由の一つですね。これらの背景があるので、筋違い角には中央に角を据える手が有効な対応策になるのです。筋違い角の性質を見事に逆用していることが分かりますね。

また、こうした知っておくと役立つ将棋の定跡やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです。

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