どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【厚みを作るテクニック】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) February 13, 2024
こちらは玉頭がスカスカしているので、4筋を手厚くしたいですね。ただ、☗45歩では攻め味が乏しいですし、☗45銀打だと☖44歩が嫌味です。
なので、☗44歩と打ちました。取ると敵玉が不安定になりますし、放置されたら今度こそ☗45銀打が有効になります。… pic.twitter.com/P6feUlHBy6
将棋において、自玉周辺に厚みを作ることは非常に高い価値があります。なぜなら、厚みは自玉を守ると同時に、敵陣を攻める足掛かりとしても役立つからです。
そこで今回は、厚みを作るテクニックをテーマにして、解説を進めたいと思います。
低くない場所に歩を打たせない
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖3三同玉と指し、こちらの成桂を取ったところです。
この局面は、互いに遊び駒はありませんし、損得は[銀銀⇄角桂]の交換なので、それも大きな差は着いていません。しかし、玉の安全度に関しては、こちらの方が金気の数が多いので、大いに勝っていますね。加えて、手番を握っていることも大きく、こちらが優位に立っていると判断できます。
それらのアドバンテージをどう活かすかが、こちらの命題ですね。
さて、こちらは先述したように玉の安全度では勝っていますが、唯一、気がかりなのは4筋が素通しになっていること。このままだと、何かの際に☖4一飛が絶好の活用になる懸念があります。よって、4筋に厚みを作ることで、その問題をクリアしたいですね。
例えば、☗4五歩と打って位を取っておくのは一理あります。ただ、☖4三歩と辛抱されると、どういった印象を受けるでしょう?
確かに☖4一飛の筋は消えましたし、4筋に位を取ったことで、少し厚みが作れたところはあります。ただ、ここから敵玉に迫ることを考えると、些か難しくなっているように感じられるのではないでしょうか。
[☗4五歩☖4三歩]という応酬は、後手も4筋が厚くなっている意味があるので、先手は得をしたとは言えません。できれば、もう一押しが欲しいですね。
では、冒頭の局面から☗4五銀打と指すのはどうでしょう。今度は歩ではなく銀を打っているので、さらに4筋の手厚さがあります。先程と同様に☖4三歩なら、先手は得をしますね。
しかし、上図で☗4五銀打だと、素朴に☖4四歩☗5四銀☖5三歩で銀を追われたときが困ります。
こうなると、4五に打った銀がすぐに消えてしまうので、先手は状況が悪化しています。ここで☗4三銀打は☖5四歩で息切れですし、☗6三銀成☖同金☗7二銀は、☖5四金☗8一銀成☖6五桂で、快調に攻め立てられてしまいます。ゆえに、先手は失敗です。
二つの失敗例をご覧頂きました。これらに共通していることは、後手に低くない場所に歩を打たれていることです。
つまり、☗4五歩の変化では4三に、☗4五銀打の変化では4四に歩を打たれています。そうした手を指されてしまうと、相手の歩がこちらの厚みの形成を妨害する駒になるので、上手く厚みを作ることが出来なくなるのです。
それを踏まえると、こちらとしては、相手によい場所へ歩を打たれないようにすることが重要だと見えてきます。ゆえに、筆者は冒頭の局面から☗4四歩と指しました。これが適切な一着ですね。
これを☖同玉と取ると、後手は自玉が著しく危なくなるので現実的ではありません。かと言って、これを放置すると☗4三銀と放り込む手が痛烈です。ゆえに、後手は☖5三金で4三の地点を補強するのが妥当ですが、それから☗4五銀打と打てば、これまでとは大いに景色が違う印象を受けるでしょう。
今度は4四に歩を設置できているので、この銀が追われる心配は皆無です。次は、やはり☗4三銀が厳しいですね。後手がそれを防ぐなら☖4二歩ですが、こうして低い場所に歩を打たせれば、厚みの力関係が確固たるものになります。こちらは、☗4六銀や☗3五歩などで、どんどん盛り上がって行けば勝ちやすい将棋になるでしょう。
このように、厚みを作るときには、相手に低くない場所へ歩を打たれないようにすることが肝要です。歩のポジションは厚みの形成に多大な影響を与えるので、これに敏感になることが大事です。特に、相手に低い場所へ歩を打たせるような利かしが入れば制空権を確保しやすいので、意識しておくと良いでしょう。
手順としては、位を取るのと同じ要領
今回の題材のように、中盤以降で自玉周辺に厚みが作れると、非常に負けにくい状況が作れます。ただ、将棋の中盤戦は相手の駒も中段にせり上がっていることが殆どなので、そう簡単には厚みを確保できない側面はあります。
ただ、手順としては序盤で位を取ることと同じなので、それを応用することが大事ですね。
例えば、序盤で位を取るときは、上図のように五段目に歩を伸ばします。その後は、☗7六銀→☗6七金右で、その位を支えるのが普通ですね。こうすれば位が補強され、それが厚みを作ることに繋がります。
今回の題材も、やっていることは、それと同じです。つまり、先に歩を高い位置に配置して、後から金気でそれを支えるという訳です。[☗4五銀打→☗4四歩]という順番では、一手目を指した後に☖4四歩で妨害されます。しかし、これが逆になれば、相手は☖4四歩が指せないので成功するという訳ですね。大事なポジションを、先に歩で押さえておくことがコツです。これは非常に汎用性が高いので、いろいろな場面で応用してみてください。
また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです。
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2件のコメント
武田和浩 · 2024年2月16日 10:15 PM
玉の近くに歩を垂らされるのは、言い方を変えれば拠点を築かれるのは、厚みを作られるのは、嫌なものですね🎵一マス違うだけで感じが全然違うものですね❗️
中西城 · 2024年8月13日 1:11 PM
高い位置に歩を設置し、それを金や銀で支えるという考え方が厚みには大事ですね。