どうも、あらきっぺです。

今回の題材は、こちら。

角換わりの後手番では腰掛け銀に組むのが普通ですが、変化球の一つに☖3三金型早繰り銀という戦法があります。これは攻めっ気の強い戦法なので、先手にとって侮れない相手ですね。ゆえに、先手で角換わりを指すプレイヤーは、対策を用意しておく必要があります。今回は、それをテーマに解説を進めましょう。

通常形と同じように指す

今回は、上記ツイートの少し手前の局面から振り返ってみましょう。図は相手が☖7三銀と上がり、早繰り銀を表明したところです。

33金型早繰り銀

☖3三金型早繰り銀の最大の特徴は、冒頭で述べたように後手番ながら先攻できる将棋に持ち込めることです。この戦法を採用する際、後手は最序盤で[☖3三角☗同角成☖同金]という手順を踏むことになります。このとき、先手は一度7七に上がった角を再度動かして交換するので、一手損をしています。ゆえに、後手は先攻しやすい将棋になるのですね。

ただし、後手はその代償に☖3三金型という歪な配置を甘受しています。先手としては、それが祟る展開を目指したいところですね。

33金型早繰り銀

さて、後手はご覧の通り、早繰り銀を志向しています。これをどう対処するかですが、角換わりでは、早繰り銀には腰掛け銀で対抗するのがセオリーです。通常形とは形が異なりますが、ここでもそのセオリーに則るのが賢明ですね。

つまり、上図から☗4六歩☖6四銀☗4七銀☖4二玉☗5六銀と指す訳です。

33金型早繰り銀

ちなみに、なぜ早繰り銀には腰掛け銀で対抗するのかというと、相手の銀を追い返しやすくなるメリットがあるからです。つまり、ここで後手が悠長な態度を取ると、☗6六歩→☗6五歩でお引き取り願えますね。そうなれば、後手は先攻する構想が頓挫することになります。

33金型早繰り銀

ゆえに、上図では☖7五歩と仕掛けるのは必然です。対して、先手は☗同歩☖同銀☗2四歩☖同歩☗2五歩と反撃しましょう。

早繰り銀に対して、こうして継ぎ歩でカウンターを撃つのも、角換わりでは頻出する手法ですね。

33金型早繰り銀

☖同歩☗同飛と進むと、十字飛車の両取りが決まります。よって、後手はこれを無視して攻めることになりますね。☖8六歩から銀を捌くのが妥当なところです。

ただ、そうして銀交換すると、こちらに手番が回ってきます。なので、自然に☗2四歩と取り込みましょう。

33金型早繰り銀

後手としては、ここが方針の岐路と言える場面です。無難に指すなら☖2二歩ですが、それでは2筋が凹まされてしまうので、陣形の安定感に差が生じてしまいます。その進行は、先手の言い分が通っていますね。

33金型早繰り銀

ゆえに、後手は強気に反発して、良さを求めたいところです。具体的には、☖2七歩☗同飛☖5四角が挙げられます。以下、☗2八飛☖2七歩☗4八飛☖8七角成☗同金☖同飛成と進めれば、後手は2筋を受けながら竜を作ることに成功しました。

ただ、これは先手も想定内。そこから☗8八歩と打っておくと、先手の方が楽しみの多い将棋になっているのです。

33金型早繰り銀

後手は竜を逃げるよりありませんが、こちらは☗2三歩成☖同金☗5五角が期待の攻めですね。香の両取りが受からないので、先手は駒得がさらに拡大することになります。確かに相手に竜は作られていますが、それが自陣に侵入されるわけではないので、あの竜は恐れるに足りません。後手は駒損に見合う代償が得られていないので、上図は先手が有利ですね。

そうなると、後手は☖2七歩と強襲を掛けた手が無理攻めだったということになります。

33金型早繰り銀

ただ、先述したように、後手はここで☖2二歩と受ける姿勢では、さらに陣形が歪んでしまうので面白くありません。つまり、上図は既に先手が面白い将棋に持ち込めているのです。正確に述べると、☗2五歩と継ぎ歩を打った時点で、もう先手が上手く立ち回っている将棋なのです。

33金型早繰り銀

このように、☖3三金型早繰り銀には通常形と同じ要領で迎撃するのが有力です。☖3三銀型の際と同様に、腰掛け銀に組む→☖7五歩☗同歩☖同銀には継ぎ歩で反撃という要領で問題ありません。先手は策を弄さず、セオリー通りに立ち向かう姿勢が良いでしょう。

隙の無い構えを維持して戦え

ところで、上記では☗2四歩と取り込んだ際に☖2二歩と受けてくれれば満足と述べましたが、具体的に「何を指せば良いの?」という疑問を抱かれた方はいらっしゃったかもしれません。確かに、こうした漠然とした局面は、何を指針にするればよいのか見えにくいものです。

33金型早繰り銀

なお、この局面で先手が満足なのは、陣形の安定感に差が生じているからです。お互いに囲いは整っていないように見えるかもしれませんが、実は先手陣の方が遥かに安全な配置になっています。

特に、先手は枠で囲った部分が非常に良い配置です。この構えを維持している限り、基本的には隙が生じません。

逆に、☗3六歩を突いたりすると飛車のコビンが開くので隙が増えますし、☗5八金と上がるのも飛車の横利きが消えるので守備力が落ちます。あの枠で囲った配置を維持して、攻める準備を整えてみましょう。

具体的には、☗9六歩☖5二金☗1六歩と進めるのがクレバーですね。

33金型早繰り銀

9筋の端歩は、☖9五角の王手を消した意味があります。この備えをしておけば、☗7四歩→☗7三銀や、☗7四歩→☗7七桂という要領で敵の飛車を攻める手段が取りやすくなります。

1筋の端歩は、端歩を伸ばして1筋を攻める含みだったり、☗1七桂→☗2五桂といった攻め筋を作っています。こうして隙の無い配置を維持しながら攻めの準備を整えれば、こちらは非常に勝ちやすい将棋になりますね。銀交換になり局面が落ち着いた際には、とにかくあの枠線で囲った配置を崩さないことが肝要です。

また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです。

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1件のコメント

武田和浩 · 2024年3月27日 9:58 PM

継ぎ歩と十字飛車のコンビネーション、上級者の基本という感じがしますね😉

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