どうも、あらきっぺです。

今回の題材は、こちら。

対抗型の将棋において、居飛車は穴熊に囲うのは有力な作戦です。ゆえに、振り飛車側は、それに組まれる前に速攻を仕掛けて、穴熊の構築を許さない指し方を選んでくるケースはしばしばあります。

そこで今回は、そうした指し方をされたときに役に立つ受け方をテーマにして、解説を進めたいと思います。

香を上がっていることを活かす

改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖8五桂と指し、アグレッシブに先攻したところです。

居飛車穴熊 速攻 受け方

居飛車は☗9九玉と潜ることができれば穴熊の完成が見えてきますが、こうして☗9八香と上がった瞬間は、中途半端な配置になっているので隙を突かれてしまったように思えます。ところが、ここでは香を上がっているからこそ出来る受け方があり、それを行えば仕掛けを受け止めることが可能なのです。

居飛車穴熊 速攻 受け方

まずは、☗5九角と引きます。振り飛車はもちろん☖6五歩で攻めてきますが、堂々と☗8六歩と突くのが好判断ですね。

居飛車穴熊 速攻 受け方

一見、これは☖6六歩と取り込まれると、次の☖6七歩成が痛烈なので意味の無い一手に感じるかもしれません。桂を取れないようでは、何のために☗8六歩を指したのかという疑問が残りますね。

しかし、実はこの☗8六歩は、桂を取る以外の意味もあるのです。すなわち、☖6六歩のときに☗8七玉と受けましょう。これが期待の一着ですね。

居飛車穴熊 速攻 受け方

見た目は不安定ですが、実は一手前の局面は、☖6七歩成以外の厳しい攻めは特にありません。であるならば、それが直撃しなければ、居飛車は大きな被害を受けることは無いのです。ゆえに、こうしたスレスレの受けが成立します。なお、☗7八玉ではない理由は、9八の香に紐を付けるためです。

振り飛車は攻め続けるなら☖6七歩成☗同金☖9九角成ですが、これには自然に☗7八銀で桂に紐を付けておきましょう。

居飛車穴熊 速攻 受け方

居飛車は馬を作られましたが、駒損にはなっていないので、特に痛痒を感じません。この後は、☗8五歩→☗7七角という要領で指せば良いでしょう。また、ここで☖9五歩も☗8五歩☖9六歩☗9五歩で攻めが止まります。

こうした手順を見ると、中途半端に見えた☗9八香型も、角のラインを避けているので悪くない配置であることが分かります。馬を作られることは恐れないことがポイントですね。

居飛車穴熊 速攻 受け方

このように、穴熊に組む瞬間に☖8五桂→☖6五歩と動いてくる攻め筋には、☗8六歩→☗8七玉で対応すれば受かるケースが多々あります。9九に馬を作られたとき、囲いの桂香が取られない状況であれば、この受け方は概ね成立します。こうした受け方を知っていると、穴熊に組める形と組めない形の認識力が上がると思いますので、銘記して頂ければ幸いです。

金の位置に注目せよ

居飛車穴熊 速攻 受け方

ちなみに、この☗8六歩→☗8七玉という受け方が発動できたのは、居飛車の金が6七に上がっていないこともポイントの一つです。もし、これが☗6七金型だと、☖6六歩の取り込みが金取りになってしまうので、☗8七玉を指す余裕がありません。金が下にいる方がこの攻め筋を緩和しているのは、何だか不思議な理屈ですね。

居飛車穴熊 速攻 受け方

裏を返せば、振り飛車としては、☖6六歩の当たりが弱い場合は、☖8五桂と跳ぶ攻めが上手くいかないと認識しておく必要があります。代案としては、☖6五歩☗同歩☖同桂☗3三角成☖同銀☗6六銀☖4六歩☗同歩☖3九角という攻め方で、☗5八金型を咎めるのが一案です。☗9八香と上がった瞬間に仕掛けるのは汎用性の高いセオリーなので、☖8五桂以外の攻め筋も模索することが大事ですね。

また、こうした対抗型特有の知識やノウハウは、拙著「現代振り飛車の絶望、そして希望」にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです。

【現代振り飛車の絶望、そして希望】
https://amzn.to/3SVv9oN


1件のコメント

武田和浩 · 2024年4月6日 8:50 AM

逃げた駒でヒモがついているとか、取った駒がアタリになっていないとか、細かいことだけど重要なことだと思います‼️

コメントを残す

アバタープレースホルダー

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です