どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【重い攻めにはかわして受ける】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) May 20, 2024
相手が☖67金と打ち込んできた局面。これは☗48玉と引くしかありませんが、☖58金で銀を取られたとき、あえて☗37玉で金を取らないのが適切な受け方です。… pic.twitter.com/c1FPgwQ0mU
将棋の終盤戦において、自玉に脅威が及んだときは、概ね受けが必要なものです。ただ、受けは攻めとは違い理想図が見えにくいですし、教材の数も少ないので技術の習得が難しい分野ではあります。
そこで今回は、そうした場面で役に立つ受けの考え方をテーマにして、解説を進めたいと思います。
相手の攻め駒を渋滞させる
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖6七金と指し、王手を掛けたところです。
こちらは一方的に竜を作られており、自玉が危険な状態になっています。ただ、大きく駒得していることは頼りになるアドバンテージなので、ここの対処をきちんと行えば楽しみが多い局面と言えます。
問題はどのように受けるかですが、この金を取ると自玉が詰んでしまうので、ひとまず☗4八玉と逃げるのは必然です。後手はもちろん、☖5八金で迫ってきますね。
さて、こちらは素直に応じるなら、☗5八同銀で金を取ることになります。金駒を取り返すので至って普通の手ではありますね。
しかし、結論から述べると、この応接は危険な指し方です。というのも、そこで☖6七歩成と指されると、状況が悪化しているからです。
竜の横利きを堰き止めるなら☗6八歩ですが、☖5八と☗同玉☖3九銀と迫られると、瞬く間に挟撃態勢を作られるので、そこまで安全度が上がっていません。
加えて、こうして6六の歩がと金になると、後手は☖6三歩でこちらの攻め駒を排除する手段も生じます。これらの問題点があるので、上図は形勢を損ねているのです。
こうした背景があったので、筆者は☖5八金で銀を取られた局面で、☗3七玉とかわしました。これが相手の攻めを空転させる一着になります。
金が取れる権利をあっさり手放すのは意外な選択に思えるかもしれません。しかし、こうすることで先手は、相手の攻め駒を渋滞させたことが自慢です。具体的には7八の竜の利きが止まっており、これが活用しにくいですね。失敗例の変化と比べると、その違いは明らかです。
後手は竜の横利きを通さないと、先手玉に迫ることが出来ません。ただ、5八の金をスムーズに移動させることは難しく、威力の高い攻めを放てない状態にあります。無理やり金を捌くなら☖4八金☗同飛☖2六銀ですが、☗同飛☖4八竜☗3八金で受け切っています。これは駒の消費量が激しいので、後手は息切れしていますね。
そうなると、ここでは☖6七歩成で力を溜めるくらいです。ただ、これは厳しい狙いがある訳では無いので、こちらは攻勢に転じることが出来ますね。セオリー通り、☗4四桂で相手の金を剥がしに行きましょう。
これを放置すれば、☗3二桂成→☗4四桂とおかわりする手が痛烈です。ゆえに、後手は☖5七となどで攻め合いを選ぶことは出来ません。かと言って、☖同銀☗同歩と進めても、次の☗5三銀成や☗4三銀打などの攻めが厳しいので、受け切ることも不可能です。先手は物量が豊富にあるので、敵玉に詰めろを掛けることが出来れば、自ずと一手一手の寄り筋に入りますね。ゆえに、上図は先手が勝勢です。
こうした進行を見ると、あえて5八の金を取らないことで、後手の攻めを大いに減速させていることが読み取れます。
このように、終盤で受けに回るときは、相手の攻め駒を渋滞させることがコツの一つです。攻め駒を渋滞させるには、相手の大駒の利きを通さないようにしたり、と金攻めから遠ざかることを心掛けましょう。そうした状況を作れば、相手は自身の攻め駒が「重い配置」になり、寄せがスムーズに進まなくなります。これは汎用性が高いテクニックなので、受けに回る際には意識しておくと良いでしょう。
自玉が最も安全な場所を見つける
繰り返しになりますが、今回の題材では相手の攻め駒を渋滞させる(重い配置にさせる)ことが重要な部分でした。ゆえに筆者は☖5八金に対して☗3七玉と指したのですが、この手を選んだ背景には、もう一つ別の理由もあったのです。
それは、「いち早く安全地帯に向かう」ことですね。
改めて、冒頭の局面を振り返ってみます。現状、こちらは自玉が5筋に居て、守備駒も4・5筋にたくさん配置されていますね。しかし、この玉が真に安全な場所は、青枠で囲った部分なのです。特に、1六の地点が安全ですね。
上図は自玉が横から攻められている状況ですが、あの地点まで逃げこめれば、側面からの攻めを避難できるので詰まされにくい格好になります。そうなると、早急にそこを目指した方が自玉が安全になりますね。ゆえに、☗4八玉→☗3七玉の二手を優先させたのです。
将棋は序盤の段階では囲いの定位置に玉を据えておくのが最も安全です。けれども、終盤になり囲いがある程度崩壊してくると、自玉が最も安全な配置は変化していきます。ゆえに、それに合わせて自玉の安全地帯を改めて探すことを意識しましょう。これも併せて考えると、良い判断が行えるようになるかと思います。
また、こうした終盤で受けに回る際に心掛けたことが良いことは、他にもあります。詳しくは、以下の記事で解説しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
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