どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【左美濃急戦で役立つ手筋】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) August 21, 2024
こちらは攻めに専念できる態勢なので、良い攻めがあればリードを奪えます。ここは☗24歩☖同歩☗同飛で合わせの歩を使うのが面白い攻め方ですね。… pic.twitter.com/CELaRTtgeJ
左美濃急戦は、非常に攻撃力が高く優秀な戦法の一つです。ただ、攻めの導入部分では細かく歩を使う技術が要求されるので、見た目よりも攻め方が難しい戦法であると言えます。
そこで今回は、そうした部分で役に立つ攻め筋をテーマにして、解説を進めたいと思います。
攻め駒が進みやすい状況を作る
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖3四同銀と指し、3筋にあった歩を払ったところです。
この局面は、駒の損得はありませんが、こちらは自分だけ攻撃態勢を築いていますし、遊び駒も一つもありません。ゆえに、それらの優位性を活かしたい状況ですね。ただ、銀桂が少し前進しにくいので、ここでの攻め方は一工夫が必要です。
ずばり結論から述べると、ここは☗2四歩☖同歩☗同飛と揺さぶるのが面白い攻め方になります。
なお、先に☗4四歩☖同銀の交換を入れてから上記の順を決行しても問題ありません。
少し意外な攻め方に見えるかも知れませんが、これで3四の銀取りの受け方を打診するのがクレバーな選択になります。ここに相手の銀が居るので、先手は4五の地点に銀や桂が進みにくい形になっています。それを解消することが、この揺さぶりの狙いですね。
例えば、上図から☖2三銀と引いてきた場合は☗2九飛と引き上げます。その局面は2四にキズが残っているので☖2四歩と守るのが妥当ですが、☗4四歩☖同銀☗4五銀と進めるのが先手期待の攻めになります。
☖同銀☗同桂と進めば、銀桂がスムーズに捌けていますし、次の☗3三歩が厳しい狙いとなります。
また、☖5五銀とかわされた場合は☗8八角と引いておいて問題ありません。先手は次に☗2五歩☖同歩☗4四歩や、☗2五歩☖同歩☗2四歩☖同銀☗2五桂といった要領で攻める手が残っており、攻めが止まる心配がないからです。
この変化の後手は、4五の銀が追い払いにくく、それゆえ4筋に厚みを築けないことが痛恨です。そして、そうした展開になったのは3四の銀が後退させられたからに他なりません。
そうした背景があったので、本譜は上図で☖4三金右と指してきました。これは3四の銀を下げないようにしながら、4筋に厚みを加えている意味があります。
ただ、この受け方だと2筋が素通しなので、それを咎める方向性で攻めましょう。具体的には、☗2二飛成と切り飛ばすのが左美濃急戦らしい攻め方になります。
この段階で飛車を渡すのは乱暴に見えますが、こちらは囲いが左美濃なので、横からの攻め(飛車の打ち込み)には強い耐性があります。この強襲が成立するのは、その性質が大きく影響しています。
上図では☖2二同玉が自然な応接ですが、☗4四歩☖同銀☗7一角と畳み掛ければ、綺麗に技が掛かった格好となりました。
4二以外の場所に飛車を逃げると、☗4四角上から二枚替えの駒得になります。また、☖4二飛には☗4四角引成☖同金☗5三銀で飛車金両取りを掛ければ、これも後手陣は崩壊していますね。
こうした進行を見ると、先手は☗2四歩☖同歩☗同飛の揺さぶりを使うことで、敵陣の攻略に成功したことが分かります。
基本的に左美濃急戦は、4五の地点に銀や桂を進ませることを念頭に置いて攻めることが大事です。ただ、相手もそれを妨害する指し方を選んでくるので、そうした受けを無効化する攻め筋を見出すことが必要になってきます。☗2四歩☖同歩☗同飛のように、敵の守備駒を後退させるテクニックはその具体案の一つなので、頭の片隅に置いておくと役に立つのではないでしょうか。
飛車を目標物にされないようにする
繰り返しになりますが、今回の題材では攻め駒が前進しやすい状況を作ることが重要な部分でした。ゆえに筆者は☗2四歩☖同歩☗同飛という揺さぶりを使ったのですが、これを実行した背景には、もう一つ別の理由もあったのです。
それは、「飛車を狙われないようにする」ことですね。
例えば、相手が☖2三銀と引いてきた変化の場合、こちらの飛車は2九で安定していて、敵の目標にされる懸念はありません。冒頭の局面では飛車と3四の銀の距離が近かったので、やや飛車が不安定だった側面がありました。それが改善されたことも、攻めがスムーズに続いている要因の一つと言えます。
また、☗2二飛成と切り飛ばす変化も、飛車が相手の大駒と交換になっているので、これも目標にされることなく攻める展開に持ち込めていることが読み取れます。
このように、相居飛車の将棋は自分の飛車が目標にされてしまうと、攻めに専念できなくなるケースが多々あります。逆に、それが安定したり捌けてしまえば負担にならないので、存分に攻める展開に持ち込めます。そうしたことも意識すると、適切な攻め方が選べるようになってくるのではないでしょうか。
また、こうした知っておくと役立つ将棋の知識やテクニックは、私のブログや note にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです。
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2件のコメント
maekou · 2024年8月24日 4:14 AM
譜面表示の件
願いを聞き届けて頂いたようで
ありがとうございました
益々のファンになりました
武田和浩 · 2024年8月24日 11:51 AM
左美濃急戦という言葉は聞いたことがありましたが、勉強になりました🎵