どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【敵の大駒の効力は下げろ】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) September 30, 2024
こちらは手番を握っていますが、何を目的に手を選ぶのか難しい場面です。ただ、敵の大駒の効力を低下させる手は、概ね間違いがありません。… pic.twitter.com/p7DlOaB72T
基本的に将棋は、序盤は駒組みを、終盤は寄せを行うので、それらの領域で方針に迷うことはあまり多くないかと思います。けれども、中盤に関しては漠然とした局面に直面しやすく、方針の定め方が難しいことが多々ありますね。
そこで今回は、そういったシチュエーションを乗り切る方法をテーマにして、解説を進めたいと思います。
敵の大駒の効力を弱める
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗8八歩と指し、8筋をガードしたところです。
この局面は、お互いに敵陣を少し攻め、それが一段落した場面です。こうした中盤中期の段階では、攻めと受けのどちらを選ぶのか非常に悩ましいことが多いので、ミスが出やすい場面とも言えます。
さて、こちらは現状、自玉の周りに金銀がなく、ゆえに薄さが目立つ印象はあります。それを改善するなら☖6三銀で補強するのが一案ですね。
ただ、こう指すと☗7五歩☖同歩☗7四歩☖同銀☗6四角と攻め掛かられたとき、どう対処するのかという問題があります。
これは次に☗4二角成☖同金☗2三飛成という強襲を狙っています。それを防ぐなら☖5三銀が一案ですが、☗同角成☖同玉☗4五桂と暴れられる手が怖いですね。この変化ははっきり潰れているわけではありませんが、自玉の薄さを咎められている状況になるので、好んで選びたくはない印象です。
上図でこちらが面倒な状況になっている要因の一つに、相手の大駒が存分に働いていることが挙げられます。特に角の利きがこちらの守備駒に直射していることが厄介で、それが大いなる脅威を与えていると言えます。
それを踏まえると、冒頭の局面でこちらが選ぶべき指針が見えてきます。上図のように敵の大駒を躍動させるのではなく、抑制させる方向性の手を選びたいのです。
そうした思惑から、筆者は冒頭の局面で☖5五銀と指しました。これが形勢を掌握する一着になります。
ここに銀を打つと自分の角の利きを止めてしまうのですが、先述したようにこちらは敵の大駒を抑制することに重きを置いているので、そのデメリットには目を瞑っています。これで強制的に角を撤退させればあの駒の効力が下がるので、ポイントを稼ぐことが出来ると踏んでいるのです。
先手は暴れるなら☗2四歩ですが、これは☖4六銀☗2三歩成☖3七銀成で切り合えば、後手がはっきり優勢です。この変化は駒得が大きいですね。
よって、上図では☗6八角と引くのが妥当ですが、こうなると相手の攻め筋が一つ消えたので、こちらは☖6五桂で攻勢に出やすくなります。
先手は本音を言えば、自分も攻勢に出たいところ。けれども、角が引っ込んだことで攻撃力が下がっており、有効な攻め筋が見出せない状況です。
対して、こちらは☖7七桂成や☖8七銀などの攻めがありますし、場合によっては☖4六歩と打って、さらに先手の角の効力を弱める手も指すことが出来ます。自陣の安全度が上がったことで受けに回る必然性がなくなり、ゆえに選択肢が広くなっていることが読み取れます。
こうした恩恵を見ると、☖5五銀と打った手の価値がよく分かりますね。
このように、中盤戦で何をするべきか分からなくなった場合は、敵の大駒の効力を下げることを意識するのは有効な指針と言えます。大駒は言うまでもなく重要な戦力であり、それゆえ盤上に与える影響度は相当なものがあります。よって、敵のそれにデバフをかけることは、形勢を好転させる効果が高いというわけですね。
狭い場所への移動を促すのがコツ
繰り返しになりますが、敵の大駒の効力を下げることは、高い費用対効果があります。では、それを行うには、どんなことを意識すればよいのでしょうか。
答えの一つに、「狭い場所への移動を促す」という考え方があります。
具体的に、上図の局面で考えてみましょう。先述したように、ここで相手は有効な攻めを繰り出すことが出来ません。ゆえに受けに回るのは自然であり、案として☗8六銀とかわす手が挙げられます。
その際、こちらには有力手が複数あるのですが、敵の大駒の効力を下げることを優先するなら、☖4八歩が面白い一着になります。
相手は黙っていると自玉の近くにと金を作られるので、これは無視できません。ただ、☗同金は☖3九銀の割り打ちが痛烈です。よって、これには☗同飛と取るのが妥当ですが、そうなると相手の飛車の効力がガクンと下がるので、こちらは更に戦いやすい状況になりますね。
[☖5五銀☗6八角]や[☖4八歩☗同飛]という手順に共通していることは、敵の大駒を狭い場所に移動させ、利きの数を減らしていることです。利きの数が減れば可動域も狭まるので、必然的に効力は下がります。☖4八歩のような手は発見するのが難しいですが、「狭い場所への移動を促す」ということを意識すると、そうした手が見つけやすくなるのではないかと思います。
また、こうした中盤で方針に迷ったときに役に立つ考え方は、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
1件のコメント
武田和浩 · 2024年10月9日 8:56 AM
手の広い中盤で、強い人はやはりいろいろ考えているのですね🎵その一つの大事な要素として大駒の働きを考えていることがよくわかりました🎵