どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【遊び駒は捨ててでも使え】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) October 27, 2024
こちらは6筋に垂れ歩を設置されており、急ぐ必要があります。また、現状では2一の馬の働きが悪く、これを使うことも必要です。… pic.twitter.com/HeycbPUPUW
将棋は、よほど中盤戦で大差にならない限り、競り合いの終盤戦を迎えることになります。今回は、そういった状況を乗り切るための考え方をテーマに、解説を進めたいと思います。
遊び駒が残る展開は選ばない
改めて、上記ツイートの局面を振り返ってみましょう。図は後手が☖6二飛と指し、攻防手を放ったところです。
この局面は、終盤戦の入口といったところです。こちらは桂得で手番を握っていることが主張ですが、次の☖6七歩成を防ぐことは出来ないので、忙しい状況に直面しています。このと金攻めよりも速い攻めを繰り出すことが、こちらに課せられた命題ですね。
終盤戦においては、相手の攻防駒を攻め、効力を低下させるのが有効なテクニックの一つです。それを踏まえると、上図で☗6三歩と叩くのは自然ですね。
これを指すと、☖同金☗5二金☖6七歩成☗6二金☖同金引という進行が予想されます。
この局面を迎えたとき、どういった印象を受けるでしょうか。やはり、相手のと金攻めが間に合っていることが目を引きますね。この進行は相手の攻防駒を取れていますが、その代償に金を二枚失う(持ち駒の金と6八の金)ことになるので、先手としては歓迎すべき展開ではないのです。
そして、こちらはもう一つ目を向けなければいけない部分があります。それは、2一の馬が遊んでいることです。大駒が遊び駒になると戦力が著しく落ちるので、それは早急に改善しなければなりません。しかし、自分の囲いに脅威が及ぶとそれを行う余裕がなくなるので、遊び駒を使いたくても使えないという状況に陥ることが多々あります。上図もその例に漏れないケースと言えるでしょう。
そうした背景があるので、冒頭の局面で筆者は、この馬を使うことを第一に考えました。具体的には、☗4三馬と捨てるのが終盤戦ならではの一着ですね。
非常に大胆な一着ですが、こうすれば2一の馬を最短で活用することが出来ます。ここで☖6七歩成は☗5二馬☖6八と☗6二馬☖7九と☗同銀と進めれば、先手玉には詰めろが掛からないので一手勝ちが明らかになります。よって、後手は受けに回るよりありません。
受けるとなると☖4三同金が普通です。ただ、これは☗6二飛成☖同金☗6三歩の追撃がすこぶる厳しいですね。
こうなると2手スキが続く状況となるので、[☖6七歩成→☖6八と]の攻めが間に合うことはありません。これはまさに、「終盤は駒の損得よりスピード」という格言を体現している変化ですね。
後手としては、上図で☖8五角と抵抗するほうが粘り強い態度ではあります。ただ、こちらはシンプルに☗5二馬☖同飛☗同飛成☖同角☗5一飛と攻め込んで行けば、特に差し支えありません。
後手は角を逃げると一手の価値が乏しいので、☖6七歩成が妥当です。ただ、☗5二飛成☖6八と☗同銀と進めておけば、こちらは桂得を維持していますし、2一の馬を捌きながら相手の攻防駒を消すことにも成功しています。優位性を残した状態で捌き合うことが出来たので、上図はこちらがリードを保っていますね。
このように、競り合いの終盤戦では遊び駒が残らない展開を選ぶことが大切です。特に、大駒を遊ばせる展開は禁物なので、それは早急にクリアすることが大事です。
また、どうしても大駒が遊んでしまうという状況に直面した場合は、上図のようにそれを捨ててでも活用する手段を模索しましょう。局面が終盤戦に入っていれば、こうした手は意外にリスクが低いものです。
敵の守備駒を囲いに近づけさせない
繰り返しになりますが、今回の題材では遊び駒が残らない展開を目指すことが重要な部分でした。ゆえに筆者は駒の損得を無視して☗4三馬と指したのですが、この手を選んだ背景には、もう一つ別の理由もあったのです。
それは、「敵の守備駒を囲いに近づけさせない」ということですね。
改めて、冒頭の局面から☗6三歩と叩いた変化を提示します。この変化は[☗6三歩☖同金]という応酬が、先手にとって全く嬉しい取引ではないことも問題の一つです。自発的に5二の金を6筋へ移動させているので、相手の囲いを強化させているきらいがあるのですね。そうした手を指すのは明らかなマイナスなので、この変化は損をしているのです。
逆に、冒頭の局面から☗4三馬☖同金と進む変化は、相手の金がどんどん囲いから離れていることが分かります。こうした進行を選ぶほうが、相手の囲いを攻略しやすいのは言うまでもありません。終盤戦の競り合いにおいては、単純な駒の損得ではなく、こうした守備駒の配置にも意識を向けることが大切です。
また、こうした競り合いの終盤戦で意識すると良いことは、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
1件のコメント
武田和浩 · 2024年11月15日 9:44 AM
成角をただ捨てするとは大胆ですが終盤においては理にかなっているのですね🎵