どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【負担になりそうな駒は避難させる】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) December 30, 2024
こちらは相手の攻めを切らしつつある局面ですが、6六の飛が負担になると、攻めが繋がってしまう恐れがあります。… pic.twitter.com/KU4vnuspam
将棋の終盤戦において、自陣に脅威が及んだときは、概ね受けが必要なものです。ただ、受けは攻めとは違い理想図が見えにくいですし、教材の数も少ないので技術の習得が難しい分野ではあります。
そこで今回は、そうした場面で役に立つ受けの考え方をテーマにして、解説を進めたいと思います。
負担になりそうな駒は避難させる
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖6三桂と指し、飛車の成り込みを防いだところです。

この局面は、こちらが一方的に攻め込まれていたことが窺える状況です。ただ、相手は大駒を全て捨てており、持ち駒もほぼ使い果たしているので攻めが切れ筋に陥りつつあります。こちらとしては、上手くいなせば安全に勝てる将棋になっており、その具体案を見出すことが、現局面のテーマと言えます。

相手の攻めを切らす際には、敵の攻め駒を取ってしまうのが一つの方法です。その観点で言えば、☗6四歩で桂を取りに行く手が見えます。この桂を取れば上部が拓けるので、入玉が現実味を帯びてきますね。
しかし、結論から述べると、この手は☖5七銀成というスマッシュが飛んでくるので、危うい指し方と言えます。

これには☗同玉が自然ですが、☖5六金と上がられると、先手は確実に大駒を渡すことになります。そして、大駒を一枚でも取られてしまうと、相手の攻めが手厚くなってしまうので、受け切る方針と矛盾が生じます。ゆえに、この進行は選びたくありません。何より、4筋で渋滞していた後手の攻め駒に活躍されたことが非常に嫌なのです。
上記の失敗例を踏まえると、こちらは☖5七銀成→☖5六金という攻め筋を警戒しなければならないことが見えてきます。ゆえに、冒頭の局面で筆者は、☗6四飛と指しました。これが相手の攻めをいなす一着になります。

ふわりと飛車を浮くのは、意外な選択に見えるかもしれません。ただ、冒頭の局面でこちらは、6六の飛が相手の目標物になっており、負担になっている駒でした。そうした駒は早急に敵の攻め駒から遠ざけておき、当たりにならないよう避難させておくのが凌ぎのコツの一つです。ゆえに、これは見た目以上に価値の高い一着なのです。

今度は☖5七銀成を指されても、☗同玉で何の問題もありません。本譜は☖6五歩と打ち、上部を押さえてきましたが、これには☗7六玉☖5七銀不成☗6七歩で、玉を7筋に移動させるのが賢明ですね。

こうして敵の攻め駒から自玉を遠ざけたり、攻め駒を接近させないようにすれば、安全度がぐんぐん上がります。以降は☗8六歩や☗7九銀などで、8筋への逃走経路を確保する手が楽しみですね。そこまで逃げてしまえば、もはや先手玉が寄ることはありません。

また、上図では将来、☗3三歩や☗2四歩など、飛車の横利きを使って敵の本丸を攻める手も用意できており、攻め合いで勝つプランも選べる状況です。上図は攻防共に先手が手厚いので、こちらが勝勢だと言えるでしょう。
こうした進行を見ると、☗6四飛と浮いた手の恩恵が、色濃く出ていることが読み取れます。

このように、終盤で受けに回るときには負担になりそうな駒を避難させ、目標物にされないようにすることが大事になります。特に、このテクニックは相手の攻めを凌ぐとき非常に有用なので、そうしたシチュエーションに相対した際には、意識して頂ければ幸いです。
格言に倣う手は、概ね正解
繰り返しになりますが、今回の題材では負担になりそうな駒を避難させることが重要な部分でした。ゆえに筆者は☗6四飛と浮いたのですが、この手を選んだ背景には、もう一つ別の理由もあったのです。
それは、「玉飛接近悪形なり」という格言に倣うためですね。

改めて、冒頭の局面を提示します。ご覧のように、こちらは玉と飛車が隣接しています。受け側にとって、こうした状況は玉と飛車を同時に狙われる可能性があるので、持続させて良い配置とは言えないことが殆どです。つまり、☗6四飛は玉と飛車の位置関係を改善させた意味もある訳ですね。

ちなみに、冒頭の局面では☗7六飛☖7五歩☗9六飛という手順で悪形を解消させるのも有力です。これも先述した理屈に合致しているので、受け切りが見込める展開に持ち込めます。このように、格言に倣う手は概ね正解になることが多いので、判断に迷った際には、これを指針にすると良い対処法になり得ることは多いですね。
また、こうした終盤で受けに回る際に心掛けたことが良いことは、他にもあります。詳しくは、以下の記事で解説しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
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