どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【最も欲しい駒を取りに行け】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) February 4, 2025
こちらは玉の安全度や駒の損得でリードしています。どのように優位を拡大するかですが、ここは☖27成桂がベストです。… pic.twitter.com/7Ybfrdd32y
基本的に将棋は、序盤は駒組みを、終盤は寄せを行うので、それらの領域で方針に迷うことはあまり多くないかと思います。けれども、中盤に関しては漠然とした局面に直面しやすく、方針の定め方が難しいことが多々ありますね。
そこで今回は、そういったシチュエーションを乗り切る方法をテーマにして、解説を進めたいと思います。
最も欲しい駒を取りに行く
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗1六飛と指し、飛車取りを防いだところです。

この局面は、こちらが桂得している上に、角の働きも大差なのでこちらが優勢です。しかしながら、たとえ優勢な状況だったとしても、緩んだ手を指したり方針を誤ってしまうと、途端に優位性が小さくなるのが将棋の怖いところ。ゆえに、こうした場面でも価値の高い手を指さないと、相手を突き放すことは出来ません。その手段を見つけ出すことが、こちらの命題ですね。

さて、この局面で相手は、次に☗1四歩から端を攻めるのが狙いの一つです。それを丁寧に防ぐなら、☖2二玉は一案と言えます。
しかし、結論から述べると、この手は些か緩手です。というのも、そこから☗7四歩☖同銀☗9七角と進められたときが面倒だからです。

これは次に☗6四角や☗7四香☖同飛☗7五銀といった攻めを狙っています。また、この角を活用すれば相手は玉の狭さを改善できるので、非常に味の良い一着になっていますね。
上図では☖7五歩☗同香☖9五歩であの角を目標にすれば優位を維持していますが、冒頭の局面と比較すると、こちらは条件が悪くなっているので形勢の差を縮められているのは確かです。ゆえに、出来れば選びたくない進行と言えるでしょう。それはつまり、☖2二玉と上がって「1筋を受ける」という方針が、急所を捉えていないことを意味しています。

では、冒頭の局面では、どんなことを指針にすれば良いのでしょうか。
この局面を眺めてみると、敵玉は明らかに横からの攻めに弱いことが感じられるかと思います。例えば☖3九飛のような攻め方が出来れば、簡単に寄せ切れそうですね。
それを踏まえると、こちらは相手の飛車を取りにいくのが最速最強の攻めであることが見えてきます。ゆえに、筆者は上図から☖2七成桂と指しました。これが最も優位を拡大できる一着ですね。

これは次に、☖1七成桂☗1五飛☖2六角で敵の飛車を捕獲する狙いがあります。☗1四歩や☗7四歩を指されても無視してそれを実行すればよいので、この手は間接的に自陣の受けにもなっています。飛車が取れれば先述した攻めが厳しいので、寄せ合い勝ちが濃厚であるのは言うまでもありません。
したがって、相手は飛車を助けるために☗1九飛と早逃げするのが妥当です。ただ、こちらは☖2六角で追撃すれば問題ありません。そこから☗7四歩には自然に☖3七角成で良いでしょう。

相手は飛車を避難させないといけないので☗6九飛が妥当ですが、こうして6筋に押し込めれば、こちらの1筋は安泰です。自陣の安全度が上がったので、以降は☖7四銀で手を戻せば良いでしょう。☗9七角の筋は気になりますが、☖7五歩☗同香を入れてから☖4六馬と引けば、角の活用を阻めるので大して気にする必要はありません。なお、☖4六馬に☗5七銀は☖4七馬が飛車取りになり、手番が握れるので大丈夫です。上図は大駒の働きの差がさらに広がっているので、こちらが優位を拡大した格好ですね。
こうして一連の進行を見ると、☖2七成桂から敵の飛車を目標にしたことで、こちらは方針が分かりやすくなったことが読み取れます。

将棋は、中盤の中期から後期に入ると、敵玉の寄せを見据えた手を選ぶ必要があります。そのとき、どんな駒を入手すれば敵玉が寄せやすくなるのかということに注目すると、目指すべき指針が明確になります。特に、その欲しい駒を取りに行く手は急所を突いているケースが多いので、意識してみると良いでしょう。
相居飛車の基本は「飛車ゲー」
ところで、こうした「欲しい駒」というのは、局面の状況によってコロコロ変わるので、それを見定める力が必要であることは確かです。ただ、相居飛車の将棋だと、概ね飛車がそれに該当することが多いですね。今回の題材を例にして、説明してみます。

基本的に、相居飛車は互いに縦方向から敵の囲いを攻めます。ゆえに、相居飛車の囲いは、概ね縦からの攻めに備えた構造になっていることが多いですね。特に、矢倉やカニ囲いはその最たるものと言えます。
ただ、それは裏を返せば、横からの攻めに対して耐性が低くなっていることを意味します。ゆえに、相居飛車の将棋だと、敵の飛車を取りに行く価値が高くなるのです。
加えて、敵の飛車を奪えば、相対的に自陣が安全になることも見逃せない利点ですね。[相居飛車=飛車ゲー]という認識を持つと、こうした将棋の解像度がさらに上がるのではないかと思います。
また、こうした中盤で方針に迷ったときに役に立つ考え方は、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
1件のコメント
武田和浩 · 2025年4月9日 9:00 AM
飛車わ詰ます、ということはやっぱり大きいなと思いました🎵