どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【敵の無理攻めを凌ぐ必修手筋】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) June 4, 2025
相手は軽快に桂を跳んで攻勢に出ています。こちらとしては、あの桂を召し捕る展開にしたいですね。… pic.twitter.com/JfBuPdbEEa
将棋を指していると、ときに相手の攻めをいかにして凌ぐのか? という場面に直面することもありますね。ただ、受けはどうしても攻めに比べると成功形が見えにくいので、何を指針にして受けの手を選べば良いのかが分かりにくい性質があります。
そこで今回は、受けに回る際の重要な指針をテーマして、解説を進めたいと思います。
自玉に近い攻め駒から消していく
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。下図は相手が☗4四歩と指し、拠点を設置したところです。

こちらは銀が7六まで進出しており、攻めに関しては申し分ありません。ただ、守りに関しては敵の攻め駒が自玉の近くに迫っているので、少なからずプレッシャーがありますね。その問題をどう払拭するかが、こちらの命題と言えます。
自玉の安全度を高めるには、敵の攻め駒を盤上から消してしまうのが一案です。例えば、☖3三桂と跳ねて桂交換を目指す手が考えられます。☗同桂成☖同銀と進めば、壁銀も解消できるので味が良さそうな順に見えますね。
ただ、そこで☗7七桂と力を溜められると、実は指す手が難しい側面があります。

こちらは☖4四銀で歩を払いたいですが、それを指すと☗4五歩☖同銀☗4四桂で両取りが掛かってしまいます。ただ、この歩が取れないと、こちらは安全を確保したとは言えません。
加えて、上図は☗1五歩☖同歩☗1二歩☖同香☗2一角という攻め筋が生じていることも気になります。これは2一の桂が消えた弊害と言えます。こうした要素を踏まえると、こちらは☖3三桂で桂交換を行っても自陣が安全にはなりません。そうなると、この手は得策ではないことが分かります。
こうした背景があるので、冒頭の局面で筆者は別の手を選びました。具体的には、☖4三歩と合わせます。これが的確な受けになります。

先程の失敗例もそうだったように、こちらは4四の歩が盤上に残っていると、自玉の安全が確保されません。ゆえに、これを早急に消す必要があり、だからこそ歩を合わす手が価値の高い手になります。
相手は☗同歩成と応じるのが妥当ですが、そこで☖同金左と取るのが大事な一手。これで敵の攻めを受け止めることが出来ます。

代えて☖同金右と5二の金で取ってしまうと、☗4四歩☖同金☗7一角で自陣が崩壊します。しかし、こうして5三の地点を強化しておけば、その筋がないので潰されることはありません。
上図は次に☖4四歩が打てれば、桂得確定です。相手がそれを防ぐには☗4四歩☖同金☗4六銀と進めるくらいですが、これには☖6五銀で主戦場から離れていた銀を引き付けるのが味の良い一着になります。

これは次に☖5六銀や☖5四銀を狙っています。そうして4五の地点に数的優位を作れば、相手の桂を召し取れるので優位は明らかですね。ただ、相手はそれが分かっていても防ぐ方法が難しいので、適切な処置がありません。したがって、上図はこちらが優勢と言えます。
こうして一連の手順を見ると、こちらは4四の歩を消したことで、状況がどんどん好転していったことが読み取れます。

このように、受けに回る際には、敵の攻め駒を盤上から消すのが有効な手法の一つです。特に、自玉に最も近い場所に居る攻め駒を消すと、安全度が劇的に上がるケースが多々あります。こうした点を意識すると、的確な受けを発見することに繋がるのではないでしょうか。
最もリターンが大きい展開を目指す
繰り返しになりますが、今回の題材では、自玉に最も近い場所に居る敵の攻め駒を消すことが話の肝でした。ゆえに筆者は☖4三歩と指したのですが、この手を選んだ背景には、別の理由もあったのです。
それは、「最もリターンが大きい展開を目指す」ということですね。

改めて、失敗例の局面を提示します。この局面は先述したように4四の歩が盤上に残っていることが大きな問題なのですが、それに加えて「桂交換になっている」ことも不本意な要素の一つです。もちろん桂交換はイーブンの取引ですが、イーブンである以上、こちらが得することはないと言えます。

逆に成功例のほうは、4五の桂をタダで召し取れる状況になっています。タダ取りできるのであれば、そのほうが良いことは火を見るよりも明らかです。
成功例と失敗例は、どちらも敵の攻め駒を盤上から消しています。しかし、優劣に関しては大きな差が生じました。このように、ある問題を解決するとき、最もリターンが大きくなる展開を目指すほうが、形勢が好転しやすくなります。こうした理屈を踏まえて中盤の指し手を考えると、良い判断が出来るようになるのではないかと思います。
また、こうした受けに回るときに意識しておきたいことは、他にもあります。詳しくは、以下の記事で解説しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
0件のコメント