どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【棒銀を成功させるテクニック】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) June 28, 2025
こちらは銀が高い位置まで進軍できており、これを活かしたいところです。具体的には、☗33歩☖同桂☗28飛と進めるのが面白いですね。… pic.twitter.com/d63tIQPoBs
将棋において、棒銀で敵陣を攻めるのは基本中の基本です。ただ、ある程度強くなってくると相手も受けの力が上がってくるので、棒銀を成功させることは意外に難しい技術と言えます。
そこで今回は、棒銀で攻める際に心掛けておくと良いことをテーマにして、解説を進めたいと思います。
敵の角を負担にさせる
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖5四銀と指し、銀交換を避けたところです。

この局面は、こちらが玉の堅さで勝っている上に、攻めの飛と銀の効率にも差がついているので、こちらが優位に立っています。先手としては、3四まで進出している銀を活かして上手く敵陣を攻略したいですね。
さて、棒銀は2筋を突破するのが理想の一つなので、上図では☗2八飛でそこを狙う手が自然に思えます。相手は2三の地点が非常に受けにくいですね。
しかし、結論から述べると、これは少し急所を外した攻めになります。なぜなら、そこで☖4四角と先受けされる手が面倒だからです。

ここで☗2三銀成は、☖2七歩☗同飛☖2六歩で駒損になってしまいます。こうした受け方は、棒銀で攻めた際に頻出する受けですね。
なお、先手が☖2七歩の筋を回避するなら、上図で☗2四歩☖同歩☗同飛☖2二歩☗2三歩と攻める手はあります。飛車の位置を2四に変えれば、2六の地点で堰き止められる心配はありません。
ただ、そこから☖2三同歩☗同銀成☖4三金と応接されると、些か攻めが渋滞している感があります。

確かに2筋は突破できましたが、上図は自分の成銀が邪魔をしていて、飛車をスムーズに成ることが出来ません。また、ここで☗2二歩で駒得を図ろうとしても、☖3五角☗2五飛☖3四金☗2八飛☖3三桂でスルスルと逃げられてしまいます。このように、上図はあまり攻めがヒットしていないので、先手にとって選びたい進行ではありません。
こうした背景があるので、冒頭の局面から単純に2筋を狙うアプローチでは上手くいきません。そこで、筆者は一工夫を加えました。具体的には、☗3三歩と打ちます。これが棒銀の威力を引き上げる一着になります。

金を逃げると2三へ銀が成れるので、相手は☖同桂か☖同金の二択です。ただ、☖同桂を選ぶと今度こそ☗2八飛が痛烈な攻めになります。相手は角を4四へ移動できないので、有効な受けがありません。
したがって、上図では☖3三同金が最強の抵抗になりますが、☗同銀成☖同角☗3四金と攻めましょう。徹頭徹尾、敵の角を目標にするのが得策です。

後手は複数の応接が考えられますが、①☖2二角には☗2八飛。②☖5一角には☗4四金☖3三歩☗2八飛と進めれば、いずれも相手は2三の地点を味よく受けるのが難しい状況になります。
他には③☖4九銀で攻め合いを選ぶ手もありますが、やはり☗2八飛で問題ありません。この進行は角取りと☗2三飛成が同時に残っており、先手は確実に戦果を挙げることが出来ます。上図は攻め駒が渋滞せず攻めが続いているので、先手がリードを広げていると言えるでしょう。
こうして一連の進行を見ると、飛車を寄る前に☗3三歩と打った手の恩恵がよく分かりますね。

棒銀で攻めるとき、基本的には2三の地点(後手の場合は8七)に銀を成り込むことが目標の一つになります。そして、この「☗2三銀成」という攻め方は、相手の角を負担にさせると飛躍的に威力が上がります。よって、相手の角に活用されにくい状況を前もって作っておくことが、棒銀を炸裂させる鍵になります。こうした視点で攻めの手を考えると、急所を突いた攻めの手が見えやすくではないかと思います。
棒銀を中途半端な場所に残さない
繰り返しになりますが、今回の題材では「相手の角を負担にさせること」が話の肝でした。ゆえに筆者は☗3三歩と指したのですが、この手を選んだ背景には、別の理由もあったのです。
それは、「棒銀を中途半端な場所に残さない」ということですね。

改めて、失敗例の変化を提示します。上図では2三の成銀が捌きにくい格好になっており、攻めが空転しています。こうして棒銀が中途半端な場所に残る状況になると、たとえ敵陣を突破しても成果が上がらない形になってしまいがちです。

逆に、☗3三歩と打った変化は、直ちに敵陣を突破する状況にはなっていませんが、棒銀が綺麗に捌けています。確かに棒銀は敵陣を突破することが理想ではありますが、出ていった銀が捌けないと本末転倒とも言えます。たとえ敵陣を突破できなくても、銀が捌けていれば及第点は取れているので、攻め側はそうした展開を積極的に選ぶことが大事ですね。
また、こうした局面を適切な方向に導くためのテクニックや思考法は、他にも様々な種類があります。詳しくは、拙著「盤上のシナリオ」に記載しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
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