どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【駒は中央に向かって使う】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) July 22, 2025
こちらは3四の銀を攻めに使いたいですが、☗23銀成ではそっぽに向かいますし、飛車先も重くなるので☖65歩の捌きを誘発するリスクもあります。… pic.twitter.com/OmVWyq9h4J
将棋を指していると、「敵陣を攻めたいのに、どう攻めればよいのか分からない」という場面に直面したことは、誰しもあることでしょう。そこで今回は、そうした場面を打開する考え方について、解説したいと思います。
自軍の駒を中央へ使う意識を持つ
改めて、上記ツイートの冒頭の局面から振り返ってみましょう。図は相手が☖1四歩と指し、手待ちを行ったところです。

こちらは自玉が堅く、攻めの銀も敵陣近くまで進軍できているので良い形を作れています。ただ、具体的な戦果を挙げたわけではないので、ここからはそれを掴み取る必要がありますね。
さて、中盤の目的の一つは敵陣を突破することです。それを踏まえると、上図では☗2三銀成で敵陣に侵入するのは一案と言えます。この場合、相手は☖6五歩で反撃してくることが予想されます。以下、☗4二角成☖同金が進行の一例でしょう。

これはこれで居飛車は悪くないのですが、一つ気になる点があります。それは、2三の成銀が使いにくくなっていることですね。
もし上図であの成銀が居なければ、☗2四飛と走る手が絶好でした。しかし、現状では自分の成銀が邪魔をしているので、飛車を走っても効果的な一着になりません。こうした味方の駒がお荷物になっている状況は、攻め側にとって「重い配置」になっており、好ましい状況とは言えないのです。
こうした背景があったので、冒頭の局面で筆者は、少し工夫した攻め方を選びました。具体的には、じっと☗4六歩と伸ばします。これが本筋の一着ですね。

何だか緩慢な一着に見えるので、一体これの何が本筋なんだと思われた方もいらっしゃるかもしれません。確かに敵陣を攻撃していないようですが、これは3四の銀を4筋へ活用することを狙いにしています。こちら側に使うことができれば、あの銀がお荷物になる心配は皆無ですね。

ここで振り飛車が動くなら☖6五歩ですが、今度は銀が3四に居たままなので、☗4二角成☖同金☗2四飛のときにかなり状況が異なります。これは次の☗2二飛成や将来の☗6二歩が痛打なので、振り飛車は選べません。
したがって、上図で振り飛車はカウンター狙いで相手の攻めを待つのが関の山です。待機するなら☖1三桂が価値の高い一着ですね。これは桂を取られにくくしたり、☖2五桂と跳ぶ含みを作ることで2八の飛の活用を阻む狙いがあります。
ただ、こちらは気にせず☗4五歩と突っ掛ければ、特に問題ありません。

これを☖同銀だと、☗同銀☖同歩☗4四歩で快調に攻めが続きます。3四の銀と5四の銀は後者のほうが中央に近い位置に居るので、相手のほうが働きの良い駒と言えます。ゆえに、銀交換になれば得な取引になると判断して差し支えありません。
そうなると、上図では☖4五同歩と応じるほうが妥当です。ただ、これで4筋に歩が自由に使えるようになったので、さっそく☗4三歩と叩きましょう。ここまで進むと、3四の銀が中央方面へ使える目途が見えてきましたね。

これを☖5三角だと☗2四飛と走れます。また、☖5一角だと☗4八飛と回る手が絶好ですね。角を引っ込めると相手は攻撃手段が乏しくなるので、上手く反撃することが出来ません。こちらは☗4五銀から飛や銀が捌けることが約束されているので、効率面でアドバンテージを取ることができます。

よって、上図では☖4三同金が最強の抵抗ではありますが、☗同銀成☖同銀に☗3四歩と伸ばしておけば、こちらの攻めは順調に続く形となります。

放置すると☗3三金と打てますし、☖同銀には☗5二金が両取りです。また、☖3二歩と受けてきたら☗3七桂の活用が成立します。☖3六銀と抵抗されても☗4五桂☖同銀☗4四歩で手が作れるので、相手は桂の跳躍を防ぐ術がありません。これは攻めの銀桂が見事に捌ける気持ちの良い手順ですね。
上図は堅陣を保った状態で一方的に攻勢に出ているので、居飛車が事を上手く運んでいると言えるでしょう。
こうして一連の進行を見ると、☗4六歩から銀を中央方面へ使った恩恵がよく分かります。

将棋は自分の攻め駒が遊んでしまうと、たとえ攻勢に出ていても容易ならざる状況になることは少なくありません。ゆえに、攻め駒が敵の本丸から離れてしまう攻め方には、注意を向けることが肝要です。
逆に、上図の☗4六歩のような、遅く見える攻めでも駒を中央へ活用する攻め方は、間違いが起こりにくく本筋の攻め方になるケースが殆どです。敵陣を攻める際には、こうしたことを意識すると良いでしょう。
敵の駒はそっぽへ追いやる
なお、自軍の駒を中央へ活用するのが有効であれば、敵の駒はどういう扱いをさせれば都合が良くなるでしょうか。
答えはもちろん、その逆となります。つまり、なるべく中央からそっぽへ向かわせるアプローチで敵の駒に働き掛けるのが良いですね。

今回の題材で言えば、上図の☗3四歩がそれに当たります。先述したように、この局面で相手は☖3四同銀とは取れない(☗5二金で痺れる)わけですが、もし☗5二金という攻め筋が無い場合でも、こうした突き出しは効果的な一着になり得ます。理由としては、4三の銀が3筋方面へ移動してくれれば、あの銀が振り飛車の囲いにくっつく可能性は極めて低くなるからです。
このように、中央付近に居る敵の駒をそっぽへ向かわせると、その駒の効率を著しく落とせるので、こちらにとっては小さくない恩恵が得られます。こうしたことも意識して攻めを繋ぐ手を考えると、良案の発見に繋がるかと思います。
また、こうした中盤で攻めが難しい場面で役に立つ考え方は、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
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