どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【仕掛けるときの考え方】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) August 5, 2025
こちらは陣形が整っているので、そろそろ仕掛けを考えたいところ。どこを攻撃するかですが、こうした際には敵陣の最も薄い部分に着目するのが基本です。… pic.twitter.com/wUVlUQSYyB
将棋は駒組みが完了すれば、基本的には仕掛けを考えることになります。ただ、仕掛けは失敗すると形勢の悪化に直結するので、それの技術を身につけることは非常に高い価値があると言えます。
そこで今回は、仕掛ける際に意識しておくと良いことをテーマにして、解説を進めたいと思います。
金銀の利きが届いていない場所を狙う
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖4二金右と指し、陣形を整備したところです。

上図は、相居飛車の力戦形の将棋です。こちらは玉型が概ね整っており、駒の効率も抜群に良いので作戦勝ちになっています。その優位性を活かして、上手くリードを広げたい場面ですね。
さて、敵陣を攻める際には、自軍の駒を前進させるのが基本です。それを踏まえると、上図では☗4五銀とぶつけるのは一案です。この場合、☖同銀☗同桂☖4四銀☗4六歩☖7五歩といった進行が予想されます。

こちらは銀を捌きつつ、桂を進軍できたので確かにポイントを稼いでいます。ゆえに、この進行でも悪くはないのですが、上図では二点ほど面白くないところがあります。
一つは、相手の棒銀が働く展開になっていることです。こちらは7五の歩を素直に取ると敵の銀を進めますが、放置するのも少し味が悪い形です。ここで☗8五歩と反発するのは有力ですが、☖7三銀☗7五歩☖5四角と進められると、桂頭を狙われるので些か守勢になってしまうのが気になります。

また、もう一つ不満な点としては、敵陣に具体的なダメージを与えていないことです。上図は桂を4五に進めたものの、3三や5三の地点は相手の金銀が守っている場所なので、まだ攻めがヒットする状況ではありません。形勢としては駒の効率が良いので先手が良いですが、欲を言えば、もう少し具体的な戦果が欲しいですね。
こうした背景があるので、冒頭の局面で筆者は、別の場所から戦端を開きました。具体的には、☗4六角と指します。これが効果的な攻めを行う下準備ですね。

この段階で角を手放すのは、勿体ない選択に見えるかもしれません。ただ、これは敵陣の弱点である1筋を狙っており、その攻めの威力を引き上げるため、ここに角を打っているのです。ご覧の通り、後手は3・4筋は厚いものの、1・2筋は堅くはありません。ゆえに、あの部分を狙うのが得策なのです。

また、この角は☗6四角という手も狙っており、相手はそれを許すと自分の攻めが空転してしまいます。ゆえに、何かしら受ける必要がありますが、その具体案が意外に難しいのです。形は☖7三銀ですが、これでは棒銀が後退する上に、☗8五桂の余地も残すので思わしくありません。
ゆえに本譜は☖6二飛と回ってきましたが、この交換が入れば、こちらは攻めに専念できる状態になりました。予定通り☗1五歩☖同歩☗1三歩と進めて、敵陣の弱点を攻めましょう。

これを☖同香だと、☗2五桂で香が確実に取れます。また、桂を跳ぶ前に☗1二歩と垂らす手も魅力的ですね。もし☖2二玉でと金作りを防がれたら、そのタイミングで☗2五桂と跳びます。☖1四香と逃げても☗1一歩成☖同玉☗1三桂成で技が掛かるので問題ありません。この進行は垂れ歩を囮に使うことで、敵玉を危険地帯に呼び寄せているのが大きいですね。
要するに、後手はこの歩が相当に取りにくいのです。

ただ、この歩が取れないと、次は☗1五香から自然に侵略できます。また、それを防ぐために☖3三角と打つのは、☗4五歩で銀が召し取れます。上図はこちらの仕掛けがクリーンヒットしており、相手は受けが難しい情勢です。銀交換を行った変化と比べると、遥かにスマートであることが読み取れますね。
こうした進行を見ると、1筋に狙いを定めた恩恵がお分かり頂けたかと思います。

このように、仕掛けを行う際には敵陣の最も薄い部分を狙うことが大事です。「薄い部分」の具体的な場所としては、金銀の利きが届いていない(もしくは少ない)ところになります。そうした場所に自身の戦力を集中させれば、自ずと攻めは成功します。これは非常に汎用性が高いので、意識しておきましょう。
要点を捉えていれば手順が違っても OK
前述したように、仕掛けは方法を間違えると形勢の悪化につながりやすいので、実戦においては繊細に考えなければならない部分と言えます。ただし、要点を正しく捉えていれば、融通が利くことも少なくないですね。
例えば冒頭の局面では、直ちに☗1五歩☖同歩☗2五桂と動くのも有効です。

これは次に、☗4五歩で銀を捕獲する手を狙っています。後手はそれを防ぐなら☖5四歩くらいで事足りますが、それには☗1三歩で端を攻めることが出来ますね。つまり、この手も趣旨としては、守り駒が手薄な1筋を狙っていることが読み取れます。これも端からの攻略が見込めるので、先手が面白い将棋と言えるでしょう。
仕掛ける際には精密さが求められるケースもありますが、多くの場合は少々、手順が違っても、狙うべき場所を外していなければ致命的なミスになり得ることはありません。実戦の場ではそうした点を考慮して仕掛けを考えると、良い判断を行うことに繋がるかと思います。
また、こうした仕掛けの際に意識すると良いことは、他にもあります。詳しくは、以下の記事で解説しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
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