どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【攻防手が発現する展開を選べ】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) November 14, 2025
相手が☗33歩と叩いて寄せに来た局面。応接が複数あり悩ましいですが、ここは☖33同玉と応じるのが良いですね。… pic.twitter.com/dPO6jno3VN
将棋は、よほど中盤戦で大差にならない限り、競り合いの終盤戦を迎えることになります。今回は、そういった状況を乗り切るための考え方をテーマに、解説を進めたいと思います。
攻防手が発現しやすい状況を選ぶ
改めて、上記ツイートの局面を振り返ってみましょう。図は相手が☗3三歩と指し、こちらの金を攻めたところです。

この局面は、終盤戦の真っ只中といったところです。こちらは駒得していますが、自玉は安全とは言えないので、この攻めを上手くいなさないといけない情勢ですね。
さて、受け側にとって金は大事な守備駒なので、3二の金を取らせる選択は考えたくありません。そうなると、上図では☖3三同金と応じるのが一案です。
ただ、これは☗3一銀☖5一玉☗6三歩と攻められると、嫌らしい状況を迎えることになります。

こうなると、こちらは玉が下段に移動しており、粘りが利きにくい格好になっています。上図では金を取らさないよう☖5二金と逃げるのが最善の受けですが、この進行は自玉が著しく狭くなっているので、歓迎すべき進行ではありません。
こうした背景があるので、冒頭の局面で筆者は、別の対応を選びました。具体的には☖3三同玉と指すのが適切な一着になります。

これは玉が露出するのですが、相手の攻めに乗じて上部へ脱出する狙いがあります。つまり、ここで☗2五桂と跳ばれたら☖2四玉と逃げるというわけです。ここに逃げるのは狭いように見えますが、後の☖2九飛が味の良い攻防手になるので、実は意外に安全なのです。☗2六銀のような手掛かりを置く手を指されないのが心強いですね。
本譜は有効な攻めが無いので☗1一とで香を補充してきましたが、これにもやはり☖2九飛が価値の高い一着になります。

ここに飛車を打てれば、先述したように2六に駒を置かれないので、こちらは玉の安全度が上がります。加えて、☖1九飛成で香を取る手を用意しているのも大きいですね。それを指せば1五へ逃げられるようになったり、☗1六桂が消えたりするので、自玉が相当詰まされにくい配置になります。
上図で相手は☗6九歩と受けるくらいですが、こちらは☖5四歩で戦力を蓄えておけば良いでしょう。

こうなると、相手は戦力が足りず、こちらの玉を寄せるのが難しい状況になっています。対して、こちらは大駒を全て有しているので、攻めの手段には困りません。次は☖8八歩が一例で、着実に迫っていけば寄せ合い勝ちが期待できる状況でしょう。よって、上図はこちらが勝勢です。
こうして一連の進行を見ると、こちらは☖3三同玉と指して将来の☖2九飛に期待したことが、良い判断だったことが読み取れます。

基本的に将棋は、「攻め」か「受け」のどちらかを選ばなければいけません。ただし、終盤戦になると攻防手というそれらを同時に指せるボーナスが出現することが多々あります。ゆえに、攻防手が発現しやすい状況を作ることは、極めて高い価値があります。この題材で言えば、玉を上に向かわせると☖2九飛が攻防になるので、☖3三同玉が正着になるという訳ですね。
自軍の駒が全て機能する展開を目指す
繰り返しになりますが、今回の題材では攻防手が発現しやすい状況を作ることが話の肝でした。ゆえに筆者は☖3三同玉と指したのですが、この手を選んだ背景には、別の理由もあったのです。
それは、「自軍の駒が全て機能する展開を目指していたから」ということですね。

改めて、失敗例の局面を提示します。この局面は、ご覧のように自玉が下に追い落とされています。そして、こうした状況になると3六の香は存在価値がありません。受けには当然ながら役に立ちませんし、現状は自玉付近が攻められているので☖3七香成と指す余裕もありそうにない格好です。
たかが香一枚ではありますが、こうした機能していない駒が発生すると戦力の低下に繋がります。こうした駒を作る進行は、最善ではないケースが殆どですね。

逆に、成功例のほうは自玉が3六の香に近づくことで、あの香を守備駒として運用できていることが読み取れます。もし、この香が居なければ☗3六桂などの攻め筋が生じるので、安全度が全く違いますね。
このように、競り合いの終盤戦では自軍の駒を十全に機能させることが肝要です。そうして遊び駒を作らないようにすれば、戦力が底上げされるので状況が好転する可能性が高まります。こうした意識を持って候補手を考えると、より良い選択が出来るようになるでしょう。
また、こうした競り合いの終盤戦で意識すると良いことは、他にもあります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。
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