中盤で細かくポイントを稼ぐテクニック②

どうも、あらきっぺです。

今回の題材は、こちら。

【入れたほうが得になる利かし】

こちらは成桂が取れますが、それを取ると☗55馬の両取りが厄介なので、工夫が必要です。… pic.twitter.com/zAvTpbZ9no

— あらきっぺ (@burstlinker0828) November 4, 2025

将棋の中盤は漠然とした状況になりやすく、何が最適な選択なのか見えにくくなる性質があります。そして、そうした場面で知らず知らずの間に損な手を指し、形勢をリードするチャンスを逸してしまうことは意外に少なくありません。

そこで今回は、中盤で細かくポイントを積み重ねるためのテクニックをテーマにして、解説を進めたいと思います。

大駒の可動域が増える利かしは入れろ

改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☗９一角成と指し、香を取ったところです。

この局面は、こちらは［飛⇆銀香］の二枚替えをされており、駒損になっています。ただ、玉型は安定していますし、８筋を食い破っていることから攻めの手段にも困りません。ゆえに、駒損している問題点を改善すれば、形勢の好転が見込める状況だと言えるでしょう。

駒損の回復を目指すなら、☖６五角で成桂を取ってしまうのが目につきます。ただ、これは☗５五馬と引かれると角香両取りが掛かってしまうので、得策とは言えません。

また、上図では☖６七角成で馬を作る手も自然ですが、これも☗５五馬と引き付ける手が厄介ですね。

こちらは☖３三銀が自然な受けですが、☗４六香と攻め駒を設置されると、次に☗５三歩成☖同歩☗５四歩という要領で４三の地点を狙われます。こうなると玉型が安定していた強みを損ないつつあるので、やや不本意な進行という印象です。上図では☖７七馬と活用すれば居飛車は悪くないのですが、欲を言えば、もう少し条件の良い局面を作りたいですね。

こうした背景があるので、冒頭の局面から直ちに７六の角を動かすのは、将来の☗５五馬に対応しにくいので賢明とは言えません、ゆえに、筆者は別の手を選びました。具体的には、☖８八とと入ります。これが最もポイントを稼ぐ一着ですね。

これは銀取りなので、相手は☗６八銀とかわすのが妥当です。相手は駒得していることが主張なので、この銀は易々と渡したくありません。

ただ、この［☖８八と☗６八銀］の利かしが入ると、こちらは☖６五角で成桂を取ることが出来るのです。

一見、冒頭の局面から単に☖６五角と指したのと、大きな違いは見えないかもしれません。しかし、上図では６五の角がスムーズに８七へ移動できるようになっています。つまり、ここで☗５五馬と引かれても、☖８七角成で金取りに当て返す手が生じています。

相手は６九の金を失うと駒損が激しいので、☗５八金左と逃げるのは致し方ありません。ただ、こうなると両取りを解除できたので、こちらも☖３三銀で受けに回る余裕が得られますね。

局面が一段落しましたが、上図は成桂を食い逃げしたことで、こちらは飛銀交換の駒得になっています。こうなると先述した問題点の改善に成功したので、こちらが明らかに優勢となりました。以降は８筋の攻め駒を活用すれば問題ないでしょう。

こうして二つの変化を比較すると、一回☖８八との利かしを入れたことが、大きな意味を持っていたことが分かりますね。

将棋を指していると、利かしを入れるかどうか悩ましい場面が多々あります。特に、中盤戦ではそうした局面を迎えやすいですね。利かしを使うかどうかは、ある程度、先の局面を読まないと損得が分からないので、ケースバイケースではあります。ただ、上図のような自軍の大駒の可動域が広がる利かしは、得になることが多いので積極的に入れたほうが無難と言えるでしょう。これはつまり、それだけ大駒の機能を最大化させる価値が高いことを示唆してます。

重たい配置は早急に解消する

繰り返しになりますが、今回の題材では「大駒の可動域を広げる利かしは入れる」ことが話の肝でした。ゆえに筆者は☖８八とと指したのですが、この手を選んだ背景には、別の理由もあったのです。

それは、「重たい配置は早急に解消する」ということですね。

改めて、冒頭の局面を提示します。実を言うとこの局面は、図の枠で示している攻め駒の効率が、あまりよろしくありません。具体的には、８六の飛が味方の駒によって効率が低下している側面があるのです。

つまり、８七にと金がいるのでこの飛車は成れませんし、７六に角がいるので横利きが止まっています。もし横利きが直通していれば、☖１五歩で端を攻める手も視野に入るところでした。

８六の飛の効率を上昇させるには、８七のとや７六の角を移動させるのが最適です。ゆえに、上図のように☖８八とと指し、☖６五角が指しやすい状況を作るのが良いという訳ですね。

このように、自軍の重たい配置を改善すれば、駒の効率がぐんと向上するので状況の改善に繋がります。こうした点も併せて意識しておくと、中盤戦のプレイングが向上するでしょう。

また、こうした中盤で細かくポイントを稼ぐテクニックは、他にも種類があります。よろしければ、以下の記事も併せてご覧いただけますと幸いです。