どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【相掛かりの必修手筋】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) January 28, 2026
相手が香交換を挑んだところ。これを素直に応じるなら☗同香ですが、それ以上に☗86歩と突くほうが有力です。… pic.twitter.com/zaOavMTIDG
相掛かりという戦型は、現代相居飛車において王道とも言える戦法です。ただ、この戦型は力戦志向の側面も強く、「いまひとつ、理屈が分からないんだよなぁ…」と感じられている方は多いのではないでしょうか? そこで今回は、相掛かりを指す上で知っておくべき基礎知識をテーマに、解説を進めたいと思います。
敵の飛車の配置を悪化させよ
改めて、上記ツイートの局面を始めから振り返ってみましょう。図は相手が☖9五香と指し、香交換を迫ったところです。

相掛かりにおいて相手が☖8五飛型に構えてきた場合、上図のように香交換を挑まれるシチュエーションは時折、出現します。こちらは香交換を避けるのは不可能なので、交換された後のことを考慮して、ここでの指し手を考える必要があります。
上図でこちらが素直に応じるなら、☗9五同香☖同飛☗9七歩になりますね。その場合、後手は☖3四歩で角の働きを改善させることでしょう。

これはこれで一局の将棋ではありますが、こちらとしては一点、気になる部分があります。それは、自陣の歩を伸ばす手が指しにくくなっていることです。
つまり、ここで☗7六歩と突こうものなら、すかさず☖9六歩☗同歩☖同飛で横歩を掠め取られる攻めが発生します。これは☗4六歩と突いても同様です。このように、上図は☖9六歩の揺さぶりが発生しているので、こちらは指し手に制約が掛かっているのです。それが些か不本意ですね。
そうした背景があるので、冒頭の局面で筆者は別の対応を選びました。具体的には、☗8六歩と突きます。これが得を追求する一着ですね。

これは、敵の飛車を9五や8五に移動させない意味があります。先述の失敗例から読み取れるように、後手は飛車を9五や8五に配置できると、十字飛車の要領で先手陣の歩を掠め取る攻め筋が作れます。それを防止するために、こちらは敵の飛車を追っておく訳ですね。

これを☖同飛だと、9五の香がタダで取れます。また、☖7五飛にも☗7六歩でさらに飛車が追えますね。したがって、上図で後手は☖6五飛と逃げるよりありません。この場所なら☗6六歩と突かれても☖同飛が王手になるので、後手は飛車を安定させることが出来ます。
ただ、こちらはこの交換を入れれば、既にポイントを稼げています。ゆえに、じっと☗9七歩と打って香に紐を付けておきましょう。

これも地味ながら大事な一着で、代えて☗同香☖同飛と進めるのは、敵の飛車を定位置に戻すので損な対応になります。上図のように☖6五飛型を強要させれば、こちらは十字飛車の筋が無いので安心して駒組みを進めることが可能です。

ここで後手は☖9六香☗同歩☖9五歩で飛車を戻すことが出来れば理想ですが、それには☗3七桂☖9六歩☗2七香と反撃すれば問題ありません。次の☗2四歩が防げないので、後手は対応に困っています。この変化の後手は、角道が止まっている弊害が露骨に祟っていますね。
こうした背景があるので上図では☖9六香☗同歩☖3四歩が妥当ですが、それにはこちらも☗7六歩で角道を開けておけば、不満の無い局面になります。

今度は十字飛車の筋が無いので、こちらは敵の揺さぶりを気にすることなく歩が突けます。上図からは再び駒組みを行うことが予想されますが、相手は飛車が機能しにくい配置になっているので、これを立て直すことは必須です。そうなると、こちらは大いに手得できますね。したがって、上図はこちらが作戦勝ちになっていると言えます。
こうして一連の進行を見ると、こちらは☗8六歩と突いたことで、大いにポイントを稼いだことが読み取れます。

将棋の駒組みは、大駒をどこに置くかがキーポイントの一つです。これを攻めに使いにくい場所に据えてしまうと、駒の効率が悪化するので作戦負けの原因になります。この理屈を踏まえると、敵の大駒を妙な場所に追えるのであれば、その権利を行使しない手はありません。上図のように香交換を挑まれた瞬間に☗8六歩と突く手は、概ね正解になるので覚えておくと損は無いでしょう。
8筋を盛り上がる価値は見た目以上に高い

なお、この☗8六歩という手は、自ら角頭の歩を突いているので違和感を覚えた方もいらっしゃるかもしれません。確かに、相居飛車において8筋の歩は守りの歩であり、これを自発的に伸ばすのは他の戦型では好手になりにくい一着です。
しかしながら、相掛かりという戦型においては、意外にそうではありません。

そもそも、相居飛車の多くの戦型は飛車先の歩が交換できません。そのため、8七の歩を自ら突く手は、まず指せない側面があります。
しかし、相掛かりは早期に歩交換されているので、「☗8六歩」という手を指せるチャンスが広がります。そして、こうして陣形を盛り上げる手を指すと、駒組みの選択肢が増えるので得になるケースが多いのです。

例えば、☗8六歩型になった恩恵の一つに、☗8七金型に組める点が挙げられます。この配置になれば7~9筋が手厚くなり、敵の攻め筋を消すことに繋がります。相掛かりにおいて8筋(後手なら2筋)を盛り上がる価値は見た目以上に大きいので、こうした性質も併せて意識すると、良い判断が行えるようになるでしょう。
また、こうした相掛かりを指す上で知っておきたい知識は、他にもあります。詳しくは、以下の記事で解説しておりますので、そちらも併せてご覧いただけますと幸いです。
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