どうも、あらきっぺです。
今回の題材は、こちら。
【中盤は安定感を高める手を指せ】
— あらきっぺ (@burstlinker0828) February 7, 2026
こちらは攻めるなら☖67銀成ですが、これを早期に指すと☗56飛→☗26飛の攻め筋を誘発するので注意が必要です。… pic.twitter.com/mjoSxHIaUD
先手中飛車に対する作戦は様々な種類がありますが、昨今では後手超速が最も有力という見解が固まっています。ただ、この戦法は囲いが薄かったり攻めるタイミングが悩ましいので、指すこなす難易度が高いことは確かですね。そこで、今回はこの戦法を指す上で覚えておきたい定跡を解説したいと思います。
不用意に突っ込み過ぎない
今回は、上記ツイートの少し手前の局面から振り返ってみましょう。図は相手が☗5九角と指し、角取りを解除したところです。

この局面は、先手中飛車が☗5六銀型に組んだ際に現れる定跡の一つです。☗5六銀型は7筋の守りを放棄していますが、☗4五銀→☗3四銀と船囲いに向かって前進できることが利点です。ゆえに、この変化は上図のように、互いに銀を進める展開になりやすいですね。

さて、こちらは攻めの銀が7六まで進出しており、この駒はさらに前進できます。ぱっと見は☖6七銀成と指すのが自然に思えるところです。
しかし、結論から述べると、こう指すと☗5六飛と浮かれて振り飛車の術中に陥ることになります。

居飛車は快調に銀が成り込めたようですが、上図は次に☗2六飛と☗6八歩という複数の狙いを見せられています。そして、居飛車はそれらを同時に防ぐ手立てがありません。ゆえに、この局面は居飛車が芳しくないのです。
こうした背景があるので、冒頭の局面で居飛車は、もう少し安全を重視する必要があります。具体的には☖7五歩と伸ばす手が盤面を広く見た一着ですね。

先述した失敗例から読み取れるように、居飛車は☗5六飛→☗2六飛が厄介な攻め筋です。これを残したままにすると支障が生じるので、攻めに専念できません。ゆえに、まずはこの攻め筋をケアすることが先決で、その準備のために歩を伸ばしているのです。
つまり、ここで☗5六飛と指されたら☖8四飛と浮くのが期待の後続手になります。

これで敵の銀を追い払えば、居飛車は自玉の安全を確保できます。なお、代えて☖3三歩と打ってしまうと角が眠ってしまうので得策ではありません。この局面を見えると、☖7五歩は飛車の可動域を増やしつつ、7六の銀に紐を付けた一石二鳥の一着になっていることが読み取れます。

ここで☗3六飛と回ると、☖5五角の活用が絶好です。3筋を素通しにするのは危ういようでも、振り飛車は2三の地点を狙わないと攻めが炸裂しないので、3六に飛を回られる形は恐れる必要がありません。
上図で振り飛車が角の捌きを警戒するなら☗4五銀になりますが、これには☖6四飛と回りましょう。その局面はこちらだけ銀を敵陣に進軍できる状況なので、居飛車の優位が明らかになります。

振り飛車としては、ここで☗5六飛と指しても攻めがヒットすることはありません。そうなると、上図では☗7八金と上がって受けに回るくらいです。
ただ、これなら居飛車は手番を握っているので、攻めるターンを得ています。7八の金を移動させたいので、☖8八歩と捨てるのが厳しいですね。

これを☗同金だと☖8四飛☗4五銀☖6七銀不成で、やはり自分だけ銀を敵陣に侵入する展開に持ち込めます。また、☗7七歩と抵抗する手もありますが、☖6五銀☗8八金☖8六飛☗8七歩☖8四飛と進めておけば、振り飛車は3四の銀が不安定なので、これも居飛車が良くなります。
いずれの変化も、常に居飛車は「☖8四飛」という手が銀取りになり、自玉の安全度を高められることが大きいですね。上図も居飛車が一方的に攻めることが出来る将棋なので、居飛車が有利だと言えるでしょう。
そして、この☖8四飛が効果的な一着になったのは、☖7五歩と伸ばしたからに他なりません。

後手超速は銀を繰り出す攻めっ気の強い戦法です。しかし、自玉は決して堅いとは言えない囲いなので、向こう見ずに攻め掛かるとカウンターを喫して取り返しのつかないことになるケースは少なくありません。ゆえに、こうして自陣の安定感を高める手を意識するのは非常に重要です。特に、上図のように相手の攻め駒が自玉付近に居る場合は猶更ですね。
主力の効率を高めることを優先せよ
繰り返しになりますが、今回の題材ではきちんと自玉の安全度を高めておくことが話の肝でした。ゆえに筆者は☖7五歩と指したのですが、この手を選んだ背景には、別の理由もあったのです。
それは、「主力の効率を高める」ということですね。

改めて、失敗例の変化を提示します。この局面の居飛車は攻め込んでいるようですが、8二の飛の働きが悪いので、実はそこまで攻めに迫力がありません。現状、あの駒は8六の歩によって利きが遮断されているので、縦の利きはそこまで機能していないのです。そして、横に関しては言うまでもありません。
つまり、こうして飛車(主力)の働きが悪い状態で動くと、芳しくない状況を招きやすいのです。

一方、成功例のほうは飛車の可動域が抜群に広がっており、効率が上昇していることが分かります。また、敵の銀を追うにしても、☖3三歩という追い方を選んでいないことも、この理屈に沿っています。それを指すと角の働きが悪化するので、やはり芳しくない状況を招く要因になります。
将棋は大駒が貴重な戦力なので、それの効率を高める(落とさない)ことは極めて重要です。こうした点も併せて意識すると、中盤の精度が上がっていくかと思います。
また、こうした対振り飛車の将棋で役立つノウハウは、拙著「現代振り飛車の絶望、そして希望」にもふんだんに記載しております。こちらもご覧いただけますと幸いです。
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